The Nightmare Before Christmas

 どこをとっても、こんな事態が起こるとは、「非常戒厳」を敷こうとした当事者たちを除いては、だれも想定できなかったでしょう。 時に、このような「悪夢(ナイトメア)」は、ある日突然起こり、突然終幕を迎える(ことがある)。つまり、これは一幕一場の「韓流・サル芝居」だったということで、それで終われば「なんだったんだよ」という余韻は残るが、残り続けるが、多くは歴史の忘却の彼方に消えてゆく運命にある。ぼくの直感ですから、あてにはなりませんが、この「クーデター計画(夢想)は、韓国の社会に計り知れない残滓(ざんし)を遺し続けるであろうと、ぼくは考えている。この東海の小島といえども、その残響を聞かないわけにはいかないでしょうし、余波は受け続けることになるでしょう。

 この危機極まる「寸劇」を眺めていて、三十年も前のディズニーのアニメーション映画のことを辛うじて思い出しています。主人公はジャック・スケリントン。ハロウィン村の「大王」です。毎年訪れる「ハロウィン」の陳腐さに飽き足りず、もっと刺激のあることを画策するのでした。今般の韓国大統領の「独演会(自作自演)」は、まさしく「クリスマス前の悪夢」そのものだったと思う。まさかこんなことが今の韓国に起こるとは、お釈迦様はもちろん、彼の国の誰もは考えてもいなかったし、起こそうとした当人たちも、「非常戒厳」を発布したまでは勢い(酔狂)があったけれど、とたんに目が覚めたか。自分たちだけはまともで、他はすべて狂っていると、ほとんどの狂人は考える、そのように大統領とその取り巻きは信じ込んでいた。だが、いったん「宣言」した直後に身の震えが来て、突如、酔いが醒めたのか、正常に戻ったと思い違いをしたのか、「戒厳令」を取り下げた。この後の展開は、簡単に読めそうでいて、容易には読めない。

 「一件落着」とはいかないのが、今日の世界と政界です。ぼくはここで中国春秋時代、楚の国の詩人・屈原(前340ころ〜前278ころ)の言葉を思い出します。「衆酔独醒(しゅうすいどくせい)」、「「衆人皆酔えるに、我独り醒めたり」と。屈原は他人の讒言(ざんげん)のによって、その地位を追われ、屈辱の死を迎えた。韓国大統領に屈原詩人を重ねることは断じてできないのは、彼自身が保身のために「独裁・専制」という「悪夢」を描いたからです。その悪夢は、当人にとってと同時に、国家国民すべてにとっても、正夢になりかけようとしたのでした。まさに危機一髪。

⦿ くつ‐げん【屈原】= [ 一 ] 中国、戦国時代の楚の政治家、文人。名は平。字(あざな)は原。楚王の一族で懐王に信任され、左徒、三閭大夫(さんりょたいふ)となる。頃襄王(けいじょうおう)のとき、中傷にあって江南に追放され、時世を憂えて悩み苦しんだすえ、泪羅(べきら)の淵に身を投じた。「楚辞」の代表作家で、その自伝的叙事詩「離騒」は後世の文学に大きな影響を与えた。ほかに「天問」「九歌」など。(前三四〇頃‐前二七八頃)(精選版日本国語大辞典)

 民主主義はおどろくほど軟弱であり、安定性(落ち着き)がありません。そこからは素晴らしい法律・制度(社会システム)が生まれることもあれば、信じられない悪夢・凶事(専断政治・独裁権力、騒乱頻発など)も招き寄せてしまう。いつだって、それは新生児か幼児のような脆弱さを持っているのです。現代韓国は「ハロウィン・タウン」ではないし、尹大統領は「町の大王・ジャック・スケリントン」ではないでしょう。でも、あたかも劇中の「悪夢」が「冬のソナタ」ならぬ、六時間の狂詩曲を掻き鳴らしたかのような事態をもたらしたのは「夢」ではなかった。(氷点下のソウル市内や韓国各地に、多くの市民が「非常戒厳反対」「大統統領弾劾」を掛け声に、集結した状況を見ていて、こみ上げるものがありました)代議制、間接民主主義にとって「選挙」が何よりのバックボーンですけれど、その「選挙」が「魔王」を生み、独裁者を招き寄せるのです。欧米にもまた、民主主義の不可欠条件でもある選挙によって「妖怪」が生まれようとしている。この瑞穂の国も例外ではありません。欧州で暴れまくった、前回の「妖怪(monster)」を退治してから、幾年(一世紀)も経ていないのに、です。「妖怪は死んではいなかった」「今や、妖怪の子は世界中を闊歩しだしている」という末世の時節でしょう。 

 「ハロウィン・タウン。それは年に一度のハロウィンのお祭りを人間界へ送り出す不思議な町。しかし、この町の人気者“カボチャ王”ことジャックは、毎年同じように繰り返されるハロウィンの準備にうんざりしていた。ある日、ジャックは森の中で奇妙な扉を見つける。そのひとつを開いてみると、そこはハロウィン・タウンとはまったく別の、陽気で明るいクリスマス・タウンだった。一面の銀世界にピカピカ光るライト、心はずむケーキやツリー、そして優しい人たち。たちまち、その初めての世界に魅せられたジャックは、彼に想いを寄せるつぎはぎ人形サリーの心配をよそに、自分流のクリスマスを計画する。ジャックが夢見たハロウィン風クリスマスとは…?」(「ティム・バートン(原作) :ナイトメアー・ビフォア・クリスマス 」(https://www.disney.co.jp/fc/nbc

 「The Nightmare Before Christmas – This is Halloween (Lyrics)」:(https://www.youtube.com/watch?v=fW4XLxeBjtw&list=PLwrMm69NXHFztSFXji5OeRxCgFdHYGViu&ab_channel=MovieClips

【産経抄】国の命運を質草に、尹大統領の「非常戒厳」 ソウルでアジア競技大会が開かれたのは、韓国がまだ軍政下にあった1986年である。当時の全斗煥政権は、民主化の動きに神経を尖(とが)らせていた。街の方々に学生デモを鎮圧した催涙ガスが残り、歩けば目や鼻が痛んだという。▼現地で取材した先輩から、そう聞かされた。「夜は3人以上で歩くな」と注意を受けていたそうだが、酒場は繁盛していたらしい。それがソウル五輪の2年前である。民主主義国家としての鼓動が、抑え難いほどに高まっていた様子がうかがえる。▼尹錫悦大統領はいつの時代に時計の針を合わせたのだろう。3日夜に発した唐突な「非常戒厳」である。国会で多数派を占める野党「共に民主党」が国政や司法を麻痺(まひ)させている―と。与野党からは批判の声が上がり、国会の決議を受けて宣言から約6時間後に戒厳令を解いた。▼野党に主導権を握られ、国政が立ち行かなくなっているとはいえ、常軌を逸している。尹氏の側近は一斉に辞意を表明し、野党側は弾劾する構えだ。政情不安は、北朝鮮などを喜ばせるだけだろう。さまざまな余波に、わが国も備えねばならない。▼尹氏がソウル大学法学部に入学したのは79年である。在学中に仲間と模擬裁判を開き、クーデターで実権を握った全氏に、裁判長役の尹氏が「無期懲役」を言い渡した話は知られている。腕ずくで権力を奪う行為は民主主義と相いれないと、わきまえていた人ではなかったのか。▼政権支持率の低迷には尹夫人の醜聞も影を落としている。<総じて人は己れに克つを以て成り、自ら愛するを以て敗るゝぞ>と西郷隆盛の遺訓にある。無謀な乾坤一擲(けんこんいってき)に私心は混じっていなかったか。国の命運に加え、東アジアの安定も質草にした暴挙だろう。(產經新聞・2024/12/05)
【斜面】口実はいかようにも 深夜のたくらみは朝を待たずについえた。韓国の大統領が非常戒厳を突如宣言し、国会に軍を突入させた。1980年代までの軍事独裁がよみがえるような事態だ。議員や市民が即座に抵抗して、民主国家の基盤はかろうじて守られた◆尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は妻の醜聞などで支持を失い、与党は4月の総選挙で大敗。国会と鋭く対立し、政権運営は手詰まりとなる。支持率はどん底。局面打開の賭けに出たか。民心を顧みない強権的な政治家の本性を見せられた気がする。まさに墓穴を掘った◆「血を吐く心情で訴える」と始まる戒厳宣言。主張はこうだ。野党による予算削除などは「内乱を画策する反国家行為」であり、国会は自由民主主義を崩壊させる「怪物」であり、自分は北朝鮮に従う勢力を撲滅して憲法秩序を守る。そのため政治活動を禁じ、言論を統制する―◆憲法を守るため、憲法を制限する? 無理筋な理屈だ。対話なき政治と指導者の錯誤はかくも危うい。戦前の日本も戒厳などで国民は合法的に統制された。現行憲法にそうした定めがないのは、さまざまな口実で民主主義が壊される危険に備えたからだ◆今の改憲論議で取り沙汰される緊急事態条項も、政府に憲法の原則を超えた強い権限を与える点は戒厳と変わらない。災害対応を前面に掲げながら、体制の維持に使われ、民(たみ)が抑圧されないか。議論の行方に用心が要る。統制と弾圧を直接体験した世代がいなくなりつつある国なのだから。(信濃毎日新聞・2024/12/05)

(追記・少しずつ、事件の続報が入ってきている。まだまだ余韻は冷めないどころか、さらに大きな転回を見せるかもしれません。たぶん、大統領は「内乱罪」等の容疑で逮捕され、いずれ「極刑」は免れないという報道も出ています。狂気の沙汰というべきでしょう)(2024/12/06,pm.16.00.追記する)

 尹大統領「非常戒厳」宣言…その時、名指しされた「逮捕対象者」9人の名前 【12月06日 KOREA WAVE】韓国・国家情報院(国情院)のホン・ジャンウォン第1次長(写真左)は6日、「非常戒厳」発表直後にユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が電話で「この機会にすべて捕まえて整理しろ」と指示し、国軍防諜司令部を支援するよう命じたと明らかにした。 ホン次長は同日、シン・ソンボム情報委員長との面談の場でこのように発言したと、情報委員会所属の野党幹事であるキム・ビョンギ議員(共に民主党)が伝えた。 この時、ユン大統領は「国情院にも対共捜査権(国家保安法違反のスパイ活動などを捜査する権限)を与えるから、まず防諜司令部を支援しろ。資金が必要なら資金を、人員が必要なら人員を無条件で支援しろ」と述べたという。 大統領との通話直後、ホン次長はヨ・インヒョン防諜司令官に電話をかけ「何を支援すればよいか」と尋ねたところ、ヨ・インヒョン氏は「逮捕班が(国会に)出向いているが所在が把握できない」とし、「逮捕対象者の名簿を読み上げるので位置追跡をしてほしい」と求めた。/ この時、伝えられた名簿には▽「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表▽ウ・ウォンシク(禹元植)国会議長▽与党「国民の力」のハン・ドンフン(韓東勲)代表▽「共に民主党」のキム・ミンソク(金民錫)最高委員▽「共に民主党」のパク・チャンデ(朴賛大)院内代表▽「共に民主党」のチョン・チョンレ(鄭清来)議員▽野党「祖国革新党」のチョ・グク(曺国)代表▽ラジオDJのキム・オジュン氏▽キム・ミョンス元最高裁判事――の氏名があったという。 ホン次長はこうした話を聞いたあと「狂っていると思った」と述べ、それ以上はメモしなかったと語った。(c)KOREA WAVE/AFPBB News・2024.12.06(金) 15:21。(https://news.yahoo.co.jp/articles/cf8b620ab7c76b2267f8e8fd26c570b25895be71

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冬空にMIRAGE…、瞬時に撃墜された 

 民主主義が暴力と虚偽で死滅寸前 ~ さしずめ韓国版「12.04事件」と述べておく。劣島の「2.26事件」に肖(あやか)るのではないが、一種の「クーデター(coup d’État)」であることは間違いない。大統領による「国家転覆」とは穏やかではないが、今のままでは自らの「権力」が根っこから削(そ)がれ、遠からず破滅に至るであろうから、乾坤一擲(けんこんいってき)、「勝負」に出、独裁宣言を発した(つもりだった)のである。ぼくが驚いたのは、大統領が発布した「戒厳令」にではなく、それを容認(支持)した勢力が少なくとも大統領の側近に一定数の勢力を持っていたという事実だ。「独裁」とは、たった一人で権力を振るうのではなく、それを支える少数の追従者がいる、それを擁した政治をして、「専制主義(despotism)」とぼくは指摘しておく。

 報道によれば、この「クーデター」は三か月前から準備されていたという。それにしてはお粗末の極み。狂った独裁願望者というべきか。選挙で選ばれた国会議員の多数が、大統領に反旗を翻したという理由で「従北勢力の暗躍」だというのは被害妄想。選挙民は選んではいけない、候補者になってはいけない人物が最高権力者の椅子につくと、いずれはこうなるという教科書通りの展開だったと思う。民主主義を標榜していた韓国で、隣国(北朝鮮)も驚くような政治暴力が白昼ではなく、深夜堂々と振るわれたのだ。ワシントンポストではないが「民主主義は暗闇で死ぬ」という見本のような大統領の「自作自滅」「自縄自縛」ではなかったか。

 国会において過半数を占める勢力を「北朝鮮共産勢力の脅威」と罵倒し、それを理由に「憲政秩序を守るために非常戒厳を宣布する」と、いったい誰が、乱雑極まる「紙芝居の台本」を書いたのか。「選挙」で選ばれた大統領が、同じく「選挙」で選ばれた国会議員を「従北勢力」と断罪した、その「反共精神」の横溢は、もはや国家経営の指導者としての資格も能力も持ち得ないことを世界に知らしめたというべきだろう。「この男狂暴につき」と、直ちに立ち上がった市民の意気や壮たりと、ぼくは言いたい。翻って、この劣島は…、と混ぜ返すことは止めておく。比較するのではないが、この小島国の政治状況は、韓国に比べてはるかにましだと、どこを探してもぼくには言えないのだ。頽廃や堕落がいたるところで、その荒廃の度を深めているとしか思えない。

 隣国の突然の政治自爆を見て、「他山の石以て玉を攻むべし」、とぼくたちには言えるだろうか。(My quick decision・2024/12/05)

(ヘッダー写真「国会前では多くの市民が集まり、突然の非常戒厳に抗議した」・https://www.bbc.com/japanese/articles/cr564eq6l3eo

(CNN) 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は2022年の大統領選で、韓国史上最小となる0.7ポイント差の僅差(きんさ)で勝利した。/当時、一部の有権者は他候補への嫌悪感が勝ったと記者に語っており、変化への信任を得たとは言いがたい状況だった。尹氏は政治経験の乏しい元検察官で、国内でも国外でも知名度は低かった。/英ロンドン大キングスカレッジのラモン・パチェコ・パルド教授は、「アウトサイダーの立場が党内での尹大統領の妨げになった」との見方を示す。/保守派の指導者ですら直ちに戒厳令に反対した理由はこれで説明がつくだろう。/尹氏の妻、金建希(キムゴニ)氏も絡む一連のスキャンダルは、脆弱(ぜいじゃく)な支持率をむしばんでいった。今回の戒厳令騒ぎの前に行われた韓国ギャラップによる直近の世論調査によると、尹氏の支持率はわずか19%に低迷していた。
 野党「共に民主党」が過半数を握る国会で、尹氏は政策課題の推進に苦心している。有権者の目には、経済や不動産価格、低出生率、平等といった自分たちに重要な問題にほとんど進展がない状況と映る。/皮肉なことに、尹氏は16年、朴槿恵(パククネ)元大統領の弾劾(だんがい)訴追につながった汚職事件の捜査を率いたことで名声を獲得した。これも皮肉だが、尹氏が戒厳令宣布を正当化するために持ち出した理由の一つは、野党「共に民主党」による検察幹部の弾劾訴追案だった。/尹氏自身の弾劾を求める声は今後、ますます大きくなるだろう。これまで弾劾を求める声の中心にあったのは汚職疑惑で、何週間にもわたって尹氏の辞任を求めるデモが続いていた。/大統領就任後2週間足らずの時期に記者がインタビューした時、尹氏は机の上にあるバイデン米大統領から贈られたプレートを誇らしげに見せてくれた。そこには「責任は自分が取る(The buck stops here)」と書かれていた。/尹氏の身内の与党指導者からも説明を求める声が出る中、トルーマン元大統領のこの言葉は改めて重要性を帯びている。◇本稿はCNNのポーラ・ハンコックス記者による分析記事です。(https://www.cnn.co.jp/world/35226874.html)(2024/12/04)

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 「従北勢力が暗躍」独自の危機感に動かされた韓国・尹大統領 理解と支持は広がらず 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、令状なしの拘束を可能にするなど国民の権利を著しく制限できる「非常戒厳」の宣布という極端な手段に突如、走ったかに見える。だが、今回の動きにつながる独自の政治観と危機意識を就任前からのぞかせていた。/その政治観は3日夜の緊急談話にも表れた。「私は北朝鮮共産勢力の脅威から国を守り、国民の自由と幸福を略奪する従北勢力を撲滅し、憲政秩序を守るために非常戒厳を宣布する」/「共に民主党」など野党側は北朝鮮に従う「従北勢力」で「内乱を画策する犯罪者集団」だと非難し、戒厳はそれを一掃するために不可避の措置だという主張だ。/従北勢力が暗躍する社会を正常化させる必要があるとの認識は大統領選への出馬を決めた2021年から見せていた。尹氏が反対論を押し切って日本との関係改善にかじを切ったのも、北朝鮮や従北勢力から国を守るためには、日米韓の安全保障協力が不可欠との強い信念が背景にあった。/野党は閣僚らの弾劾訴追案の国会提出を連発。尹氏の「急所」といえる妻の疑惑を追及し続けた。25年予算案を巡り、野党が尹氏の重視する麻薬取り締まりや治安関連の予算を削減し、単独可決させたことで怒りが発火点に達したようだ。
 今年8月に尹氏が大統領警護処長だった金竜顕(キム・ヨンヒョン)氏を国防相候補に指名した後で、野党が「戒厳疑惑」を持ち出したことがある。金氏の警護処長在任中、警護処は一定数の軍や警察を指揮できるよう権限を拡大されていたため、戒厳の布石ではないかと勘繰ったのだ。/金氏は尹氏と同じ高校出身。戒厳を建議できる行政安全相も同じ高校出身だった。自らに考えが近い者で周囲を固め、野党やメディアからの批判にさらされ続けた中で、「従北勢力を撲滅する」には強硬手段もやむを得ないとの考えに傾いた可能性がある。/だが、それが与党や国民の間で理解と支持を広げることはなかった。/金国防相は国会で戒厳説をこう否定していた。「今の韓国で戒厳をすると言って軍が従うか。私は絶対従わないと思う」。実際、国会に突入した兵士らも能動的な動きを見せないまま、国会からの要求に従い、数時間で解除を余儀なくされた。(ソウル支局長 桜井紀雄)(產經新聞・2024/12/04)

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とにかく生きておれ。病気は後で…

 小学校の何年生だったか、おそらく教科書か何かで読んだことがあったのだろうと思う。アフリカ・ガボンの奥地、ランバレネに入って医療活動に尽くした「アルベルト・シュバイシュツアー(1875~1965)」のことを思い続けていた時期があります。(後年には、もっぱらオルガニストとして、そのバッハオルガン曲演奏を聴き続けることによって、偲び続けてきました)また、英領ゴールドコースト(現ガーナ)で客死した野口英雄(1876~1928)のことも。何年か前には福島の彼の生家跡を尋ねたこともあります。

 「偉人(great person)」とはこういう人を言うのだろうか、と長年にわたって、彼らの仕事の意義を知ろうとしてきました。もう何十年前にもなりますが、中村哲氏がパキスタンやアフガニスタンに入られて、それこそ強靭な意志力で医療活動やそれを生かすための現地におけるインフラ整備事業に尽力されている報道に接するたびに驚くと同時に敬意を示してきました。後になり、彼を支える団体だった「ペシャワール会」について首を突っ込もうとした時期もありました。五年前の12月4日に、中村さんが銃撃されたという一報を聞いた時の衝撃は今でも忘れられません。

 中村哲さんについて、いくつかの思い出や個人的な感想は持っていますが、それはそれ。非業の死から五年、ひたすた、その生涯の軌跡をたどるばかりですし、それをして、彼の「偉業(great achievement)」に改めて深甚の敬意を捧げるものです。

・飄々と風うけながしかね異土の霜(無骨)

⦿ 中村哲(なかむらてつ)[生]1946.9.15. 福岡,福岡 [没]2019.12.4. アフガニスタン,ジャラーラーバード 医師。35年以上にわたりパキスタンおよびアフガニスタンで医療,灌漑事業を通じて支援活動を行なった。中学生のときに福岡県福岡市の教会で洗礼を受け,クリスチャンとなる。1973年九州大学医学部を卒業し,神経内科医として病院に勤務。1983年日本キリスト教海外医療協力会 JOCSが中村医師のパキスタン派遣を決定したのをうけて,活動支援のための非政府組織 NGO「ペシャワール会」が発足,現地代表となる。翌 1984年にパキスタンの北西辺境州(→カイバル・カイバル・パクトゥクワ州)の州都ペシャワルの病院に着任してハンセン病の治療に従事し,1986年以降国境付近の難民キャンプに避難しているアフガニスタン難民(→アフガニスタン紛争)の一般治療も行なう。またハンセン病患者の足底穿孔症予防用のサンダルの工房を病院に開設する。(↴)

 1989年アフガニスタンに入り,1991年以降,山岳部の無医村に診療所を次々と開き,悪性マラリアなどの感染症の治療や対策にもあたる。1998年,ペシャワルに拠点病院を設置し,山岳部への医師の交代派遣を行なう。2000年,アフガニスタン全土の干魃をうけて,医療と並行して水源確保および緑化のための事業に乗り出す。ジャラーラーバードを拠点に飲料用井戸や地下水路,農地回復のための大規模用水路を建設し,試験農場や学校・訓練所を開設する。2019年12月4日,ジャラーラーバードで銃撃され,運転手,警備員とともに死亡。2003年マグサイサイ賞,2013年福岡アジア文化賞大賞,菊池寛賞,2018年土木学会技術賞受賞。2016年旭日双光章受章。ピース・ジャパン・メディカル・サービス(PMS。平和医療団・日本)総院長。著書に『医者井戸を掘る』(2001),『天,共に在り アフガニスタン三十年の闘い』(2013)など。(ブリタニカ国際大百科事典)  

(ヘッダー写真は「継承される中村哲の希望」村上優」長周新聞・2023年1月10日)(https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/25500

【新生面】「とにかく生きておれ」 アフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲医師は赴任当初、主にハンセン病患者の治療に当たった。その時の挿話を大牟田市への帰省時に聞いたことがある▼辺境の村に診察に赴くと、一人の村人が「ハンセン病は恐ろしい。患者が近くにいたら俺は逃げ出すよ」と訴えた。その隣に座った村人も「そうだ、そうだ」と大きくうなずいているのだが、明らかにハンセン病の症状が現れていた▼「無知ゆえの偏見は確かにあるけれども、どこか緩い。むしろ中途半端な感染症の知識を得た都市部の人間の方が、差別意識は過剰ですよ」。ある意味、近代化の弊害だ、と中村さんは苦笑いしていた▼中村さんが現地代表を務めていた非政府組織(NGO)「ペシャワール会」が、この活動の原点とも言うべきハンセン病の巡回診察を再開させる方針を先月、公表した。戦乱と2000年の大干ばつを受けて、長く休止していたのだという▼その間、注力していた井戸や用水路の構築も、そもそもはきれいな水が手に入らないために、赤痢などの感染症がまん延するのを目の当たりにしたのがきっかけである。思えば、銃の暴力と地球温暖化による異常気象という近代化の病に、診察室の枠を超えて立ち向かった医師が、中村さんだった▼「とにかく生きておれ。病気は後で治す」と、呼びかけていた中村さんが亡くなってから、きょう4日で5年となる。アフガンに限らずウクライナでガザで…、その言葉の対象となるような患者たちの存在は、世界に広がっている。(熊本日日新聞・2024/12/04)
【卓上四季】中村哲さんのメッセージ オーブンが欠かせないものはなにか。パンとピザは定番だろうし、ケーキやクッキーといった焼き菓子もある。けれど傷を覆うガーゼを焼くとは…▼かつて札幌での講演で聞いた医師の中村哲さんの体験談である。アフガニスタンで医療支援に取りかかった1980年代半ば、赴いた病院の設備は乏しかった。患者2千人超に対しベッドは16床。診察に大切な聴診器が一つしかなかった。ガーゼを滅菌する装置も備わっていない▼そこでオーブンの出番となる。金属製ボウルに詰めたガーゼを焼き、煙が立てば滅菌済みとして用いた。日本から来た中村さんなのに、フランスから訪れた人と勘違いされたほどの辺境だった。アフガン戦争の混乱のなか、試行錯誤が続く▼やがて現地を大干ばつが襲った。飢餓が広がる惨状に悟る。飢えや渇きは薬では治せない―。井戸を掘り、かんがい用水の建設に取り組むドクターが生まれた▼土地がうるおうと、農地が増えて避難民が戻った。土地のならわしを尊重し、みんなで協力する。実践途上にあった5年前のきょう、中村さんは銃弾に倒れた▼生前に記した。<私たちが己の分限を知り、誠実である限り、天の恵みと人のまごころは信頼に足る>。かの国の窮状は続いている。だが中村さんがまいた種は確実に芽ぶいた。志を継ぐ多くの人々がいる。(北海道新聞・2024/12/04)

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廃村の地霊のごとく柚子黄なり

 今や「異常気象」の齎(もたら)す災厄は、一年中地球上のいたるところで発生しています。サイクロンやハリケーン、そして台風等による桁違いの破壊力は一瞬のうちに生活環境を粉砕してしまう。本年一月朔日発生の能登半島地震を筆頭に、それこそ枚挙に遑(いとま)もないほどに「自然災害(Natural Disasters)」がこの劣島を襲ってきました。もちろん「地震」は純粋な自然現象であっても、それ自体が人間生活に影響を及ぼすのは、他の「自然災害」とは異ならない。台風やハリケーンの発生も、そのメカニズムは「自然現象」でありますけれど、それを起こさせる「原因」「理由」には、少なからず人為的要素が働いているのは否定できないでしょう。「地球温暖化(global warming)」と呼ばれる現象は、今の段階では自然現象であるよりはむしろ「人間の経済的活動」に代表される事情が大きく作用していると見られます。

 たしかに、経済活動の一部(化石燃料の大量消費など)が唯一の原因であると断定はできないところもあります。しかし、その因果関係を全否定できないという事実は認めざるを得ないのです。地球上に人類が住みだしてから、常に地球環境をいくばくかは汚染・毀損して来たのも確かでしょうが、自然環境に致命的、修復不能なダメージを与えるようなものではなかった。今日大きな問題とされる「環境汚染(Environmental pollution)」問題は、おそらく、産業革命以降から今日までの二百年ほどの期間に集中して生じている問題です。

 本日の信濃毎新聞のコラム「斜面」で「プラスチックは生産量も廃棄量も、ごみとなって流れ出る量も増え続けている。地中や川、海だけでなく、大気中にも極めて小さくくだけたプラごみが有害物質を伴って漂う。生態系を壊し、人体に蓄積され、世代を超えて害を及ぼす懸念が指摘される」と、その問題性を指摘している。環境問題など存在しないという、極論を展開する政治勢力もある中、われわれはいかにして、この難問に向き合うことができるのか、向き合う必要があるのか。プラスチックに取り囲まれている現在、いよいよ地球環境汚染は深刻な事態を齎してはいるが、ぼくたちにはそれほどの深刻さの実感はない。実感のないまま、汚染はさらに深刻化し(become more severe)、多くの生物の生存への危害が進んでいるのです。

【斜面】機を逃すな 禅の言葉に「看(み)よ看(み)よ臘月尽(ろうげつつ)く」がある。臘月は12月のこと。「よくよく見なさい。12月はあっという間に終わってしまいますよ」と、暮らしを見つめ日々を大切にするよう諭している。やり残しはないか、今年を顧みる時季になった◆元日に能登半島で大地震が起きた。全国が猛暑に苦しみ、各地で豪雨災害も相次いだ。機能性表示食品による健康被害が明らかになり、闇バイトに応じた若者が強盗や殺人をさせられる事件が絶えない。海外では紛争が続き、自国第一の主張が勢いづく◆もやもやした不安が膨らむ中、また一つ残念なニュースが届いた。プラスチックごみによる汚染を防ぐための条約案が最終会合でまとまらず、きのう先送りが決まった。2022年の国連環境総会で各国が条約の策定に合意し、今年末までを期限に5回の会合で協議を進めていた◆プラスチックは生産量も廃棄量も、ごみとなって流れ出る量も増え続けている。地中や川、海だけでなく、大気中にも極めて小さくくだけたプラごみが有害物質を伴って漂う。生態系を壊し、人体に蓄積され、世代を超えて害を及ぼす懸念が指摘される◆世界が一つになって生産から処理までの各段階で削減に取り組む時だ。けれど米国では来年、環境問題に後ろ向きなトランプ氏が大統領に返り咲く。いったんは盛り上がった機運を逃さぬよう次こそ実現にこぎつけたい。できることは生活の中にもある。私たちもボーッとしていられない。(信濃毎日新聞・2024/12/03)

⦿ 地球環境問題(ちきゅうかんきょうもんだい)= 近年、地球環境問題とよくいわれるが、その具体的内容は、案外あいまいなように思われる。たとえば、環境省は、地球環境問題として、(1)オゾン層の破壊、(2)地球の温暖化、(3)酸性雨、(4)熱帯林の減少、(5)砂漠化、(6)開発途上国の公害問題、(7)野生生物種の減少、(8)海洋汚染、および(9)有害廃棄物の越境移動、の九つの現象を取り上げている。そして、地球環境問題に共通する性格を、第一に、長い時間をかけて進むプロセスで、結果として広い範囲で多様な被害や損害が生じること、第二に、個々の問題が環境や世界経済の網の目を通じて相互に結び付きをもっていて、一つの「問題群」を形づくっていることであると分析している。/地球環境問題のフィジカルな側面は、確かにこうした性格をもっているが、地球環境問題がこれまでの環境問題と決定的に異なる側面は、国際的次元をもつということにあるだろう。(以下略)(日本大百科全書ニッポニカ)

⦿産業革命(さんぎょうかくめい)= 市場の拡大による工場制手工業から機械制大工業への変革 1760〜70年代にイギリスに始まり,19世紀を通じて欧米の主要な資本主義諸国や日本で行われた。日本の産業革命は欧米より遅れて日清戦争(1894〜95)のころ,紡績・製糸・綿織物を中心とする軽工業部門に第1次産業革命が,続いて日露戦争(1904〜05)前後に重工業部門の第2次産業革命が進行した。この時期を通じて日本の資本主義が急速な発展をみせたのは,安くて豊富な労働力による。この安い労働力は,一方で国内市場を狭くするので,資本は海外市場を求め,軍事的・侵略主義的な性格をもった。(旺文社日本史辞典第三訂版)

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 このところ、頻繁に「PFAS」「PFOA」という文字があちこちで目につきます。詳細は省きますが、日常生活のいろいろな場面で使用され、放置されてきた化学物質で、いずれも「発がん性」物質として問題視されています。その一面について「産経抄」が触れています。この物質の含む危険性について、早い段階から報道を続けてきた、小さな報道機関があります。今では「探査報道」として少しは知られつつあるメディアで、なかでもこの深刻な問題に身を挺して「探査」と「報道」に地道な活動を続けてこられた一記者が、最近、この問題に関する著書を出されました。(「終わらないPFOA汚染」中川七海著、旬報社

⦿ PF0A (ピー‐フォア)=[perfluorooctanesulfonic acid]《perfluorooctanesulfonic acid》ペルフルオロオクタンスルホン酸。有機弗素化合物の一種であり、界面活性剤として各種薬品などに添加される。難分解性で環境に残留しやすく、また生体に蓄積する性質がある。日本では平成22年(2010)4月より、化学物質審査規制法においてPFOAおよび関連類似物質とともに製造・輸入・使用が禁止された。また、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約において廃絶が望まれる物質として規制が強化された。パーフルオロオクタンスルホン酸。(デジタル大辞泉)

⦿PFAS= 有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物の総称。耐熱性や水、油をはじく特性から身近な製品に使われてきた。化学的に安定し環境中でほとんど分解されず、人や動物の体内にも蓄積されやすい。発がん性や免疫系への影響が報告されているが、国は確定的な知見はないとしている。国内では現在、一部PFASの製造や輸入は原則禁止。岡山県吉備中央町は一部浄水場で高濃度の値を検出、飲用水の使用制限を実施した」(共同通信ニュース邦語解説)

【産経抄】安全を世界に誇る日本の水道に新たな脅威 日本の水道の歴史は江戸の上水道に始まる。問題は水質である。枡(ます)に溜(た)まる泥をさらい、水死人が出ると吐口(はきぐち)から水を捨てた。明治時代に入ると大流行したコレラが近代水道の普及を急がせた。▼現在の日本は蛇口からそのまま水が飲める世界でも数少ない国である。その安全性を世界に誇る水道が新たな脅威にさらされている。発がん性が懸念される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」である。▼水や油をはじき熱に強い特性が重宝されて、食品容器から半導体製造まで幅広く使われてきた。自然界でほぼ分解せず、生物の体内に蓄積されやすく「永遠の化学物質」とも呼ばれる。米軍基地や工場の周辺から検出の報告が相次ぎ、昨年から国が対策強化に乗り出していた。▼先月には水道水への含有量について初の全国調査結果を発表した。国が定めた「暫定目標値」超えはゼロだった。といっても安心はできない。日曜日に放映されたNHKスペシャルによると、PFASを開発した米スリーエムは2000年に主要物質の製造中止を発表していた。当時から専門家の間では危険性が知られていたのだ。▼岡山県吉備中央町では、これまで4年連続暫定目標値を超えており、昨年はなんと28倍の濃度を検出していた。番組では、この町に移住してから流産を繰り返しているという女性を取材していた。町は現在では水源を切り替えるなど対策をとっている。あきれたことに昨年まで、町民に高い濃度の結果を公表していなかった。▼原因とみられる水源近くに積み上げられた使用済みの活性炭が、そもそもどこから運ばれてきたのかいまだ不明なのだという。行政の怠慢が悲劇を拡大させたかつての公害病の轍(てつ)を踏んではならない。(産經新聞・2024/12/03)

 今報じられているのは、これまで隠されてきた大きな氷山のごく一部に過ぎません。つい先日は「ラウンドアップ」という生命細胞への毒性の強い「除草剤」について駄文を書きました。この劣島に限定しただけでも、ぼくたちの日常生活は上下左右、東西南北あらゆる方面で危険・有害という脅威・恐怖で八方塞がりです。「裏金問題だ、103万円の壁」だと、今だからこその政治的課題もあるでしょう。我も彼も、そんな些末な問題(地球温暖化に比すれば)にうつつを抜かしている間に、地球人は挙ってお陀仏だという分かれ道にある現在、ぼくたちは何処に向かって歩こうとしているのか。まちがいなしに、地球は音を上げている(The Earth is in agony)。

 世界各地で「ハーメルンの笛吹き男(Rattenfänger von Hameln)」(グリム「ドイツ伝説集」)まがいの警鐘を打ち続けている存在、あるいは「炭鉱のカナリヤ」よろしく、起こりうる危機に向かって、いち早く身を挺する存在もいるのです。ぼくたちにはそれらが発する音や鳴き声・息遣いが聞こえもしなければ見えもしないのでしょうか。

1284年、聖ヨハネとパウロの記念日
6月の26日
色とりどりの衣装で着飾った笛吹き男に
130人のハーメルン生まれの子供らが誘い出され
コッペン丘の近くの処刑の場所でいなくなった
(ピクシブ百科事典「ハーメルンの笛吹き男)

・廃村の地霊のごとく柚子黄なり(岡崎万寿)(唐津市出身、1930年生まれ)

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マイナンバーカード」は公共事業

 今でも見られるのでしょうか。年度末になると方々で道路工事が繰り広げられる、年中行事です。国でも地方でも、年度内に予算を消化しなければならないので、同じ個所を、水道管・ガス管ごとに繰り返し、その都度、道路工事も行われることになる。予算の無駄遣いというのではなく、公共事業という「税金配分事業」というべきだと、玄人(くろうと)は仰る。件(くだん)の「マイナンバーカード」導入問題。いよいよ、本日を期して、健康保険証の新規発行は停止されるという。いつ、何処で、誰が決めたか、議事録は残っていないと嘯く担当大臣。大きな制度変更、それなのに、いかなる騒ぎも起こっていない(と、ぼくには思われる)。いや、医療現場では大騒動だというのかもしれないが、「大山鳴動鼠一匹」の類だと言ったらどうですか。「マイナンバーカード」を健康保険証に紐づけすると、今まで以上に「良質の医療」が受けられるという。今までは「悪質」だったのか。なんとも驚くべき「吉報」というか、それとも眉に唾の、真正の「フェイク」というべきか。

 なんとしても「マイナ保険証」を国民すべてに、という政府の強引な肝入り政策(どこで、だれによって決められたのか判然としない)が迷走に迷走を続けている中で、現行保険証の新規発行終了期限が来ました。ぼくは、政府や政治家をまず信用していませんから、それは学校教師たちに抱く不信感と重なっている、もちろんマイナンバーカードの登録もマイナ保険証の申請もしていない。このカードを保有する意味がどこにあるのか。政府当局にはあるだろうが、ぼくにはまったくないといってもいい代物です。その昔、「国民総背番号制」などという制度が導入されようとしたり、グリーンカードに名を変えて再導入が計られましたが、手を変え、名前を変えても「お里」は知れている。つまりは「脱税」防止のためだったのは明らか。それなら、脱税したくなる対象者に絞って、いくつでも背番号であれ、腹番号であれ、括りつければいいではないか。そして、なによりも「政治家」諸氏から始めよ。

【大弦小弦】ついにきょう、健康保険証の発行が止まる日を迎えてしまった。政府がマイナンバーカードを普及させたいばかりに、私たちに不便を強いる愚策。さすがに撤回に追い込めるのではないか、と甘く考えていた▼厚生労働省はPRに懸命だ。公式サイトで、マイナ保険証の10月の利用件数がディズニーランド・シーの年間入園者数より多かった、と謎の自慢をしている。誰がこの二つを比較しようと思いついたのか▼暗証番号を覚えるのが大変なお年寄りには、顔認証の利用を勧める。カメラ撮影がうまくいかない時は「マスクをおろして」と呼びかけている。病院で、感染症のリスクが高いお年寄りに。どこまでもちぐはぐだ▼政府がマイナカードに固執するのは国民管理を狙うから。薬の履歴を病院側に提供できるなど、私たちのメリットもゼロではないが、大きなデメリットとはとても釣り合いが取れない▼ここは慌てず、騒がず。手元の保険証も最長1年使えるし、期限切れまでには代わりの「資格確認書」が届く▼利用率を競わせる意図なのか、厚労省は都道府県別の数字を公表している。10月は全国平均15・67%に対し、沖縄は7・43%でダントツの最下位。全国唯一の一桁台だ。怪しげな国策への耐性が強いのは、これこそ自慢できることかもしれない。(沖縄タイムス・2024/12/02)

 カード登録を申請すれば2万円もらえるというのは、政治のすることですか。見苦しいし、みっともない、やる方も貰いたがる方も。いろいろと姑息な手段を使い無駄に税金を使って登録を呼びかけ、今なお全体で20%か。また、カード導入によって医療を提供する側にも影響が出ています。カード読み取りや顔認証のために新たな機器を導入せざるを得ず、それにどれほどの税金が導入されたのか。度重なるコロナワクチン接種に当たっての税金の「分捕り」「山分け」「不正請求」などが繰り返されました。つまり、これらはすべからく「公共事業」(ぼく流に、正確に言うと「公共持病」)であるという証拠です。押しても駄目なら引いてみよと、道路を掘り返したり埋め返したり。ダムを造ったり壊したり。

 政治家は何事においても人民に「範を垂れるべき」存在だとするなら(それは大いに怪しい。ぼくは信じない)、「まず隗より始めよ」です。闇献金や裏金、あるいは使途不明の政治資金の移動・隠蔽などなど、マイナカード(保険証)が機能すれば、そのいちいちが捕捉できるはず。「節税」も「脱税」も、いずれも怪しい金であるなら、その「流れ」をこれほど明確につかめるのだと、マイナカード一枚で証明させてみればどうですか。それほどあからさまに「お足」が付くなら、誰もマイナカードを登録はしても、政府の思惑通りには使わないでしょう。世は挙げて「カード」時代であり、「暗証番号」時代です。あっても構わないけれど、それが詐欺や強盗の餌食になるようなものであるなら、誰も使いたくはないでしょう。「マイナカード」の普及が進まないのは、政治や政治家が信用されていないから。カードの有無とは無関係に、政治不信は底なしであることの証拠ですね。

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「徒然に日乗」(585~588)

〇2024/12/01(日)本日から12月(師走)に入る。あっという間の十一か月だったと思う。時間の経過は「釣瓶(つるべ)落とし」のようだ。それに抵抗する術がない。▶朝から穏やかな陽気。溜まっていた可燃性ごみを焼却。▶午前中に茂原まで買い物に。途中、GSで灯油18㍑2缶購入。帰路には、HCで猫用ドライフードなどを購入。▶午後三時ころに、右頬が大きく腫れている子がいたのに気付いた。触ると腫れた部分が固い。痛そうにはしていないが、念のために「可能止め」を飲ませた。本日、かかりつけ病院は午後休診日だったので、明日にでも連れて行くことに。(588)

〇2024/11/30(土)風の寒い一日だった。午前中に買い物。最近、同じ店に行くのだが、なぜか人手が以前よりは多い気がする。自分も含めて、何とも年寄りが多いのが目につくのだ。陽気の加減で人手の多少はあるだろうが、店内や駐車場の混雑度が高いのは、はっきりした理由があるのか。当方はほとんど気にしていないが、店の方も売り上げ増を狙って、さまざまな「特典」を準備しているのかもしれない。▶パソコンの調子がよくない。起動して一定の時間が経過すると、画面が拡大収縮モードになる。設定をいじっても変らない。さらには、ワードの入力ができなくなることも。加えて、ネット番組にログインすると、時には、いちいち新しい画面に切り変えるために手動で見たい画面を開かなければならなくなる。今のところ、その都度「再起動」をしてみたり、いろいろと初期設定的なことをしている。使いだしてもう十年くらいになるか。とするなら、ある部分の寿命が来たとも考えられる。使えなくなれば、それはその時のこと。(587)

〇2024/11/29(金)夜半からの風がかなり強かったようで、まるで「木枯らし(凩)」一番の襲撃後のように、庭一面に木の葉や枯れ枝が落ちていた。昼ころからは晴天が続き、夕方からは一気に寒さが増してきた。▶お昼前に茂原まで買い物に。▶先日拙宅に来てくれたビナード氏からいただいた絵本「ドームがたり」を一読。とても難しい内容のように読めた。「ドーム」を主人公にした、ドーム自身の告白が語られていた。一貫して「原発」問題に関心を寄せ、この国の原発政策が内在させている「原爆」問題に密接不離に関連付けられていることを、著者は強く訴えている。このような日本社会や歴史に寄せるビナード氏の位置をていねいに考えてみたい。(586)

〇2024/11/28(木)終日、穏やかな天気だった。ゆっくりと秋から冬に移行しつつあると思われる。▶午前中、前足を痛めていた猫を病院に。軒下から飛び降りた際の怪我かと思いきや、「喧嘩」でかまれた傷が化膿していた。応急所次いで「可能止め」を服用させていたが、間違いではなかった。注射を打ち、一週間分の「薬」を貰い、様子を見ることにする。▶兵庫県知事選挙の「公選法違反」等の容疑が膨れ上がりつつある。候補者本人やPR会社社長の選挙へのかかわりに関して、明確な違反事実が明かされているようにも思われるが、法律適用に関して、実際にはどうなるのか。また、候補者自身が当選を目指さないで特定候補の応援に徹底していた候補者の選挙活動にはさまざまな容疑が出てきている。この候補者のような選挙活動を容認するなら、公正な選挙は不可能となるだろう。法網を狙うような「候補者」が出ることを想定していない法律が「時代おくれ」だというのではなく、暴力を辞さない人間(ヤクザ)が選挙に出るところに問題があるのだろう。(585)

〇2024/11/27(水)昨夜はかなり雨が降ったようだ。朝方には陽射しも出て、にわかに気温も高くなった。夕方以降、風が強くなってきた。「木枯らし一番」が吹いたのかどうか。寒さも一段落。▶昼前に買い物。このところ、ほぼ毎日買い物に出向いている。まとめて買えばいいものもあるが、毎日必ず必要なものもあり、日持ちがしないものが多いのだから、仕方がないところもある。物価は一向に下がる気配がない。加えて、暖房器具を使う季節になったので、灯油の消費も見逃せない。あらゆる商品が高いままで推移していて、それに対して政治的な配慮が一切みられないのは、いつものこととため息をついていていいのだろうか。何度選挙をしても一向に代わり映えのしない政治家と政治が続くところに、この社会の閉塞・混沌状態が見られる。(584)

〇2024/11/26(火)ネット時代の選挙の実際がどのようなものか、ぼくには判らないところが多い。しかし、兵庫県知事選挙の「公選法違反」問題は素人でさえも判断がつくような、驚くべき単純な事案だと思う。間違いなしに、PR会社代表の責任は免れないし、候補者だった知事自身も選挙違反を問われるだろう。つまり、今日の選挙は、素人以下の選挙法音痴が選挙を取り仕切ったり、立候補したりしているという、驚くべき無知と頽廃の「格闘技」だということだ。罪に問われそうになるまで、誰もがこの問題を放置していたのはどうしてだろう。勝手な推測にすぎないが、黒幕というか、どうしてもこの選挙には勝たねばならぬ何人かの人間が、まだ「黒い闇」の中に息をひそめているように思われる。兵庫県が予定している一大公共事業につながる利権が「選挙」運動の箍(たが)を外したのだろう。いずれ、事件のおおよそが判明するだろうが、再度の知事選挙があり、さらには議会解散も想定されている。兵庫県自体の「箍」は壊れてしまったようだ。▶今夜から強い雨が降り、冷え込みも激しくなると予想されている。夕方五時半過ぎからは、雨も降りだしている。(583)

〇2024/11/25(月)昼前に猫缶購入のためにあすみが丘へ。四、五日前から前足を痛めている子がいる。初めは蛇にでも咬まれたのかと思い、消炎剤を食事に混ぜて服用させたが、まだ足を庇っている。かみさんの話だと、少し前に軒下から飛び降りた際に怪我をしたのだろうという。医者に連れて行くつもりだったが、時間が間に合わずに本日は中止。明日は休診日だから、水曜日(27日)に連れて行くことにしている。大事に至らなければいいが。兵庫県知事選で再選が決定した元知事に「公職選挙法」および「政治資金規正法」違反の疑いが出て大騒ぎになっている。彼の県では複雑怪奇な現象が年初以来続いているが、年末で決着がつくのだろうか。詳細には触れないが、結局、権力を握るのは「利権」確保のためだとすると、大小問わず、政治は「利権」の確保をめぐる闘争でしかないということになる。それに加えて、選挙法の穴を突くような輩が出てきては、それなりに権力へにじりよるためのさまざまな工作が行われるのだろう。結論ははっきりしている。知事は公選法違反で「失職」は確実。「当選を目的としない候補者」の暴力的言動もまた、刑事罰が加えられるだろう。(582)

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月と鼈・鯨に鰯・釣鐘に提灯

⦿ 週初に愚考する(四拾七) ~ 月と鼈(スッポン)」などと、比較などできないものを二つ並べて、その桁違いの格差を論(あげつら)おうとする。その謂わんとするところは「月もスッポンも同じように丸いが、比較にならないほどその違いは大きいこと。二つのものがひどく違っていることのたとえ」(デジタル大辞泉)初めから比較にならないものを並べることで、形は似ているが、内容(実質)はまるっきり異なるというのでしょう。「石」は「石」でも、品質は大違いということか。昨日の「水や空」は、それを「しがない?」とダジャレ風にお道化てみせた。「し」があろうがなかろうが、生きて来た世界が違うのですから、それはまるで「雲泥の差」、「天地の隔たり」「釣鐘に提灯」というべきでしょう。

 懸命に総理の座を目指して精進を重ねた結果、首尾よく宿願を果たしたらしい現総理。以って冥すべし。でも、座っているのは「針の筵(むしろ)」か。座り心地は如何ですか。湛山さんと茂君を並べるのは、何とも「悪い冗談」で、「月と鼈」どころの比ではないといいたいですね。並べる(比べる)のは「現首相」には迷惑至極だと思う。湛山冒涜を望まないでしょうから。「棚から牡丹餅」どころか、私腹(雌伏)何十年、総理への(でこぼこ)道を歩き続けたらしい、この好漢。総裁選挙に勝利した際、ぼくは、先ずは「減量」を、と注文しました。フットワークの重さは恥ずかしい限りで、やがて、音を上げるだろうという直感があったからです。それにだらしないというか、未だに「喫煙」を続けているような雰囲気がある。つまり彼の周りは「脂(やに)」臭いのだ。先だって亡くなられた俳優の西田某氏は「鯨飲馬食」だったと語られる。それがいい悪いというのではなく(悪いに決まっている)、自らの立つ位置によっては、自己の「体調管理」や精神陶冶はあって当然、なくては、その任務はなり立たないのです。「論語」「泰伯」に「任重くして道遠し」あります。多いのは責任であって、体重ではないということ。徒(あだ)疎(おろそ)かに「首相になろうとなどと考えるな」ということか。

 *「論語‐泰伯」の「曾子曰、士不以不弘毅、任重而道遠。仁以為己任、不亦重乎。死而後已。不亦遠乎」(「士は以て弘毅ならざるべからず。任重くして道遠し。仁以て己れが任と為す、亦た重からずや。死して後已む、亦た遠からずや」)

【水や空】しがない? 手元の辞書には〈うだつが上がらなくて前途に望みが無い〉と、ずいぶんな語義が載っていて、用例には〈-暮らし、-稼業〉が示されている。「しがない」という形容詞がある▲イシバシとイシバ。あっ、シがない。そうか、少数与党政権の前途を心配するあまり、言葉遊びでこっそり自虐を…の的外れでふざけた発見はさておき-。1957年に65日だけ首相を務めた石橋湛山氏の言葉を引きながら所信を表明した昨日の石破茂首相▲「常時率直に意見を交わす慣行を作り」「相互に協力を惜しまず」「国民全体の福祉をのみ念じて」と、引用を重ねて民主主義のあるべき姿を語った。冒頭と結びの近くには「真摯(しんし)に、謙虚に」が語順を入れ換えて2回▲「あるべき姿」は、できれば石破首相自身の言葉で話してほしかったが、彼なりの「変わろう」とする決意は伝わってきた気もする。与党が振り回してきた「数の力」はどこにもない▲イシバシとイシバは大違い、と野党の評価はさんざんだが、その野党側にも自分たちの過去を真摯に顧みてもらわねばならない。どうせ最後は数で負ける-と、諦め半分の気楽な“野党根性”で反対やダメ出しを重ねてはいなかったか▲これからしばらく、与党も野党も試され続ける。何回か書いた「緊張感」はそこにある。(智)(長崎新聞・2024/11/30)

 石橋湛山氏(1883-1974)に対する評価は、やたらに増している感がするのは、どうしてでしょうか。今日の並みいる政治家の質の酷さ、意識の軽さ・浅さがそうさせているのでしょう。この駄文集録でも、何度も「湛山詣で」をしてきました。どれほど語っても尽きないような大きな存在であったことは事実です。その湛山氏が明治以降、とりわけ敗戦後の政治家の中での「白眉」だとは衆目の一致するところです。(現実の湛山氏は、終生「黒眉」でしたが)詳細は省く。ひとは誰でも後世からは「毀誉褒貶」をもって語られるのが常です。その慣例に倣うと、さすがの名代宰相にも語られるべき「汚点(過ち)」があったのではないか。それを指摘するのも、ぼくのような素人の役割だと思っている。

 その一は、1956年12月の総裁選で岸信介氏を破り総裁になったが、組閣に当たって、圧倒的な助力を得た石井光次郎氏を閣内に入れなかった点。副総理格として岸氏を登用したのが最大の汚点であったとぼくは見る。(当時のアメリカ大統領アイゼンハワーは「岸総理誕生」を熱望していた。日本は極東における「反共」の砦にという、アメリカの政治判断からだった。後の総理大臣は「戦犯」であり、売国の徒でもあったし、それが「亡国」に至らなかったのは、不幸中の幸い、単なる偶然だったかもしれない。これ以前に大蔵大臣の任にあったときに湛山氏は公職追放に遭遇。それは岸氏の使嗾(しそう)によったとされているのだ。つまりは、この二人は、本来は「不倶戴天の敵」だったと湛山氏は思わなかったのが、まことに残念至極です。わずか65日の首相在任期間をもって「脳梗塞」のために辞職。後任には岸信介氏が選ばれた。戦後の政治路線=日米安保体制=対米追従という、片務条約による方向が決定された一因は、湛山氏の誤った判断にあった、とぼくは考えている。

 その二は、後世にあって、湛山氏の「病気辞任」が高い評価を以って語られるけれど、実際はどうだったかという問題。「政治の停滞は許されない」との辞職の決断は潔しとされてきたが、実は腹心の仲だった石田博英官房長官がどこかで、当時を回顧しています。「倒れてもなお、首相の座に未練を持っていた。みっともないことと石田(だったか、誰か)が進言した」ので、やむなく、あるいは潔くか「辞職」を選んだというのです。湛山にして、実際は「潔くなかった」「辞めるつもりはなかった」というのですから、恐るべし「総理の座」ですかね。

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 誰が湛山を口にしてもかまわないのは当然ですから、現総理が湛山を引き合いに出すのもいいでしょう。(もちろん、ぼく如きも喋っている)でも、すべての点で、瓜二つではなく「釣鐘に提灯」で、一向にに交わらない運命にあるとだけは言っておきます。両石は、桁違いということです。植民地派が血気盛んなとき「小日本」に拘りぬいた湛山氏は、アメリカ一辺倒でなかったのは肯けます。現総理はどうでしょう。彼は政治家の性癖・悪癖をたくさん持っていると思う。その第一は「口説の徒」という指摘される欠陥です。よく言えば「理論派」、悪く言えば「言うだけ派(蕎麦屋の鎌=湯(ゆう)だけ)」いざという時は、説をいくらでも曲げる、変節漢であり、朝令暮改の常習犯。この軟弱地盤体質は軽々には変えられないでしょう。

 右顧左眄(うこさべん)するのが、彼の属性だったことが明らかにされつつあります。だから、何よりも体重を軽くし、タバコを止め、「オタク」も卒業すべし。「何でも屋」の看板は叩き割らなければ…、ぼくはそう思いますね。彼はキリスト教徒だという。母親っ子だった証(影響)でしょうか。父は仏教徒だったらしい。たぶん「乳母日傘で長(ひととなり)」だった形跡があるのは仕方ないとしても、「石の上にも三年」とばかりに脇目を振らないで、国情・邦民の苦衷に沿った政治に進んでほしいね。かくいうぼくは、残念ながら彼には露ほども期待してはいない。

 申し訳ないけれど、ぼくは彼の「所信表明」を読んでもいなければ見てもいない。でも分かりそうなんです。官僚作文を一意専心、ひたすら「奉読」する人ですから、他は推して知るべし。いかにも骨があるようでいて、実はなかった、海鼠(ナマコ)のような、といったら(海鼠に)失礼に過ぎるか。体形も似ているような。少なくとも、自分から音を上げなければ「三年」も時間がある。総理就任一週間余で「解散」とは狂気の沙汰。椅子に目が眩(くら)むことはあるでしょう。それを責めることはしませんが、どういう料簡で「なったとたん解散」か。自分でも事情は分からなかったでしょう。ぼくに言わせれば、「格好つけるんじゃないよ、あかんたれ」と。ひたすら「愚直」で、それがあなたにはお似合いだな。賢くはないんだから、愚を一貫したらいい、それしかできないと思う。

 (余談です いかなる状況にあっても「余得」はあります。連立与党は過半数割れだと騒いでいるが、それでいいのさ。数が多ければ天下を取った気なっていること自体が「狂気」であって、いずこの党も数において決め手を欠いているから、「熟議」とやらを尽くすほかないのです。単に数の大小で「天下」が取れるなら、それはある種の裏社会の「暴力団抗争」であって、問答無用の世界ですよ。少ない数でどこまで忍耐や政治的努力が果たされるか、各党各議員諸氏には心してもらいたいもの。過半数割れというのはいいものだと、多くの国民が思えるような「議会における議論」を尽くしてほしいね。スッポンか鰯か提灯かどうか、この「国会」における「精細な議論」に誠実に取り組むことが、「しがない総理」に求められている。何よりも議会であり、議場、それが議員の豊漁発揮の場でしょうに)

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