空を押し上げて/手を伸ばす君 五月のこと

 【三山春秋】いつもの通勤路をハナミズキが彩っている。白と薄桃色が目に心地よい。山々に目をやれば、薄い緑に濃い緑。緑色にこんなに幅があったかと感嘆するほどのグラデーションに染まっている▼森林には心身の癒やし効果があるというから、遠くから眺めるだけでなく木々の間をのんびり歩いて緑のシャワーを浴びるのもいい。リフレッシュして連休明けの“通常運転”に備えようか▼ただ、気になることがある。新年度が始まって1カ月がたち、心の調子を崩しやすい時期でもあることだ。環境が変わり、気を張り続けてきた人もいるはず。このタイミングでのまとまった休みが骨休めになる人もいれば、学校や職場への「行き渋り」につながる場合もある▼不調の兆しに気付いたらどうしたらいいだろう。「おいしいものを食べて、いい睡眠を取るのが一番です」と県こころの健康センターで助言を受けた。「したいことをする」のが良く、音楽でも運動でも、自分に合ったストレス対処法を見つけたい▼身近な人や相談しやすい人と「話す」のも一つの方法。悩みが解決しなくても、話すだけで気持ちが晴れることがある。接する側に必要なのはじっくり耳を傾ける姿勢だという。心に留めたい▼周囲に元気のない友達や、前より言葉数が減った同僚はいないだろうか。休み明けは自分自身の調子に向き合いつつ、目配りの感度を少し上げたい。(上毛新聞・2022/05/04)

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 「みずき(水木・ミズキ)」は好きな花木で、いつでも小さな庭に二、三本は植えていました。とても樹勢の強い木で、ぼくのような怠け者で手入れなどもめったにしない人間にはうってつけでした。ちょうど田植えの終わるころ、拙宅の付近でもあちらこちらに大きな木や小さな木が、精一杯に枝葉を伸ばし花をつけようとしています。この期にはたくさんの種類がありまして、多くはアメリカンハナミズキだったりします。またトサミズキ(土佐水木)などもよくみられますが、種類が違うようで、葉の形が似ているので、そう呼ばれているそうです。この通称名は「マンサク」という。春には、最初に花が開くので「マズサク」からと、この名ができたという。ダジャレのような落ちですね。こちらも、家の近くでは、方々に見られます。この木は人の手が入らない、自然のママがいいですね。(植物には、いかにも「とってつけた」ような名前がたくさんあります)手入れが届かない、草ぼうぼうの庭にも、フジ、さつき、モッコウバラ、その他、何種類もの機器や草花が、盛んに開花を見せてくれています。

吾病んで 猶別れうき 皐月かな (子規)  ・くれなゐの影淡くゆれ花水木 (小島花枝)

 この「ハナミズキ」にかかわらせて、すぐに思い出されるのが、ぼくは詳しくは知らない人ですが、一青窈(ヒトトヨウ)さんの歌です。2004年にリリースされたので、すでに二十年近くになります。聞くとはなしに、これまでどれくらい耳にしてきたことでしょうか。歌の好き好きは、たいていは歌手の好き好きでもあります。しかし、それをこえて、メロディや歌詞が、縮小を止めない「わが脳髄」に刻まれるということもあるでしょう。じっくりと聴こうとはしないままに、その雰囲気に誘われて、ぼくはこのメロディをなぞっていたりします。今の季節、あるいは、惨状に満ちた戦乱のニュースが飛び込んでくる、この時代だからこそ、「空を押し上げて 手を伸ばす君」という詞がしみてきます。

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● はな‐みずき ‥みづき【花水木】=〘名〙 ミズキ科の落葉高木。北アメリカ原産で庭木や公園木として広く栽植される。葉は対生して楕円形ないし卵形。四、五月頃、枝先に短柄を出し、先端に一群の小花を球状に集め、それらの基部に大きな花弁状の総苞をつける。総苞片は四枚、倒卵形で先端は円く長さ五センチメートル近くあり、白色または淡紅色。小花は花弁四、雄しべ四、雌しべ一を持つ。ヤマボウシに似るが赤熟する果実は分離して集合果とならない。ドッグウッド。《・春》(精選版日本国語大辞典)

● トサミズキ とさみずき / 土佐水木 [学] Corylopsis spicata Sieb. et Zucc.=マンサク科(APG分類:マンサク科)の落葉低木。高さ3メートルほどになる。幹は黄褐色、よく分枝する。葉はやや厚く、卵円形、長さ5~10センチメートル、下面に軟毛があり、波状の低い鋸歯(きょし)がある。花は淡黄色で葉よりも先に開き、3~4月、下垂する穂状花序に7~10個つく。果実は長楕円(ちょうだえん)形の蒴果(さくか)で、黒いつやのある2種子がある。高知県に分布し、蛇紋岩地や石灰岩地に生える。葉がミズキに似ていて、土佐(とさ)で発見されたのでこの名がある。江戸時代から観賞用に栽培され、現在でも各地で庭園樹として普通に栽培されている。トサミズキ属は日本、朝鮮半島、中国、ヒマラヤに約25種が分布し、日本にはトサミズキのほかに、キリシマミズキ、コウヤミズキヒュウガミズキの3種がある。(ニッポニカ)

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空を押し上げて
手を伸ばす君 五月のこと
どうか来てほしい
水際まで来てほしい
つぼみをあげよう
庭のハナミズキ

薄紅色の可愛い君のね
果てない夢がちゃんと
終わりますように
君と好きな人が
百年続きますように

❖ 一青窈「ハナミズキ」:(https://www.youtube.com/watch?v=TngUo1gDNOg

 上は「マンサク」の葉と花。春一番に咲きますが、いかにも「清楚」という感じがして、ぼくは好んで植えてきました。春は「黄色」が数多く咲きますが、なかなか見事な「配剤」で、自然の造作の前では、人間は手足が出ないという心持になるのですが、いつでもどこでも、「自然」を踏み台にして、「自己実現」だか、「自己達成」を欲する人々も、世に廃れないんですね。(右端は「連翹(レンギョウ)」)

 本日は、ここまでにさせていただきます。(昨日の「正義と正義がぶつかっている」という「式辞」が後を引いています。「立場が変われば、正義も変わる」と(正気ぶって)言う人がいるという、この時代や社会の「寛容さ」「節度のなさ」に度肝を抜かれたようです)久しぶりに「一青窈」に浸りますかな。「優しい・の・は誰です」そう、デビュー曲は「もらい泣き」でしたね。「(ささやかなくつろぎの時が、どなたにも)百年続きますように」

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投稿者:

dogen3

「上を思えば限りがないと、下を見て咲く百合の花」になれるものなら、という想いです。それこそ、「高嶺の花」ですが。「昨日は俗人 今日は僧、生涯胡乱(うろん)これがわが能」と自称した一休さんは、一面では「相当な人物」だったと、歳をとるとともに思わされています。