ただ今、午前六時。室温16.7℃、湿度70%。ひときわ、身に染みる寒い朝。昨日は、アメリカ大統領選挙の帰趨を見極めるところまで、当地の速報番組に見入っていた。他国のことなのにと、自分でも思いながら、その行方を気にはしていた。午前の早い段階からの開票状況を見て、「おやっ、どうして伸びないのか」と怪訝に思っていた。昼過ぎには、ぼくは結果が予測できていた。結果は御覧の通り。理由や背景はいくらでも数えられます。
ぼくは、たった一言いうばかり。彼の地には、そここまで「ファシズム(fascism)は育っていた」と。人種(民族)差別は大手を振って横行していた。やり玉に挙がったのは「移民」。アメリカから「移民」を排除して、いったい何が残ろう。「移民差別」を声高に、悪しざまに叫ぶ当事者が移民であることを忘れてはいないだろうか。加えて、女性差別の爆発。先頭に立って旗を振っていたのが何件もの「性犯罪」(強姦罪を含む)で有罪判決を受けている「候補者➡当選者」だった。それがもっとも典型的にみられたのは「妊娠中絶」禁止問題でした。「移民と女性」、それがハンディキャップになるのが、今次の選挙だったとするなら、H 候補は二重のハンディを負わされていたのだ。不誠実で不平等な、理不尽きわまる差別との「闘い」は終わらない。
人種差別(Racism)と女性差別(Sexism)という、「人権侵害」そのものが大統領選挙の争点になったという現実には、ある種の恐怖を抱きます。敗れた候補者は、文字通りに「人種の坩堝(るつぼ)」とされるアメリカの「申し子(有色人であり、移民の子)(典型)」のような存在だった。その「申し子」をアメリカの多数の民衆は「廃嫡(disinheritance)」したのです。犯罪の告発件数が80件以上、刑法重犯の有罪件数が34件。公職(大統領)にあらざれば、即「逮捕拘束」の身だった。今となれば、すべての「犯罪」歴が解除される(無罪放免)か、そんな報道も出始めている。時代は暗さを増すなら、その中でひときわ光り輝く星々(☆彡)の出番もあるでしょう。暗ければさらに光る星(★)たち、それを、微光ですら放てなくなった星屑(stardust)であるぼくは見据えている。それぞれが光度(luminous intensity)を失わないこと、光度の強弱があってこそ、お互いが照らしあえる。
(今朝、6時の段階で閲覧・閲読できた「コラム」の中から二つ)(ヘッダーの詩「君死にたまふことなかれ」は与謝野晶子作。明治三十七年九月、雑誌「明星」に発表。日露戦争に出生していた弟への「呼びかけ」の体裁を取った、「反戦詩」。副題は「旅順口包囲軍の中に在る弟を歎きて」とされていた)
誰を選ぶかというのは、なによりも民主主義の要諦です。だから、T 候補が選ばれたことは事実として認める。それ以上にぼくには大きな問題となるのは、あの候補者ではなく、この候補者が選ばれたという事実の持つ別の側面です。「有権者が候補者によって選ばれた(候補者に引き付けられた)」ということを忘れたくない。たった一人の「大統領候補者」がファシズムを生みだし、増殖させるのではなく、たくさんの人民の中に「ファシズム」の根があり、それは育っていたという現下の「米国の土壌」、そのことに、ぼくは驚きを禁じ得ないのです。この劣島においても事情は変わらないでしょう。一朝事あれば、何時だって「ファシズム」は鎌首を擡(もた)げる。そのための「餌」はいくらでもあるのです。選挙期間中、彼の地では「アメリカ(白人)のためのアメリカ(白人)」というスローガン(幻想です)が聞こえていました。気を許していると、大声で「大和民族の美俗」を論(あげつら)う民衆は澎湃として起こるでしょう。「沖縄基地問題」の根はどこにあるか(抗議活動をしていた現地の人に対して、「黙れ、土人」と悪罵(abuse)を放った本土警察官(大阪?)がいた。どこからでも、現実にはできるはずもない「民族浄化」イデオロギー(原理主義)は沸き立つのだ。
この社会(国)の「首相」や「国会議員」各位に願うことはただ一つ。「君国を売り給うことなかれ(Please don’t become a traitor)」と。
【卓上四季】「ガラスの天井」に挑む 刻一刻と更新される開票速報を食い入るように見つめていた。米大統領選である。全世界の関心を集めた選挙だけに目が離せない。だれが選ばれるかによって世界の景色が変わるのだから▼トランプ氏が返り咲き、大国のかじ取りを担うことが確実になった。激戦が予想されていた州も着実に押さえていった▼声も態度も大きい自信家だ。お世辞にも品がよいとはいえない。ビジネスにたけているかもしれぬ。けれど国を導く大統領としてはどうか。予測不能な言動が混乱を招いた1期目を思えば不安が募る▼なぜ彼は選ばれたのか。逆にいえば、なぜハリス氏は敗れたのか。物価高や中東情勢、移民問題などについて、現職の副大統領として手腕を発揮できなかった―。トランプ氏はそう主張した▼それだけではなさそうだ。女性の政治進出を阻む社会的な壁の存在である。明治大の兼子歩(かねこあゆむ)准教授は「カウボーイ的な男らしさ」が深く根を下ろすと指摘する。敵との<対決を辞さないという、理想的な白人男性像である>。トランプ氏はこれを体現する権威主義的な指導者としてアピールした、というのだ(「世界」11月号)▼ハリス氏の挑戦は一歩及ばず、初の女性大統領の誕生を阻む「ガラスの天井」を破れなかった。だが多くの支持を集めたことも事実だ。あとに続く女性はきっといる。(北海道新聞/2024/11/07)
【有明抄】アメリカのゆくえ 全国の映画館で「洋画離れ」が進んでいるという。今年上半期、ヒットの目安とされる興行収入10億円を超えた邦画は15本。対して洋画は3本だけだった◆劇場で洋画の予告を見れば、荒唐無稽なヒーローが力まかせに敵をなぎ倒す。これではねぇ…。かつて「全米が泣いた」の惹(じゃっ)句(く)に胸躍らせた世代はため息をつく◆主役は強くあらねばならない。見ている方がげんなりする、かの国のそんな価値観は大統領選びともなれば一段と鮮明になる。「私は泣いてはいけないから笑うのだ」。奴隷解放宣言で知られるリンカーン大統領さえ、そんなジョークを飛ばしている◆暗殺未遂、有権者登録で大金が当たる選挙違反すれすれの呼びかけ、投票所への爆破予告…。選挙戦をにぎわせた数々の話題は、とても民主主義の国とは思えない。米心理学会の調査では、米国の成人の約7割が大統領選に「大きなストレス」を感じていた。選ばれた「強い主役」は分断で傷ついた、かの国の現実でもある◆洋画が「あこがれ」だった遠い昔、移民出身のF・キャプラ監督は『スミス都へ行く』で民主主義の理想を描いた。味わい深いせりふがある。「あなたの常識的な正義感こそ、この国に…いえ、ゆがんだ世界のすべてに必要なのよ」。米国がなくしたもの、そして世界が失おうとしているものについて考え込む。(桑)(佐賀新聞・2024/11/07)
(*ファシズム(fascism)= 極右の国家主義的、全体主義的政治形態。初めはイタリアのムッソリーニの政治運動の呼称であったが、広義にはドイツのナチズムやスペインその他の同様の政治運動をさす。自由主義・共産主義に反対し、独裁的な指導者や暴力による政治の謳歌などを特徴とする。(デジタル大辞泉)
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