
週のはじめに考える 勝てばいいのか
…ここで、来月三日に迫った現実の米大統領選に話を移します。/ もはや現職トランプ氏に品格を求める気はありませんが、さすがに、この大統領選の結果は「連邦最高裁で決着すると思う」と述べたのには驚愕(きょうがく)しました。もし負けなら、開票結果を受け入れず、郵便投票の不正を言い立てて裁判に持ち込む−。そう宣言したわけです。強引に保守派の最高裁新判事の任用を進め、リベラル派に対する保守派の数的優位を盤石にしようとしたのも、その備えです。 / 米紙の記事が「アメリカの民主主義は、恐ろしく危険な状態にある」と強い表現で警鐘を鳴らしたのもむべなるかな。どんな手段でも勝てばいい、いや、負けても勝つ、というのでは、民主主義も何もあったものではありません。(略)/ そうした態度から推測されるのは、米国民全体に支持を求めるのではなく、黒人・リベラル層との対立感情をかき立てることで白人・保守層を固め、いわば51%を取りにいく戦略。憎悪の摩擦熱を勝利のエネルギーに利用するたくらみと言ってもいい。自己の勝利のために米国社会を犠牲(いけにえ)に捧(ささ)げるつもりなのでしょうか。(以下略 (東京新聞「社説」・2020/10/25)
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この「社説」氏の立場に異論はありませんが、その姿勢の根っこに「対岸の火事」を傍観する風が強く感じられてなりません。「もっと燃えろ」とは言ってないが。「《向こう岸の火事は、自分に災いをもたらす心配のない意から》自分には関係がなく、なんの苦痛もないこと。対岸の火災。」(デジタル大辞泉)

アメリカも大変なんだという雰囲気が濃厚です。ぼくにはそのようにしか読めません。現大統領が「国民分断」を武器に戦術を立て、「憎悪の摩擦熱」を選挙戦勝利のエネルギーにしている、「勝てばいいのか」と。「国を犠牲に供する」ことまでして勝ちたいというのは、まちがいなく狂気(クレージー)です。この「狂気」になす術もないとしたら、「対岸」は奈落に落ちていますね。(実際に「なす術がない」のだ、大統領令は正気の者にしか通用しないのだから)どこかで紹介しましたが、ある新聞社で、先の戦時中「記事の差し止め」を言外に示して新聞社を脅迫した軍部に対して、、このままでは「社が危ない」と記者仲間は責任者に忠告した。その時に編集責任者は「このまま記事を載せる。国がつぶれるという瀬戸際に、社の存続が心配だというのか」と、一喝したというのです。

そもそも、この島社会が今のような為体、頽廃のきわみに突き進んでなお、それに歯止めがかからないようになった背景には、さまざまな理由があるものではない。ぼくは何度も触れてきましたが、「法律違反」(犯罪)を犯して、政権の座から逃げ出した前総理が、狂気じみた米国の現大統領の言いなり放題に「国を売った」がためだ、それがもっとも大きい理由でしょう。(もちろん、それを取り囲んだ政治家官僚連中も責められるが、そんな輩の徒党を許した有権者の無思慮が災いしているのは否定できない)彼らは「人民のため」を口にするかもしれないが、その実は、露ほども「人民の痛苦」を感じていない、そんな両国の連中の「蜜月」が、自国にこんな事態をもたらしたわけ。取り返しがつかないとは言わぬが、莫大な犠牲を強いられただけでも許しがたいのです。禍は元から断たねばなるまい。

一蓮托生、日米「バカの枢軸」「無能・無法同盟」が惨憺たる現実を招来したのです。彼らは嘘八百では足りず、まるで「千三(せんみつ)」、いや「万八(まんぱち)」です。「万に八のホント」だとさ。そんな連中をのさばらしたのは、人民にも一端の責任はありますが、「第四の権力」を自認・自任している「マスコミ」にはもっと大きな責めを負ってもらわなければなるまい。それなのに、「対岸の火事」視で、まるで緊張感がないことおびただしいのに、ぼくは腰が抜けるのです。東京新聞にしてから、とオベンチャラは言わないが、それにしても暢気が過ぎる。少なくとも、この四年、どれだけの国防軍事費を米国に払う約束をしたことか。沖縄・辺野古を忘れない(右上写真)。この新聞社の一記者が「真相に迫る報道」を続けてきたことをぼくは知っています。そのような発掘報道が生かされていない「社説」など、と言いたいですね。週のはじめだけではなく、毎日でも考えてほしい。

亡国の淵に立つ、それもまた時代と共に生きている「一人の民衆」であるぼくの運命です。無駄かもしれないが、可能な限りの抵抗を。心身ともにうちそろえて抵抗したい。(なんだか、悲壮感が漂うような雰囲気ですが、なに、陽気にとはいかないまでも、ゆとりと遊び心は失わないさ。軽妙洒脱にはよほど距離がありますが、なろうことなら「雲烟過眼」に、あるいは「虚静恬淡」を旨として歩きたいものです)(やがて拙宅上空を醜悪無用の長物が飛行か。民主主義からファシズムが叢生してくるのです。民草は、踏まれるばかりでも除草されるばかりでもだめなので、自らの存在を貫く、突き出す。小さな個であることを断固として譲らず、微力であることをすら、いささかも恥じる必要はないのだ。
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