
このところ、各地の熊情報が頻繁に出されています。恐らく、日本劣島のどこに出没しても不思議ではないほどに、たくさんの熊が街中にまで出向いては、人を襲い、農作物等に多くの被害を齎(もたら)しています。この社会の熊退治は、ひたすら「駆除」という処分法の一本槍でした。銃撃を担う猟師の数不足というか、それ以上に熊の個体数の増加が著しいので、はかばかしい「駆除」の成果が上がっていないようです。(一面では願わしいことと思う)そして猟師たちも、街中で「熊に発砲」を、という自治体の判断に、いくつかの理由で二の足を踏んでいるのです。この問題に関しても、すこしばかりの雑文を書いたことがあります。「駆除」「撲滅」だけが人間と野生動物のあるべき関係維持のために求められる方策ではないことは誰も知っている。しかし、現実に人間の生活世界に熊が出没し、その多くの場合には人間に危害を加えるのだから、「銃殺」するしかないのだという、その一本やり打法は、緊急事態とは別のところで十分に議論が尽くされるべきでしょう。

愛媛新聞のコラム「地軸」には、熊ならぬイノシシが出ていました。「実りが近いからか、イノシシと遭遇した。夜の散歩中、犬が山際の茂みにうなる。目を凝らすと大きな黒い影。慌ててリードを引いて立ち去ろうとしたら、道路に飛び出し向かってきた」「正対して『こらっ』と一喝すると、横っ飛びで山の方に消えた」と、事なきを得た経験を語られておられる。全国で、野生動物との関係が取り沙汰されてきましたけれど、「これぞ、名案」というものはないに等しい。どこまで行っても人間中心主義を貫く限り、いかにして、「退治するか」という桃太郎や金太郎のマッチョの世界を一歩も出ない、智慧も愛情もない人間集団の為体(ていたらく)です。言うまでもないことで、ぼくにも名案があるのではない。名案はないけれど、「駆除」「銃殺」以外の方法がないものかと、それこそ岡目八目、素人考えを捻(ひね)ってはいるのです。
【地軸】イノシシ 9月の声を聞いても猛暑は一向に衰える気配がない。それでも稲穂は黄金に色づき、柿の木には青い実が膨らみ始めている。▶実りが近いからか、イノシシと遭遇した。夜の散歩中、犬が山際の茂みにうなる。目を凝らすと大きな黒い影。慌ててリードを引いて立ち去ろうとしたら、道路に飛び出し向かってきた。背中を見せては危ない。正対して「こらっ」と一喝すると、横っ飛びで山の方に消えた。▶改正鳥獣保護管理法がきのう施行され、条件を満たせば市街地での「緊急銃猟」が自治体判断で可能となった。対象の「危険鳥獣」はヒグマとツキノワグマ、イノシシの3種。▶だが、のっけから暗雲が漂う。北海道猟友会は、ハンターが自治体の発砲要請に応じないことを容認する方針を示した。かつて会員が行政の要請でヒグマを駆除した際に銃の所持許可を取り消され、不信感が根深いとされる。日当の額、人身事故が起きた場合のハンターへの補償を巡っても不満の声が上がる。▶野生を熟知するハンターと一般の意識の隔たりが表面化したとも言える。法改正を機に、いま一度野生生物との向き合い方を考えたい。▶愛媛県はホームページでイノシシに出合った際の注意を呼びかけている。慌てて走り出すのも、大声を出して威嚇するのも刺激してしまい危険だという。「犬を連れている場合、犬と飼い主を敵と判断し襲ってくる可能性がある」とも。つくづく無知は恐ろしい。(愛媛新聞・2025/09/02)

「改正鳥獣保護管理法」の改正が施行されたというのです。そのポイントは左表のとおりです。どこから見ても、「人間目線」「人間中心主義(ヒューマニズム)」でしょうか。人間の生命・生活を犯す恐れがある時は、「緊急銃猟」が可能になるというものでした。反対に、熊などを筆頭とする「鳥獣」の側からすれば、とんでもない法改正ということになります。「動物愛護」を、一方では麗々しく掲げながら、他方では「人間の日常生活」が危殆に瀕すると判断されたときには「発砲」「銃殺」は当たり前に認められるというのです。
何よりも人間生活が脅かされる限りは、熊や猪は「駆除」してよろしいとなったのですが、どうしてだか、ハンターの面々から異議が出されたと報じられています。そもそも「銃猟」がこんなに簡単に容認されていいのかという、根本の議論が抜けてはいませんか、という疑問があるのではないでしょうか。表向きの理由はコラム「地軸」にある通りです。しかし、根本は、人間の都合で「銃殺」していいという判断が、おかしいというのではないでしょうか。同じような場面であっても、ハンターや自治体によって異なる判断が出るとしたらどうでしょうか。ぼくは、コラム氏のお説に同意します。「法改正を機に、いま一度野生生物との向き合い方を考えたい」と。
誰もが納得すること答えは出ないかもしれません。だからこそ、その地域の状況を見据えて、徹底した議論が必要ではないでしょうか。結論が出ないかもしれませんが、繰り返し議論を重ねることが大事だという気もしています。

ところで、「危険鳥獣」に指定されているのが「ヒグマとツキノワグマ、イノシシ」だというのも、ぼくには違和感があります。これも議論のあるところ。なぜこんなイチャモンをつけるのかと言うと、その昔、鴇(とき)は「稲」を食い散らす害鳥だというので、それこそ劣島から「駆除」された歴史があります。ぼくが住んでいる町に「鴇谷(とうや)」という地番があります。町の歴史書によると「以前は多くが棲息していたが、稲を食い荒らす害鳥だというので、木片や竹竿を使って撲滅した、今はその名残の地名だけが残っている」というのです。日本全体でも、今では絶滅。どういうわけか、1952年に「特別天然記念物」に指定され、佐渡のトキセンターなどでの人工増殖・人工飼育で辛うじて保護されているのです。
「危険鳥獣」と指名手配をして、逮捕監禁ならぬ「駆除」「銃殺」をしてまで、撲滅しなければならない理由は何だろうかと、ぼくは他から攻撃・駆除されることを承知のうえで、大きな疑問を投げかけたいのです。
(これまでにも何度か触れていますが、拙宅の荒れた庭には頻繁にイノシシが出入りしています。植木の根元を掘り起こし、竹の根を食い荒らす。何度か「家庭菜園」計画を立てては見るも、その都度、イノシシの食餌を作るのかと思って、沙汰止み状態。野良猫やアライグマも顔を見せます。さらに、…。というわけで、狸やカラスや、蛇やキョンにと野性味はたっぷりの混合生活を強いられている。野生動物の側からすれば、彼・彼女らこそが「先住民」だというでしょうね)(When in Rome, do as the Romans do(に入りては郷に従え))
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● トキ(Nipponia nippon; crested ibis)= ペリカン目トキ科。国際保護鳥(→保護鳥)。全長 75cm。羽毛は白色でやや薄い桃色を帯びる。後頭に房状の冠羽(→羽冠)がある。嘴は長く,下方に湾曲する。顔と脚は赤い。繁殖期には頸部と背は暗灰色を帯びる。山地の林をねぐらとし,木の高所に枯れ枝で大きな巣をつくって 3~5個の卵を産む。山間の水田や湿地で小魚,タニシなどをあさる。季節による移動はあまりしない。「ぐぁ,ぐぁ」と鼻にかかった声で鳴く。日本,朝鮮半島,ウスリー,中国などに分布し,繁殖もしていたが,今日では中国以外の在来のトキは絶滅した。中国では 1981年にシェンシー(陝西省のチンリン(秦嶺)山脈で 9羽が確認され,その後人工増殖などの試みによって野生に放たれ,2010年には 1000羽以上に増えた。日本ではかつて全国で見られたが,明治期以後乱獲されて減少し,1952年に国の特別天然記念物(→天然記念物)に指定された。1995年4月,新潟県佐渡島の佐渡トキ保護センターで飼育されていた最後の雄が,2003年10月には最後の雌が死に,日本産トキは絶滅した。その後,中国から譲り受けた鳥の人工増殖に成功し,野生復帰を目指す放鳥も実施され,野生での生息数も少しずつ増えている。(ブリタニカ国際大百科事典)
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