
◎週初に愚考する(六十六)~ 「なりふり(形振り)構わず」、今回の米大統領の高関税発動というブラフ(bluff)をみて、経済のド素人である拙者は、この言葉を使いたくなった。その心は、自分をデカく見せたいのとアメリカを大きく強い国であると言い張るだけの「空虚(emptiness)」な去勢(同語反復)の再々現だったと思う。遥か後ろに屯(たむろ)していたと見下し、「惰眠を貪って」安閑としていたツケがここに回ってきたのだ。つまりは「張り子の虎」視していた中国の著しい擡頭ぶりに肝を冷やしたというばかり。国力の指標は経済力と軍事力と見なされてきたが、この二つの目印・目盛りはともに、米中の序列は逆転したとは衆目の一致するところとされる。この国家危機(国難)に臨んで、「一発逆転」を狙ったまではよかったが、何しろ「実力・資質・品性」がない上に準備がまったくなかったのだから、誰だって、実力の伴わない「四番バッター」の足元(馬脚)を見るだろう。「顔を洗って出直します」と、高慢ちきな大統領自らが言ったに等しい構図が描けそうです。(上図表は「エコノミスト」誌」より)(https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20190924/se1/00m/020/024000c)

日米関税交渉(Japan-U.S. tariff negotiations)とはいうものの、何のことはない。二国間の貿易不均衡、貿易構造問題に姿を変えているのは、まさしく、そこに米国の窮状が透けて見えるからだというもの。アメ車が日本で売れないのは、日本の規制が厳しいからであり、それを何とかしろというのは、はたして「関税問題」か。性能が悪い上に、値段が高いからという、当然の欠陥を直視しないのは、アメ車の駄目さ加減を知っているからだろう。もっと農産品の市場開放をと脅迫するが、脅しに屈しては日本の農業はさらに窮状に嵌るだけ。今だって、日本は米国産品を買いすぎている。アメリカ産出エネルギー事業にもっと投資を、もっともっと戦争の武器を買えという、「もっとの連発」の段になると、交渉役は、机をたたき背中を向けて帰国してもいい話ではないか。二国間交渉というのは米国には好都合だし、その一番バッターが日本と来た日には、好き放題の「ブラフ」がかけられると踏んだからである。脅しや強請(ゆすり)には格好の相手と見透かされたもの。強請れば強請るほど、思い通りに「言いなりになった」元総理大臣もいたしなあ、と。
そこへ来て、追加関税発動の90日間停止とは、つまりは「この話はなかったことにする」というチャラすぎる結末。中国に145%の関税賦課を実施すると、驚くなかれ、米国内ではアイフォン一台が50万超(円)になると聞かされて、驚き、慌てて「訂正」「修正」「取り繕い」に奔るあたり、Tが愚かなら、取り巻き(entourage)までもが愚かしいことが判明したというお粗末加減だった。関税はかけられた国が払うのだと、信じていた節があるとは、お粗末以下の以下、なんというべきか、底なし沼の馬鹿さ加減です。そして、今次の大騒動に関する、いくつもの論評を見たり読んだりしていると、多くは「トランプは終わった(賭けは済んだ)」(Trump is over. (the cards are done.)とある。虎の威を借りる「狐」は腐るほどいるけれど、猫に鈴をつける輩(鼠)は何処にもいないのか。そうだろうな、そして思う、「岩盤支持層」は、本当に「岩盤」だったのかどうか、と。多くの支持層は逃げ出す算段に忙しい。

そういうことなのだろうか。こうなると、「急いては事を仕損じる(Hurrying makes a mistake)」となるのは目に見えている。我が邦の交渉役も、揉み手をし、腰をかがめて、ご機嫌を取る卑屈な態度をを辞めなけれぼ。乾坤一擲、今こそ「弱り目に祟り目」とばかり、相手国に、少しは反旗を翻したらどうか。きっと「飼い犬に手を噛まれた」と悔しがるだろうに。国王(独裁者)に逆らうものはただでは置かぬとばかり、並みいる高学費「大学」に「制裁」「お仕置き」を喰らわせるというのも、ご愛敬。何をしているか、自分でもわからないのだろう。大統領になれば、二日間で「ロシア侵略戦争」を終わらせると強弁(ハッタリ)していた件、とても簡単には終わりそうにないから「手を引く」と泣き言を垂らす。「和平」や「休戦交渉」に真剣味がなかったことが、改めて明らかになっただけ。ぼくは何度でも言いたい、ここがチャンス。アメリカの「ケツを舐める(Licking ass)」(大統領自身が、記者たちの前で使った「卑猥・下品この上ない言葉」)、舐め続ける恥辱・愚行を今こそ、この国は漱(すす)ぐ時が来たのだ。

敗戦後、八十年というけれど、言葉を変えれば「アメリカ(米軍駐留)支配)八十年」ということと同義となる。隷属(subordination)八十年を止める、千載一遇の好機到来だと思う。右に行こうが、左に行こうが、いずれにしても進退谷(きわ)まる事態は避けられないなら、自ら選んだ道で「谷まろう」ではないか、と拙者は愚考している。いやなこと夥しいが、この先、大変な「事変」が起る予感がする。
◎ Trump says countries are “kissing my ass” to make trade deals U.S. President Donald Trump on Tuesday (April 8) said countries are “kissing my ass” to secure trade deals hours before increased tariffs were levied on China.(Reuters・2025/04/08)(https://jp.reuters.com/video/watch/idRW541209042025RP1/)
【大観小観】▼トランプ関税に対する交渉が、日本が先頭バッターで始まった。しかし、いったい何を交渉するのか? ホワイトハウスの庭でトランプ大統領が得意気に掲げたボードの数字は、ノーベル賞学者も驚く根拠レス。着地点が全く見えてこない▼すでに自動車関税25%、鉄鋼・アルミ関税25%、相互関税10%は発動中だ。相互関税の日本上乗せ分14%を下げられればいいのか? そのために手土産を献上する。それで何が得られるのか?▼日本の後ろには、日本以上に上乗せされたベトナム、タイなどの東南アジア諸国、報復をいったん中止したEUなどが控えている。下手な妥協をすれば、世界の自由貿易体制は崩壊し、他国の恨みを買ってしまう▼トランプ大統領がやっているのは、「アンカリング効果」を狙った交渉術。ビジネススクールならどこでも教えている単純な方法だ。要するに、最初に大きくふっかけて、それを引き下げて相手にうまくいったと錯覚させる方法。ヤクザのやり口と同じだ。無意味な譲歩などせず、のらりくらりで交渉を引き伸ばすのはどうか。いずれ、トランプ大統領は失権し、関税政策は破綻する。(伊勢新聞・2025/04/19)
【あぶくま抄】この道 ♪この道はいつか来た道―。すり切れそうな心を、かつて歩んだいとおしい風景が優しくなでる。北原白秋の詩に、山田耕筰が曲を付けた。「日本の歌百選」に選ばれた童謡の至宝と言えよう▼この道をたどるのも、初めてではなかろう。関税引き上げを巡る日米交渉が始まった。米国側は自動車やコメの対日輸出の増加をもくろむ。為替が議題に上れば、円高ドル安への誘導も現実味を帯びる。「輸出の減速を見据え、国内で消費や投資を増やすべき」と、わが国では早くも内需拡大論が飛び出す▼40年前になる。5カ国の蔵相らがニューヨークの老舗ホテルに顔をそろえた。米国の輸出を増やし、貿易赤字を減らす各国の合意が整った。円高が進み、日本国内では内需拡大へ景気刺激策が取られた。一夜の宴のようなバブルは、デフレという名の凍土に化ける。国民生活が震え続けた歴史に、政府はいまだ「終焉[しゅうえん]」を告げてはいない▼「アカザワ、フー(赤沢って誰なの)」。ホワイトハウスは、相手の交渉役に戸惑いを隠さないとも伝わる。童謡の歌詞は続く。♪あかしやの花が咲いている―。さて、国の浮沈をかけた協議の行方はいかに。あだ花は二度と咲かさぬよう。(福島民報・2025/04/19)

◎ プラザ合意(Plaza Accord)= 1985年9月 22日にニューヨークのプラザホテルで開催された先進5ヵ国蔵相・中央銀行総裁会議 G5で討議されたドル高是正のための一連の合意事項をいう。当時,アメリカは巨額の財政赤字や高金利を背景にドルの独歩高を通じて膨大な貿易収支の赤字を発生させ,世界的な対外不均衡が問題となっていた。さらにアメリカ国内で台頭してきた保護貿易主義に対抗することもあって,ドルの独歩高の修正を通じて対外不均衡を為替レート調整で是正しようとするものであった。この合意に基づき各国はドル売りの協調介入に乗出し,円・ドルレートでみれば1ドル=240円台となっていたが,85年末には1ドル=200円まで一気に修正された。その後も一貫してドル安が続いたため,今度は過度のドル安がアメリカのインフレ圧力を増すとの懸念が台頭し,87年2月のルーブル合意へといたった。このプラザ合意は,(1) 経常収支の赤字国・黒字国が双方の責任として政策協調を行う,(2) 変動相場制度を継続するものの,ミスアラインメント (実質レートの均衡価からの乖離) の発生時には協調介入を行うという点で,その後の国際通貨制度を方向づけるものであった。(ブリタニカ国際大百科事典)
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