
最近(この十年ほど)、国会中継を見ることはまずありません。見ていると腹が立つということもありますが、すべてが「儀式」になり下がっていて、どこにも緊張感がないという、この議論の空虚さに耐えられなくなったからです。昨日は、久しぶりに「国会中継」を見てしまいましたが、その30分の時間がぼくには耐えられなかった。見るに耐え(られ)ずという意味です。内容浅薄なら、薄っぺらいけれどもそれらしい「議論の欠片(かけら)」があるのでしょう。しかし内容空虚であれば、まことに聞くも虚(むな)しいという気分に襲われるだけです。「スパイ防止法」などといういかがわしい法案を導くための「国家情報会議設置法案」の審議入りがありましたが、国会のこんなに酷い為体(ていたらく)では、先が思いやられる、いや明日でさえ危ないという気がします。どこかの学級会の風景の方がまだましという、感想をぼくは持つ。(いつでもカンニングペーパーが横から入れられる、こんなおかしな「八百長芝居(rigged play)」はおそらく、ここ以外では滅多に見られないでしょう)
(ヘッダー写真:「国会前で、改憲やホルムズ海峡への自衛隊派遣に反対を訴える人たち=2026年3月25日午後8時11分、東京都千代田区、筋野健太撮影」朝日新聞・2026年3月31日 7時30分)

現下「ホルムズ海峡」の主導権をめぐり、米・イ間で「不毛な攻防」が続いていますが、それを横にして、この国の化石燃料問題に関する政府答弁は「石油備蓄があるから大丈夫」というばかり、どれだけの根拠があるともいわず、とにかく来年までの「調達のめど」はついたというだけ。実に真剣味がない、ある意味では不誠実・不真面目そのものです。早い話が、2月28日のアメリカ・イスラエル両国によるイランへの軍事攻撃開始以来、一隻のタンカーもペルシャ湾経由で日本の港に入っていないにもかかわらず「だいじょうぶだあ!」とは、まるで故志村けんさん譲りのバカ殿ぶりです。
昨日の問答を聴いていて、野党側も、実は「スパイ防止法」に賛成なのだと勘繰ってしまうほどの能天気ぶりでした。質問する側は「まさか個人情報を恣意的に集めないでしょうね」と尋ね、「一般的には市民の情報を集めることは想定しえない」と首相は答える(誤魔化す)。現に、「でも」参加者の顔写真や身元調査を公安庁はやっているにもかかわらず、です。ぼくであえ、何度もやられてきました。「そんなことはいたしません」とは口が裂けても言わない、「想定しがたい」ことはいつだって「あり得ます」ということでしょ、その意図を知ってか知らずか、質問者は問題を素通りしてしまう。「仲間」は責められないということだったか。議員諸君は「国が敗れても」、議員でありさえすればいいと考えているようです。

これを何問答というのでしょうか。「頓珍漢問答」でしかないと、ぼくは断じたいですね。政府に反対するという理由で市民がデモに参加しても「プライバシーの侵害はないでしょうね」と訊かれて「一般市民というだけで、デモ参加者が調査の対象になるとは、一般的には想定しがたい」という。この「蒟蒻(こんにゃく)」問答にもならない「眼晦(くら)まし問答」を真に受けて、メディアは「市民は調査の対象外」と、何を血迷っているのか、平気で書く。「よいしょ」「提灯持ち」「褌(ふんどし)担ぎ」そのもので、新聞よ、そんなことでいいのかと、記事を読みながら反吐が出そうになるし、腹の底からの非難も生まれる。「(一般論ですが、と断りつつ)それだけの理由で、…とは想定しがたい」と詐術を多用する(常習犯)首相。個人の権利である「表現の自由」を、時と場合では「取り締まる」「踏みにじる」と公言・広言しているんですぜ。驚くばかりの「憲法違反」答弁を引き出しておきながら、「安心しました、ただ今の総理の御答弁で」と礼を言う始末。阿保かいな、とぼくは独語する。どこと戦争を始めるための準備か、ぼくには見当もつかないが、国力が著しく衰退する中、「戦争序曲」ばかりがが鳴り響いている。虚しく、悲しく、寂しいね。

以下は、読んでの通り。新聞記者(井上靖氏)の「意気地」の表出、その記憶を新たにする。「一寸の虫に五分の魂」と、精一杯の「肺腑の言」を記した井上靖さんの「思想」を、「いまさらのように新たにする」コラム「有明抄」氏の「思想」でもあります。新聞・テレビが死命を制せられているただ今現在、虫の息ではあっても、なお「新聞は死なず」というメッセージを訴え続けてくれる新聞人はいないのだろうか。きっといるんですがね。(左写真:2026年4月8日、国会議事堂(衆議院)の向かい側でデモが行われた・時事通信社)
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<蟋蟀(こおろぎ)は鳴き続けたり嵐の夜>
(「悠々のこの句作が世に出た1935(昭和10)年は、31(昭和6)年の満州事変、32年の五・一五事件、33年の国際連盟脱退と続く、きなくさい時代の真っただ中です。翌36年には二・二六事件が起き、破滅的な戦争への道を突き進みます。/もし今が再び<嵐の夜>であるならば、私たちの新聞は<蟋蟀>のように鳴き続けなければなりません。それは新聞にとって権利の行使ではなく、義務の履行です」澤藤統一郎の憲法日記・https://article9.jp/wordpress/?p=13309)(澤藤さんは東京弁護士会所属の弁護士。1943年生まれ)
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「旧聞」ですが。八十年を隔てて、新聞人が、かすかに響き合っている風情をぼくは感じていました。〈われわれは今日も明日も筆をとる〉、八十年後の記者氏は、果たして何のために筆を執るというのでしょうか。「戦争」に向き合うだけでは足りない、それは歴史が教えているのですから。とにかく、「歴史から学ぶ」、この作業を怠ってきたから、こんなに不遜で、しかも国民をいささかも顧みない政府・政治家が生まれてしまったのです。もう間に合わないではなく、まだまだ間に合うのです、その気になれば。
【有明抄】今日も明日も 『敦煌』などで知られる作家井上靖は、若いころ新聞記者だった。京都での取材を終えて支局に立ち寄ると、慌ただしい様子で同僚が教えてくれた。「あす重大発表があるそうです」。昭和20(1945)年8月14日のことである◆翌日正午、「玉音放送」は流れた。井上はその所感を記事にまとめた。「この記事を書くために俺は新聞社に入って来たんだ」。そう言って書き上げた原稿を紙面編集のデスクに渡したという。「もう、これでいい」。これ以上のものを書くことがあるとは思えない、と◆玉音放送から80年目のきょう、本紙は当時の紙面をもとに特集を編んだ。戦争遂行に加担した新聞の責任を苦くかみしめつつ、井上と同じく万感胸に迫る思いで記事をつづった、名も知らぬ先輩たちの姿を想像してみる◆「8月15日」は敗戦を国民に伝えた日には違いないが、決して戦争の終わりではなかった。旧満州(中国東北部)や千島列島ではソ連軍の侵攻が続き、逃げ惑う人びとにとって苦難の始まりにすぎなかった。空襲被害の救済や戦争孤児、兵士の心の傷…。さまざまな爪痕が戦後なお放置された◆いまを生きる私たちが向き合い、語り継ぐべき歴史はまだある。玉音放送のあくる日、トップを飾った井上の記事は国家再建を誓い、こう結ばれている。〈われわれは今日も明日も筆をとる〉(桑)(佐賀新聞・2025/08/15)

● 井上靖(いのうえやすし)[生]1907.5.6. 北海道,旭川 [没]1991.1.29. 東京=小説家。金沢の第四高等学校理科,九州大学法文学部 (中退) を経て 1936年京都大学哲学科卒業。京大在学中,戯曲『明治の月』 (1935) が新橋演舞場で上演され,時代小説『流転 (るてん) 』 (36) で千葉亀雄賞を受けた。しかし卒業後大阪毎日新聞社に入社して筆を絶ったが,第2次世界大戦後芥川賞を受けた『闘牛』 (49) ,『猟銃』 (49) で復帰,文名を確立した。勝負師的な行動家の激しい情熱と,それに伴う内面の虚無という鮮かな対照を個性的な人間像とともに描く『黯 (くろ) い潮』 (50) ,『黒い蝶』 (55) ,『氷壁』 (56~57) などを書き,物語作家としての才能を示した。その後歴史小説に新生面を開き,『風林火山』 (53~54) など日本の戦国ものを経て,鑑真 (がんじん) 来朝に取材した『天平の甍 (いらか) 』をはじめ,『楼蘭』 (58) ,『敦煌 (とんこう) 』 (59) ,『蒼き狼』 (63) ,『風濤』 (63) など茫洋とした歴史的時間を再現する大陸ものへと発展を示した。『孔子』 (89) が遺作となった。 59年日本芸術院賞受賞。 64年芸術院会員。 76年文化勲章受章。(ブリタニカ国際大百科事典)
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「戦争反対の声も上げられなくなる」監視社会招くスパイ防止法と国家情報会議に反対 国会前ペンライト行動 政府のインテリジェンス(情報の収集・分析)の司令塔となる「国家情報会議」創設法案や、スパイ防止法制定に反対する複数の市民団体が17日夜、国会前で「4・17議員会館前ペンライト行動」を開き、多くの人たちがペンライトを振りながら成立阻止を訴えた。/秘密保護法対策弁護団などが呼びかけた。2月に続いて2回目。主催者によると、約3500人が参加した。/弁護士の海渡雄一さんは、創設法案などについて「今も政府の政策に疑問を発信すると交流サイト(SNS)で『スパイか』と言われてしまうが、(法案が成立すれば)公権力が攻撃し、表現の自由が侵害される」と指摘。「戦争に反対と言うことも『スパイだ』とレッテルを貼って黙らせる制度を完成させようとしている」と警鐘を鳴らした。(↷)
立憲民主党の千葉県松戸市議の岡本優子さんは「ここで私たちがひるめば、戦争反対の声を上げられない監視社会になってしまう。今、皆さんが掲げているペンライトもノーという表現の一つだが、この表現の自由もなくなってしまうかもしれない」と訴えた。/色とりどりのペンライトを手に、ウサギの仮面や電飾で光るよろい兜(かぶと)などで装いを凝らした参加者たちは、音楽に合わせて「市民監視の法律いらない」「自由を縛る法律いらない」などとコールを繰り返した。(高山晶一)(東京新聞・2026年4月17日 21時47分)

高市首相「普通の市民、想定せず」 国家情報会議創設法案で 高市早苗首相は17日の衆院内閣委員会で、インテリジェンス(情報収集・分析)の司令塔機能を担う「国家情報会議」創設法案を巡り、「政府の政策に反対するデモや集会に参加していることのみを理由として、『普通の市民』が調査対象になることは想定し難い」と述べた。中道改革連合の長妻昭氏への答弁。/長妻氏は各省庁に情報提供を求める権限が与えられる「国家情報局」などが、政権の都合に合わせて政治利用される危険性を指摘。首相は「スキャンダルについて、マスコミや野党の追及をかわす目的だけで情報活動を行うことは現在も想定していないし、今後も行わない」と強調した。/法案は首相を議長とする国家情報会議を創設するほか、内閣官房の内閣情報調査室を国家情報局に格上げする。「スパイ防止」を目的とした新たな調査権限などは盛り込まれず、政府・与党は法案成立後に防止のあり方などについて検討を進める方針だ。/与党は22日の内閣委で法案を採決した後、23日の本会議で衆院を通過させる構え。野党は個人情報やプライバシーの保護、政治的中立性などに関する配慮を定める付帯決議を求めている。【田中裕之、原諒馬】

「中道改革連合の長妻昭議員は17日、衆議院内閣委員会で審議されている「国家情報局」設置法案を巡り、高市早苗首相に、情報収集に伴う人権侵害の懸念について質した。/長妻氏は「強い法律には副作用もつきものだ」と指摘し、「人権侵害やインテリジェンスの政治化が非常に心配される」と述べた。その上で、政府の政策に反対するデモ参加者に対する顔写真や職業の調査について「こういう情報活動はしてはいけない」として見解を求めた。/高市首相は「政府の政策に反対するデモそのものが情報活動の関心の対象となることは、一般的には想定し難い」と答弁し、「参加しているということのみを理由として、普通の市民の方が調査の対象になることも想定しがたい」と説明した。一方で「デモが過激化し危害が及ぶ事態に発展するかどうか」といった観点から関心を持つ可能性には言及した。(毎日新聞・2026年4月17日)(「⁂ 高市首相「デモ参加だけで調査対象は想定し難い」 国家情報局設置法案で質疑(①https://www.youtube.com/watch?v=XwaCctUoKLQ)(②https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=56184&media_type=)
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