
どこをとっても、こんな事態が起こるとは、「非常戒厳」を敷こうとした当事者たちを除いては、だれも想定できなかったでしょう。 時に、このような「悪夢(ナイトメア)」は、ある日突然起こり、突然終幕を迎える(ことがある)。つまり、これは一幕一場の「韓流・サル芝居」だったということで、それで終われば「なんだったんだよ」という余韻は残るが、残り続けるが、多くは歴史の忘却の彼方に消えてゆく運命にある。ぼくの直感ですから、あてにはなりませんが、この「クーデター計画(夢想)は、韓国の社会に計り知れない残滓(ざんし)を遺し続けるであろうと、ぼくは考えている。この東海の小島といえども、その残響を聞かないわけにはいかないでしょうし、余波は受け続けることになるでしょう。
この危機極まる「寸劇」を眺めていて、三十年も前のディズニーのアニメーション映画のことを辛うじて思い出しています。主人公はジャック・スケリントン。ハロウィン村の「大王」です。毎年訪れる「ハロウィン」の陳腐さに飽き足りず、もっと刺激のあることを画策するのでした。今般の韓国大統領の「独演会(自作自演)」は、まさしく「クリスマス前の悪夢」そのものだったと思う。まさかこんなことが今の韓国に起こるとは、お釈迦様はもちろん、彼の国の誰もは考えてもいなかったし、起こそうとした当人たちも、「非常戒厳」を発布したまでは勢い(酔狂)があったけれど、とたんに目が覚めたか。自分たちだけはまともで、他はすべて狂っていると、ほとんどの狂人は考える、そのように大統領とその取り巻きは信じ込んでいた。だが、いったん「宣言」した直後に身の震えが来て、突如、酔いが醒めたのか、正常に戻ったと思い違いをしたのか、「戒厳令」を取り下げた。この後の展開は、簡単に読めそうでいて、容易には読めない。

「一件落着」とはいかないのが、今日の世界と政界です。ぼくはここで中国春秋時代、楚の国の詩人・屈原(前340ころ〜前278ころ)の言葉を思い出します。「衆酔独醒(しゅうすいどくせい)」、「「衆人皆酔えるに、我独り醒めたり」と。屈原は他人の讒言(ざんげん)のによって、その地位を追われ、屈辱の死を迎えた。韓国大統領に屈原詩人を重ねることは断じてできないのは、彼自身が保身のために「独裁・専制」という「悪夢」を描いたからです。その悪夢は、当人にとってと同時に、国家国民すべてにとっても、正夢になりかけようとしたのでした。まさに危機一髪。
⦿ くつ‐げん【屈原】= [ 一 ] 中国、戦国時代の楚の政治家、文人。名は平。字(あざな)は原。楚王の一族で懐王に信任され、左徒、三閭大夫(さんりょたいふ)となる。頃襄王(けいじょうおう)のとき、中傷にあって江南に追放され、時世を憂えて悩み苦しんだすえ、泪羅(べきら)の淵に身を投じた。「楚辞」の代表作家で、その自伝的叙事詩「離騒」は後世の文学に大きな影響を与えた。ほかに「天問」「九歌」など。(前三四〇頃‐前二七八頃)(精選版日本国語大辞典)

民主主義はおどろくほど軟弱であり、安定性(落ち着き)がありません。そこからは素晴らしい法律・制度(社会システム)が生まれることもあれば、信じられない悪夢・凶事(専断政治・独裁権力、騒乱頻発など)も招き寄せてしまう。いつだって、それは新生児か幼児のような脆弱さを持っているのです。現代韓国は「ハロウィン・タウン」ではないし、尹大統領は「町の大王・ジャック・スケリントン」ではないでしょう。でも、あたかも劇中の「悪夢」が「冬のソナタ」ならぬ、六時間の狂詩曲を掻き鳴らしたかのような事態をもたらしたのは「夢」ではなかった。(氷点下のソウル市内や韓国各地に、多くの市民が「非常戒厳反対」「大統統領弾劾」を掛け声に、集結した状況を見ていて、こみ上げるものがありました)代議制、間接民主主義にとって「選挙」が何よりのバックボーンですけれど、その「選挙」が「魔王」を生み、独裁者を招き寄せるのです。欧米にもまた、民主主義の不可欠条件でもある選挙によって「妖怪」が生まれようとしている。この瑞穂の国も例外ではありません。欧州で暴れまくった、前回の「妖怪(monster)」を退治してから、幾年(一世紀)も経ていないのに、です。「妖怪は死んではいなかった」「今や、妖怪の子は世界中を闊歩しだしている」という末世の時節でしょう。

「ハロウィン・タウン。それは年に一度のハロウィンのお祭りを人間界へ送り出す不思議な町。しかし、この町の人気者“カボチャ王”ことジャックは、毎年同じように繰り返されるハロウィンの準備にうんざりしていた。ある日、ジャックは森の中で奇妙な扉を見つける。そのひとつを開いてみると、そこはハロウィン・タウンとはまったく別の、陽気で明るいクリスマス・タウンだった。一面の銀世界にピカピカ光るライト、心はずむケーキやツリー、そして優しい人たち。たちまち、その初めての世界に魅せられたジャックは、彼に想いを寄せるつぎはぎ人形サリーの心配をよそに、自分流のクリスマスを計画する。ジャックが夢見たハロウィン風クリスマスとは…?」(「ティム・バートン(原作) :ナイトメアー・ビフォア・クリスマス 」(https://www.disney.co.jp/fc/nbc)
「The Nightmare Before Christmas – This is Halloween (Lyrics)」:(https://www.youtube.com/watch?v=fW4XLxeBjtw&list=PLwrMm69NXHFztSFXji5OeRxCgFdHYGViu&ab_channel=MovieClips)

【産経抄】国の命運を質草に、尹大統領の「非常戒厳」 ソウルでアジア競技大会が開かれたのは、韓国がまだ軍政下にあった1986年である。当時の全斗煥政権は、民主化の動きに神経を尖(とが)らせていた。街の方々に学生デモを鎮圧した催涙ガスが残り、歩けば目や鼻が痛んだという。▼現地で取材した先輩から、そう聞かされた。「夜は3人以上で歩くな」と注意を受けていたそうだが、酒場は繁盛していたらしい。それがソウル五輪の2年前である。民主主義国家としての鼓動が、抑え難いほどに高まっていた様子がうかがえる。▼尹錫悦大統領はいつの時代に時計の針を合わせたのだろう。3日夜に発した唐突な「非常戒厳」である。国会で多数派を占める野党「共に民主党」が国政や司法を麻痺(まひ)させている―と。与野党からは批判の声が上がり、国会の決議を受けて宣言から約6時間後に戒厳令を解いた。▼野党に主導権を握られ、国政が立ち行かなくなっているとはいえ、常軌を逸している。尹氏の側近は一斉に辞意を表明し、野党側は弾劾する構えだ。政情不安は、北朝鮮などを喜ばせるだけだろう。さまざまな余波に、わが国も備えねばならない。▼尹氏がソウル大学法学部に入学したのは79年である。在学中に仲間と模擬裁判を開き、クーデターで実権を握った全氏に、裁判長役の尹氏が「無期懲役」を言い渡した話は知られている。腕ずくで権力を奪う行為は民主主義と相いれないと、わきまえていた人ではなかったのか。▼政権支持率の低迷には尹夫人の醜聞も影を落としている。<総じて人は己れに克つを以て成り、自ら愛するを以て敗るゝぞ>と西郷隆盛の遺訓にある。無謀な乾坤一擲(けんこんいってき)に私心は混じっていなかったか。国の命運に加え、東アジアの安定も質草にした暴挙だろう。(產經新聞・2024/12/05)

【斜面】口実はいかようにも 深夜のたくらみは朝を待たずについえた。韓国の大統領が非常戒厳を突如宣言し、国会に軍を突入させた。1980年代までの軍事独裁がよみがえるような事態だ。議員や市民が即座に抵抗して、民主国家の基盤はかろうじて守られた◆尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は妻の醜聞などで支持を失い、与党は4月の総選挙で大敗。国会と鋭く対立し、政権運営は手詰まりとなる。支持率はどん底。局面打開の賭けに出たか。民心を顧みない強権的な政治家の本性を見せられた気がする。まさに墓穴を掘った◆「血を吐く心情で訴える」と始まる戒厳宣言。主張はこうだ。野党による予算削除などは「内乱を画策する反国家行為」であり、国会は自由民主主義を崩壊させる「怪物」であり、自分は北朝鮮に従う勢力を撲滅して憲法秩序を守る。そのため政治活動を禁じ、言論を統制する―◆憲法を守るため、憲法を制限する? 無理筋な理屈だ。対話なき政治と指導者の錯誤はかくも危うい。戦前の日本も戒厳などで国民は合法的に統制された。現行憲法にそうした定めがないのは、さまざまな口実で民主主義が壊される危険に備えたからだ◆今の改憲論議で取り沙汰される緊急事態条項も、政府に憲法の原則を超えた強い権限を与える点は戒厳と変わらない。災害対応を前面に掲げながら、体制の維持に使われ、民(たみ)が抑圧されないか。議論の行方に用心が要る。統制と弾圧を直接体験した世代がいなくなりつつある国なのだから。(信濃毎日新聞・2024/12/05)
(追記・少しずつ、事件の続報が入ってきている。まだまだ余韻は冷めないどころか、さらに大きな転回を見せるかもしれません。たぶん、大統領は「内乱罪」等の容疑で逮捕され、いずれ「極刑」は免れないという報道も出ています。狂気の沙汰というべきでしょう)(2024/12/06,pm.16.00.追記する)

尹大統領「非常戒厳」宣言…その時、名指しされた「逮捕対象者」9人の名前 【12月06日 KOREA WAVE】韓国・国家情報院(国情院)のホン・ジャンウォン第1次長(写真左)は6日、「非常戒厳」発表直後にユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が電話で「この機会にすべて捕まえて整理しろ」と指示し、国軍防諜司令部を支援するよう命じたと明らかにした。 ホン次長は同日、シン・ソンボム情報委員長との面談の場でこのように発言したと、情報委員会所属の野党幹事であるキム・ビョンギ議員(共に民主党)が伝えた。 この時、ユン大統領は「国情院にも対共捜査権(国家保安法違反のスパイ活動などを捜査する権限)を与えるから、まず防諜司令部を支援しろ。資金が必要なら資金を、人員が必要なら人員を無条件で支援しろ」と述べたという。 大統領との通話直後、ホン次長はヨ・インヒョン防諜司令官に電話をかけ「何を支援すればよいか」と尋ねたところ、ヨ・インヒョン氏は「逮捕班が(国会に)出向いているが所在が把握できない」とし、「逮捕対象者の名簿を読み上げるので位置追跡をしてほしい」と求めた。/ この時、伝えられた名簿には▽「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表▽ウ・ウォンシク(禹元植)国会議長▽与党「国民の力」のハン・ドンフン(韓東勲)代表▽「共に民主党」のキム・ミンソク(金民錫)最高委員▽「共に民主党」のパク・チャンデ(朴賛大)院内代表▽「共に民主党」のチョン・チョンレ(鄭清来)議員▽野党「祖国革新党」のチョ・グク(曺国)代表▽ラジオDJのキム・オジュン氏▽キム・ミョンス元最高裁判事――の氏名があったという。 ホン次長はこうした話を聞いたあと「狂っていると思った」と述べ、それ以上はメモしなかったと語った。(c)KOREA WAVE/AFPBB News・2024.12.06(金) 15:21。(https://news.yahoo.co.jp/articles/cf8b620ab7c76b2267f8e8fd26c570b25895be71)
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