羅針盤なき政治の末路、後は野となれ山となれ

【海潮音】マイナンバー(個人番号)カードの申請件数が運転免許証の保有者件数を超えた。人口に対する申請件数率は67・3%(1月22日現在)。カード交付が始まって7年。政府は今年3月末までに全国民に行き渡らせる目標を掲げる◆巨費を投じて取得者に最大2万円分のポイントを与えたり、健康保険証をカードに一本化する方針を打ち出したり、自治体へ地方交付税で締め付けをちらつかせたり。法律でカード取得を任意としているにもかかわらず、無理が通れば道理が引っ込む強引さだ◆自治体も国の大号令の下、あの手この手でカードの普及率を競い合う。そんな中、同姓同名の市民2人から同日にカード申請を受け顔写真を間違えた安来市の不手際はともかく、各地で看過できない事態も起きている◆岡山県備前市は、世帯全員のカード取得を給食費や保育料などの無償化の条件にする方針を打ち出し問題視されている。群馬県高崎市教委が小中学校長宛てに保護者にカード申請を勧めるよう通知して抗議の声が上がった例も報じられた◆行政手続きのデジタル化は地方自治をどう変えるのか。窓口の縮小、職員削減は容易に想像できるが、常識的な裁量行政がなくなるのではないかと懸念する。システムを使う人間がロボット化するのが怖い。(久)(日本海新聞・2023/02/01)

● マイナンバーカード= 各個人のマイナンバーや姓名などの情報が記されたICカードのこと。日本において住民票を有する全員に1人一つの番号を付す社会保障・税番号制度(マンナンバー制度)の施行に伴い、2016年1月以降に交付を受けることができる。15歳未満及び成年被後見人は法定代理人が申請し取得する。カード取得は義務ではないが、政府は取得を推奨している。15年9月現在、カードにはICチップがつき氏名・住所・生年月日・性別・顔写真・マイナンバー(個人番号)が記載される予定となっている。身分証明書として幅広く使用でき、自治体が条例で定める図書館カードや印鑑登録証などにも利用できる。(知恵蔵mini)(右文書は「備前市交付文書」東京新聞・2023年1月19日)

 あの手この手を駆使してでも、とにかくこの切符(首輪)を作らせたいと躍起になっている。その心は「国民は我が掌中にあり」(鵜匠に首根っこを押さえられた「鵜」さながら)という、政治行政側の下種(げす)の根性というものが見え透いている。「カード取得は義務ではないが、政府は取得を推奨している」とされるが、実際のところは、「取得を強制し、そのために脅迫行為も辞さない」ということだ。このコラムに記されているように、常軌を逸している「カード取得数(率)競争」は自治体のナンパぶり、あるいは脅迫・強請(ゆすり)まがいを如何なく映し出している。国民にとって、生活上はとても「便利なカード」を取らないと、ひどいことになるぞというのですから、その正体は何だと言われなくてもわかる。ぼくは、これを腹立ちいっぱい、情けないがための「泣き面」を堪(こら)えて書いていますが、一体この「強制取得」政策の「飴鞭両面作戦」での実施で、どれくらいの税金が「闇」に消えたか、消えつつあるか、消えようとしているか。政府が何かを「公共事業」として始めれば、必要経費の半分とは言わないが、それに近い金額が「横取り」「寸借」される、そんな悪徳体質の行政制度や組織で成り立っているのが「国家」というものの実態です。

 生きていく上で、不可欠な「必需品」なら、申し込むだけで「2万円」がもらえるというのは、一種の「異次元の小遣い」ともいえますが、2万円を呉れてやる(その金も、もともとは納税者のもの)からには、「倍返し」ならぬ「十倍返し」の集金・収奪を目論んでいるのです。(書類申請)するだけで「2万円」とは、とんでもない罠が仕掛けられているんですな。その罠にかかりたいのがいっぱいいる。政治が変わらないのは、国民(有権者)が変わることを望まないからだね。

  マイナカード顔写真間違え 安来市 安来市は17日、別人の写真を誤って表示したマイナンバーカードを交付したと発表した。同姓同名の市民が同じ日に申請し、写真の本人確認が十分でなかった。カードは既に回収し、再申請。個人情報の漏えいはなく、両者に謝罪した。/ 市によると、同姓同名の市民2人からの申請は12月上旬、それぞれ別の窓口で受け付け、市民課で職員がオンライン申請を行った。しかし、申請日ごとに管理している写真フォルダーに同姓同名のものがあることに気付かず、同じ写真を添付して申請したという。/ 他人の顔写真が載ったカードを受け受け取った市民から16日、市民課に連絡がありミスが判明。誤って写真を使われた市民のカードに問題はなかった。/ 市は「チェック体制の強化を図り再発防止に努める」とし、写真撮影の際のネームプレートと写真フォルダーには氏名のほか生年月日も表記するようした。(久保田恭子)(日本海新聞・2023年1月18日)

 面倒だから、このような馬鹿騒ぎには触れるつもりはありませんが、コラムで書かれたものだけを再引用しておきます。「枚挙に暇なし」とは、このような、劣島に充満している「愚行」をいうのでしょう。「岡山県備前市は、世帯全員のカード取得を給食費や保育料などの無償化の条件にする方針を打ち出し問題視されている。群馬県高崎市教委が小中学校長宛てに保護者にカード申請を勧めるよう通知して抗議の声が上がった例も報じられた」国がこうだから、自治体もそう、何の不思議もないんですね。国の制度導入に抗(あらが)えば、どういう仕打ちを受けるか、それこそ「枚挙に暇なし」ではあります。腐るほどある、腐っているものもある。(まだ「マイナカード」普及以前の段階で、個人情報はダダ漏れ。現下劣島を新歓させている「強盗団」は、政府や行政以上に「情報収集力」を持っているのは、どうしてか。このかーどでしか行政参加ができなくなると、いったいどういうことになるんですかね。「闇バイト」集団と行政側が、どこかで繋がっているんじゃありませんかと言いたくなる。

 これと同じような愚行(痴愚政策)の一例(これも、枚挙に暇なし)に「ふるさと納税」制度があります。これを懸命に悪用させる政府と、その恩恵(余得)を売り込もうとする自治(痴)体と、そこに旨味や「お得感」を感じ取ったつもりの納税者(利用者)という「欲ボケの三位一体」が、この痴愚政策をますます歪(いびつ)なものにしているのです。この(ふるさと納税)制度が始まって少したった頃、ぼくは一度だけ使ってみた。群馬県の小さな村(知っている自治体だった)への「寄付」だったが、「返礼品」というものが送られてきた。ハムかソーセージかの詰合せだった。お得かどうかではなく、「寄付」をしたからお礼の「粗品」ならわかる。しかし場合によっては、他地域の名産を「返礼品」として人気取りにやっ気になっている自治体もある。「納税して返礼品」と言うなら、国民の殆どは、国や自治体から「返礼品」を受け取る権利があるということにならないか。ぼくは、「寄付」を「税」と偽る制度を、その後一度も使っていない。すくなくとも、現住地の諸々の政策実現のための「納税」だということを忘れさせ、どうかすれば「ふるさと」へ寄付をすれば、特をするという「姑息」な金取政策は、とにかく筋が悪すぎるし、金持ちばかりを優遇(得)をする悪政は即刻中止すべきではないですか。何とも許せないのは「ふるさと」の悪用です。「忘れがたき 故郷」の濫用ぶりです。

● ふるさと納税(ふるさとのうぜい)= ふるさとや応援したい自治体へ寄付をした個人や法人の納税額を軽減する制度。公益にかなう寄付をした納税者の税額を減らす寄付税制の一種である。都市と地方の税収格差の是正が目的で、欧米に比べて遅れぎみの寄付文化を醸成する役割も期待されている。2004年(平成16)に長野県泰阜(やすおか)村が導入した寄付条例(泰阜村ふるさと思いやり基金条例)が前身で、改正地方税法が施行された2008年度から個人向け制度が始まった。自分のふるさとを応援するという趣旨からふるさと納税とよばれるが、全国どの自治体へも寄付できる。個人は寄付額から2000円を差し引いた額について、年収などに応じて限度額まで個人住民税や所得税から控除される。寄付先が5自治体までなら確定申告は不要である。個人は寄付額の30%以下の地場産品を返礼品として受け取ることができ、税の使い道を指定することも可能。2016年から企業版ふるさと納税制度(地方創生応援税制)が始まり、企業は自治体の進める地方創生事業(内閣府が認定)に寄付すると全額損金算入され、寄付額の最大6割分(2020年から5年間は最大9割分)の法人税や法人住民税が軽減される。/ 返礼品や控除制度が人気をよび、導入当初のふるさと納税額は年81億円であったが、ピークの2018年度(平成30)に5127億円に増え、寄付件数は2300万件を超えた。自治体の特典競争が過熱したほか、地場産品と関係ない換金性の高い返礼品が横行し、納税額の多くが返礼品購入に消え、地方財政に寄与しない例も出てきた。都市部中心に住民税控除額は2018年度に2447億円に達し、ふるさと納税が受益者負担原則に反すると批判された。このため政府は2019年(平成31)3月に地方税法を改正し、2019年(令和1)6月から返礼品を「寄付額の30%以下の地場産品」に規制し、従わない泉佐野(いずみさの)市(大阪)、高野(こうや)町(和歌山)、小山(おやま)町(静岡)、みやき町(佐賀)の4市町を制度から除外した。これに対し泉佐野市が2019年、除外取消訴訟を起こしたが、大阪高等裁判所は2020年、請求を棄却、しかし同年最高裁判所は大阪高裁判決を棄却し泉佐野市の逆転勝訴となった。(ニッポニカ)

 たくさんの「餌」をつけて釣り糸を垂れるのが、行政の仕事。それなりの利点が、政治行政の側と国民の側にもにあるというかも知れないが、現在のシステムでも「両得」は可能ではないですか、と言いたいね。情報化と言い、IT化と言い、AI化などと略語を並べ立てられて、知らないうちに「詐欺に合う」ということになりかねません。「ふるさと納税」というマヤカシも「マイナカード」という目くらましも、要するに国民に背番号をつけて、その一挙手一投足を補足しようという魂胆ばかりが見え透いているのです。「行政の効率化・利便性を高める」のが当たり前の業務になっていないところに、この仕組導入の肝がある。効率化も利便性も現状の(機能不全の)ままで、「所得や他の行政サービスの受給状態を把握しやすくなるため」という「お為ごかし」「嘘八百」が、じつは「罠」なんじゃないですか。税をいかにして「マネロン」し、おのれの懐に入れるか、それが政治行政の最大関心事だと言えば、語るに落ちた話でしょう。直近では、鳴り物入りで囃された「東京オリ・パラ」、終わってみれば、税を元手にした「サイコロ博打」であったし、それは魑魅魍魎たちが蠢(うごめ)く汚職の巣窟になり、賄賂の山が築かれていたではないか。あれは特別で、これは、そうではないというも笑止千万の「政治行政」の腐敗ぶりです。

マイナンバー(個人番号)とは 

マイナンバーとは行政を効率化し国民の利便性を高め公平公正な社会を実現する社会基盤です。 

住民票を有する全ての方に1人1つの番号をお知らせして、行政の効率化、国民の利便性を高める制度です。

公平・公正な社会の実現

所得や他の行政サービスの受給状態を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困った方にきめ細やかな支援を行うことができます。

行政の効率化

行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。

複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されます。

国民の利便性の向上

添付書類の削減など、行政手続きが簡素化され、国民の負担が軽減されます。 

行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関からの様々なサービスのお知らせを受け取ったりできます。(地方公共団体情報システム機構:https://www.kojinbango-card.go.jp/

____________________________

投稿者:

dogen3

 毎朝の洗顔や朝食を欠かさないように、飽きもせず「駄文」を書き殴っている。「惰性で書く文」だから「惰文」でもあります。人並みに「定見」や「持説」があるわけでもない。思いつく儘に、ある種の感情を言葉に置き換えているだけ。だから、これは文章でも表現でもなく、手近の「食材」を、生(なま)ではないにしても、あまり変わりばえしないままで「提供」するような乱雑文である。生臭かったり、生煮えであったり。つまりは、不躾(ぶしつけ)なことに「調理(推敲)」されてはいないのだ。言い換えるなら、「不調法」ですね。▲ ある時期までは、当たり前に「後生(後から生まれた)」だったのに、いつの間にか「先生(先に生まれた)」のような年格好になって、当方に見えてきたのは、「やんぬるかな(「已矣哉」)、(どなたにも、ぼくは)及びがたし」という「落第生」の特権とでもいうべき、一つの、ささやかな覚悟である。(2023/05/24)