
⁂「週のはじめに愚考する」(九拾八)~ 竜頭蛇尾(虎頭蛇尾)。「最初は勢いがいいが、最後は気息奄々となる」と言うほどのことでしょうか。(頭は龍のように怖く勢いがありそうだが、最後はまるで蛇の尾のように、細くて弱々しいとなる様子)まだ走り出したばかりですから、こんなことを言うのは縁起でもないと叱られそうですね。それにしても、「買い被り」「買い被られ」も、これほどになると見事です。でも、見損なった御仁が一国の首相とくれば、冗談では済まなくなってしまう。現に、対中関係では「なに一つの、手掛かりがない」、まさに暗中模索、寄り付く島もない状態です。そうこうしているうちに、今朝、「自衛隊機が狙われて、緊急スクランブルをかけた」と言うのですから、事態はあらぬ方向に踏み出している気がします。「中国に厳重に注意した」と防衛大臣が言えば言うほど、なんだかぼくは悲しくなってしまう。(「中国軍機、空自機にレーダー照射 小泉防衛相「安全な範囲超える」―火器管制目的か、強く抗議・防衛省」時事通信・2025/12/07・09時54分)
防衛大臣は、ついこの間まで「備蓄米」がどうだ「古古古米がどうだ」と働いていたばかりですから、「大臣」と言う椅子のたらいまわしが政治ゲームになっている、この現実をどう見ますか。相手はいつだって「足元」を見透かすのでしょう。北朝鮮が何発何十発ミサイルを日本海や日本列島に向けて打ち上げ、それに対して「厳重に警告」「断固抗議」したというものの、一向に収まる気配がないのが、つまりはお互いが明後日の方を向いていては、「外交」も「交渉事」もないということの明らかな証です。つまりは「足元を見透かされている」ということです。「買い被ったり」「見透かされたり」というのはどうしてなのかとじっくりと考えてみる必要があるのではないですか。
現首相は「日本の非核三原則」に対して懐疑的で、以前から「見直し」を広言していた。何をどう言おうと勝手ですが、総理大臣になってもまた、その「自論」を滔々と述べるとなると、いろいろと各方面に支障が出て困るということにお気づきにならないのですから、はたと周りは困ってしまう。ところが、どうして、「君のその考えは明らかに間違っている」と、誰一人として進言しないのですか。少なくとも「現行の非核三原則」まやかし(Illusion)であることは誰もが知っている。その「(紛い物)非核三原則」を「国是(national policy)」にするということ自体、いかにもこの国の政治家らしいが、ぼくに言わせれば不真面目の典型です。(ヘッダー写真は西日本新聞・2025/11/15)(https://www.nishinippon.co.jp/item/1423583/)
【社説】社説:非核三原則 見直しは平和主義を損なう 唯一の戦争被爆国として長年堅持してきた国是を軽んじることは許されない。
核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」とする非核三原則に関し、高市早苗首相が見直しを検討する考えという。
「持ち込ませず」の概念が、同盟国の核抑止力の実効性を低下させかねないのが理由とされる。
戦後の安全保障政策の大きな変更であり、日本が進めてきた「核兵器のない世界」への取り組みに逆行する。さらには、東アジアの緊張を高める要因にもなりかねない。
非核三原則は1967年、当時の佐藤栄作首相が国会答弁で表明し、71年に衆院が沖縄返還に向け順守を求める決議を採択した。その後も「国是として堅持する」との国会決議を積み重ね、歴代首相も踏襲してきた。
ところが、高市氏は先週の国会審議で、来年に改定を目指すとした安全保障関連3文書を巡り、非核三原則の堅持を明言しなかった。すでに政府内では見直しに向けた議論を始めているとされる。
もともと高市氏は、経済安保担当相だった2022年の3文書策定の際、三原則の方針堅持に異議を唱えていた。中国や北朝鮮による核軍拡を念頭に、米軍の核搭載艦の日本寄港が認められない原則を順守すれば、核抑止が骨抜きになるとの考えのようだ。
核廃絶の理念を掲げる日本が一方では、米国の「核の傘」に依存するという矛盾があることは否めない。
過去には、10年の民主党政権の岡田克也外相が国会で、核の一時的寄港を認めなければ日本の安全が守れない事態が起きた場合は、「時の政権が命運をかけて決断し、国民に説明する」と答弁。その後の自民党政権でも引き継がれてきた。
非核三原則との整合性をとる上で、有事の限定的な条件で核持ち込みを認めると解釈される。このため、あえて三原則を見直す必要性はないという指摘は自民内にもある。
それでも非核三原則が重みを持つのは、被爆の悲惨さを経験した国として、二度と核を使わせてはならないとの信念が込められているからだ。広く国民に定着し、今年8月の全国世論調査でも80%が「堅持すべき」と答えている。
高市政権は発足以降、防衛費増額や安保3文書改定の前倒し、武器輸出の要件緩和の検討などを矢継ぎ早に繰り出している。その上、非核三原則もなし崩しにすれば、国際社会から「日本は核戦力に与(くみ)する」と受け止められるのではないか。近隣諸国の疑念も膨らみかねない。
高市氏は、昨年のノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会が確立に貢献した「核のタブー」の意味をかみしめ、非核の理念に現実を近づけることに努めるべきだ。(京都新聞・2025/11/18)

そもそも「核抑止力(nuclear deterrence)」云々と、この国の為政者は言うべきではない、それがまず第一の間違い。ある国が「核」を持つと、核保有国は一方的に核攻撃ができないのだからというのがその「抑止力」の源泉とされています。事の当否はさておくとして、この国は核保有国でないのは明らかですから、核抑止力云々は「寝言(nonsense)」でしかないでしょう。対中、対北朝鮮、対ロシア相手に「核抑止力」を持ち出しても笑われるだけです。しかるに、そうであっても「抑止力」は有効なカードであると見立て続けるのか。あるいはひょっとして、自分たちは密かに核を保有しているのでしょうか。それはあり得ないとしたら、アメリカの核の傘(nuclear umbrella)を指して、まるで我が国の「核」であるかのように、その威力を言い立てているのですね。
ということは、核保有国でない限り「核抑止力」は空言であるけれども、最も友好的な同盟国の「核」を頼りに「抑止力」を叫んでいることになる。ここで、とんでもない隘路に突き当たります。まるでこの国はアメリカと一体だと主張しているのですが、果たしてどうでしょう。よく、日本はアメリカの「属国(vassal state)」、あるいは「植民地(colony)」と呼ばれますし、仮に首相自身がそう思っているのなら、少なくとも「核抑止力」の効果云々に関しては外れてはいないでしょう。まさか、一国総理が「我が邦は他国の植民地である」と言って見逃されるとでも考えているのかどうか。核保有国なら「核抑止力」は有効であろうけれど、そうでない限りは成り立たない理屈です。
「持ち込ませず」という原則はつねに怪しいものと受け取られてきたし、今はその怪しさをもっと鮮明にしようということかもしれない。何か事があるたびに、アメリカの核搭載原子力潜水艦などが劣島領海に入る段階で、「核は持ち込ませない」と言って阻止するのでしょうか。それとも「持ち込んでいない」とアメリカが言うのだから、その言い分を信頼するというのですか。日本の公権力を行使して「検査(臨検)」するとでもいうのか。これまで、少なくとも何度かは「核の持ち込み」をアメリカはやってきたことは知られていますから、この「持ち込ませず」は有名無実でしょう。だから「まやかし」だというほかありません。

これも、これまで何度も話したことです。アメリカは自国民を犠牲にして「日本を守る」ことは断じてあり得ません。核を使って日本の防衛を果たそうとする塗炭、敵国(?)はアメリカ本土を攻撃するでしょう。最長航速距離1万メートル以上の核搭載ミサイルは何処の保有国も開発しています。また、「核搭載の潜水艦」が「何時何日、横須賀に入港します」と世界に明らかにすることなどありえないでしょう。多くは「原子力潜水艦」には核ミサイルを搭載をしていますから、少なくとも一年は海中深く潜航し、相手国に行方を知られないためにさまざまな装備を凝らしている。「(T 首相は)米軍の核搭載艦の日本寄港が認められない原則を順守すれば、核抑止が骨抜きになるとの考えのようだ」(京都新聞「社説」)けれど、今どき、こんな呑気は空想・妄想もないでしょうに。日本に寄港などしなくとも、何時だって、どこからでも「標的」を攻撃する戦略こそが「核戦争」の現代版です。「戦艦」発言と言い、どうも、首相の頭の中は「第二次大戦」段階で止まっているようです。無知と無能を完備している、今のままで総理大臣であっていいのでしょうか。
矛盾と空論を満載した「非核三原則」を見直して、はっきりと「我が国は核兵器は作らない(だから、持たないのは当たり前)」という、短銃明快な一つの原理を世界に向けて宣言し、いかなる国の核開発(実験)と核保有にも断じて反対すると、腹をくくって覚悟を示せば、それはそれで立派な態度だと思う。冗談じゃない、死んでもそんなことはできないのは知れていると言うなら、即刻、首相を辞めてもらいたいね。
【国原譜】戦後80年の年の締めくくりとして記憶にとどめたいのが「12月8日」である。1941年のこの日、あの戦争は始まり、4年後に日本は敗戦した。▶県民手帳には、8月15日のところに「終戦記念日」は記されている。でも「開戦記念日」はない。1941年以前に実質的な戦争状態に入っていたからだろう。▶「今次ノ対米英戦争及今後情勢ノ推移ニ伴ヒ生起スルコトアルヘキ戦争ハ支那事変ヲモ含メ大東亜戦争ト呼称ス」。その年12月12日の閣議決定だ。▶当時「支那事変」と呼ばれた日中戦争は当初、宣戦布告のない戦いだった。まるで、現在のロシアがウクライナ侵攻を指して使う「特別軍事作戦」だ。▶高市早苗首相の国会答弁で注目される「存立危機事態」という言葉に振り回されないようにしたい。戦争はいつも、こういう言葉の浮上から始まるように思うからだ。▶言葉といえば、高市氏が「戦艦」と口にしたことにちょっと驚いた。今夏の映画『雪風 YUKIKAZE』に登場した旧日本海軍の軍艦「雪風」は「駆逐艦」で、戦後に生き残った。戦艦「大和」の沈没も見届けた。(北)(奈良新聞・2025/12/07)
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII






















