
◉ 週のはじめに愚考する (第弐拾壱)~ 今はあまり聞かれなくなった語に「ビオトープ(バイオトープ)」があります。三十年ほど以前には、それこそ至るところに「ビオトープ」が創出され、まるで流行り現象のように持て囃されていたものでした。〈biotope〉は、元来がドイツで作られた「概念(ことば)」で、Biotop[= bio+topos]、「いのち+場所」を表し、いくつかの生物群が集まって生息しやすいように設計された偽自然空間を指していました。「生物空間」「生物生息空間」と称された。なんのことはない、これまで長い間、人間がいろいろな生物群集と共生(symbiosis)・共棲(cohabitation)していた場所そのものが「生物空間(biological space)」だったのです。わざわざ「ビオトープ」などとして作り出さなければならなくなったのは、それだけ、「生物生息空間」が人間中心(利己)主義の災いを被った結果、罪滅ぼしのように、生物想いの人間たちによって「ある種の生き物だけが生きられる場」として提供され出した、それがこの社会における「ビオトープ」の始まりだった気がします。

ぼくは自然観察者でもなく、特定の生物に肩入れしている昆虫オタク(愛好家)でもありません。日常的に暮らしている生活空間が改変され、都市(一極集中)化され、人工的に装飾されていくことを指を加えて眺めているだけの、つまらぬ人間です。「赤とんぼ」が絶滅危惧種になりそうだとか、なぜか「ミツバチ」が住処(巣箱)に戻らないで、大量に、しかも忽然と姿を消したとか、そんなニュースを見るにつけ、聞くにつけ、人間の子どもも、おそらく集団で消えるか、あるいは住みづらい環境(社会空間)を嫌って、この世にやってこなくなったのだなどと、まるで戯(たわ)けたことを言ったり書いたりしてその日を送っているものです。
本日は、二題の「生物物語」の機微に少しでも触れたくなったのです。(以下、最後部に引用した新聞記事から)「ハッチョウトンボ」、ぼくはどれくらい前か、おそらく数十年になるでしょうが、この2センチそこそこの小さなトンボを見ることがありました。あまりにも小さかったので、今でも強い印象を持っていた。それが、全国各地で、まるで揺り籠(ビオトープ)に囲われるがごとくにしてようやく生息しているという状況に、なにかしら涙が出てくる思いがしました。それこそ、全国の至るところでは「お宝」発見と大騒ぎするばかりの珍重種になっているのを知り、深い溜め息をついている。人間というのは罪作りなもので、滅多矢鱈に殺戮し、挙句の果てには「人工交配」、「人工飼育」などと称して、その貴重な「生物種」を「天然記念物」と称して、それこそ「囲い者」にしてしまうのです。さしずめ、人間で言うなら「人間国宝」という扱いですね。愚かしいこと限りなし、です。

また、「ミツバチ」の危機的状況についても、かなり早い段階から危惧されていたことを知っています。これもまた、ある「除草剤」「殺虫剤」の大量散布に起因しているのではないかと心配されてきた。ネオニコ(ネオナチではありません)による被害です。「タバコの葉などに含まれるニコチンに似た構造・作用を持つ殺虫剤の総称。神経伝達系のアセチルコリン受容体と結合し情報伝達を阻害する。稲につくカメムシ・アブラムシ、柑橘類につくガなどの駆除に使用される。有機リン系農薬と比較して人体に対する毒性は低いとされるが、受粉を媒介するミツバチへの影響などが問題視されている」(デジタル大辞泉)ほとんどの農薬類に含まれている毒性のある「薬剤」です。目下、小生の家では可能な限りで、この手の薬剤を使わないことにしています。(どうしても使わざるを得ないときもあるが、必要最小限に。そうはいっても難しいですね)

この問題に関してはいろいろな情報があります。詳細はそれらに譲るとして、今も絶滅が危惧されているにも関わらず、ミツバチの生態を毀損する刺激毒物を放置しているのはどういうことか、その理由を知りたいと思っている。諸外国では危険・有害のために発売禁止されている消毒剤や殺虫剤が今尚堂々と劣島の量販店の店頭に並んでいます。禁止された地域からの横流しではないかと思われるほど、大量に販売されてもいる。「政官財」という刹那政治・経済・商業偏重主義者のトリオが「今こそ、金こそ、自分こそ」を生きる目標に大暴走しているのに、好き好んで多くの衆庶も惑わされている、そんな末法図がぼくにはみえてきます。(こんな文句をたれているぼく自身、その「惑わされ組」の一員たるを逃れられていないのです)

「私たちが毎日食べている野菜や果物の多くは、ミツバチの授粉のおかげで実ります。「世界の食糧の9割をまかなう100種類の作物のうち、70種以上はミツバチが受粉を媒介している」という報告も(2011年・国連環境計画報告書)。私たちが食べている食糧の約1/3が、ハチなどの生物の受粉によってつくられているといいます。アインシュタインは、「ミツバチが絶滅したら4年後には人類も滅びているだろう」と警鐘を鳴らしたとか。4年後という数字はともかく、万一ミツバチが絶滅すれば食糧不足で人類もまた滅亡する可能性がないとは言い切れません。ミツバチによって受粉されなければ、その野菜や果物は命をつなぐことができず、地上から姿を消していくことになるのですから」(「ミツバチからのメッセージ」:https://www.muji.net/lab/living/140903.html)(この記事は十年前に書かれたもの。その後各地・各国でさまざまな規制がかけられてきましたが、この小島だけはいささかの変化もなくネオニコは放置されたままです。空中や水中に恐ろしくなるほど散布拡散され続けています)(生態系の各部分が汚染され、破壊されている)
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鮮やかな赤 ハッチョウトンボ 総社・ヒイゴ池湿地で飛び始める 体長2センチほどと「世界最小級のトンボ」として知られるハッチョウトンボが、総社市福井のヒイゴ池湿地で飛び始めた。雄は全身が鮮やかな赤色を帯び、周囲の緑色と美しいコントラストを見せる。/湿地の保護に取り組む市民団体・北の吉備路保全協会によると、今季は17日に初確認された。6月をピークに8月中旬まで観察できそうという。雄は約1ヘクタールの湿地内で葉や花に止まって茶褐色をした雌を待つが、別の雄が近づくと縄張りを争って飛び回る。/開発の影響で生息地が減り、岡山県のレッドデータブックでは準絶滅危惧種に指定される。湿地内では絶滅危惧Ⅱ類のランの一種・トキソウも見頃を迎えており、萱原潤会長(71)は「足を運び、小さな命の営みをそっと見守ってほしい」と呼びかける。(山陽新聞・2024/05/24)

【大観小観】▼春から夏にかけての今の季節が、蜜蜂が最も活躍する時季。花から花へ飛び回る蜜蜂の姿を見かけることが多いと思う。蜜蜂は一匹の女王蜂、一匹の雄蜂以外、全員が雌蜂で「働き蜂」である。本当によく働く▼ところが、近年、世界中で蜜蜂の数が減っている。温暖化による気候変動が原因だ。蜜蜂は気候の変化に敏感で、森林や草原が減少して蜜源(花)が減ると生きていけない。花粉が栄養源、巣の材料だからだ▼最近、ブラジルのオレンジやコーヒー豆の不作、長野県のリンゴの不作が伝えられたが、これも蜜蜂が減ったことが原因。蜜蜂が花粉を媒介することで、多くの植物が受粉して生育する。世界で食用にされる野菜や果物百種のうち70種以上が、蜜蜂の媒介によっている。蜜蜂は私たちの生活を支えているのだ▼人類は古くから養蜂業を営んできた。蜂蜜の採取以外、蜜蜂の農家への貸し出しも重要な仕事。本県にも松阪市に全国有数の養蜂業・水谷養蜂場があるが、蜜蜂の生育維持に苦しんでいるという。「蜜蜂がいなくなったら人類は4年で滅亡する」とアインシュタインは警告した。危機は迫っている。(伊勢新聞・2024/05/25)
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◎ほうぐんほうかい‐しょうこうぐん〔ホウグンホウクワイシヤウコウグン〕【蜂群崩壊症候群】= 飼育されているミツバチが突然、大量に姿を消す現象。巣箱には孵 (ふ) 化 (か) した幼虫や食料が残され、女王バチと羽化直後の働きバチがわずかに残っている場合が多い。巣箱の周囲では死骸は発見されない。2006年に米国で問題化し、欧州などでも同様の事例が報告されているが、原因は解明されていない。CCD(colony collapse disorder)。コロニー崩壊症候群。[補説]日本でも同時期に養蜂場でミツバチが大量死する事例が相次いで発生しているが、巣箱の周辺でミツバチの死骸が発見され、死亡が確認されていることから、蜂群崩壊症候群とは異なる現象と考えられる。日本での大量死の原因として、ミツバチに寄生するダニやネオニコチノイド系殺虫剤の影響が有力視されている。(デジタル大辞泉)
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