【日報抄】2100年、県人口が100万人に-。ピンとこなければ、こんな想像をしてみたらどうか。今日生まれた子どもが70代になり、今の新潟市と長岡市を足した人口がそっくり消えてスカスカの新潟県で暮らしている姿を▼県は昨年、将来の人口ビジョンを公表した。100万人はあくまで目標値に過ぎない。今のままだと60万人まで落ち込むという▼本県の推計人口は5月1日現在で204万9175人。戦後右肩上がりに増え、ピーク時は250万人手前まで膨れた。それが今や戦時中の1940年の人口に戻ってしまった▼知事選の真っ最中に候補者が集会を開くというので新発田市の米倉小学校を訪ねた。市の中心部から車で20分。立派な校舎前の旧会津街道には見事な松並木があり、宿場町の面影が残っていた。学校が閉校していることは現地で知った▼さらに山手の赤谷小は2015年に閉校し、米倉小と統合した。米倉小も3年後に143年の歴史に幕を下ろし、町場に近い学校と統合した。集会に来ていた高齢女性がつぶやいた言葉が耳に残る。「どんどん子どもがいねなってね」。集落の保育園は今春閉園した。きれいな旧園舎だけが残る▼「スマートシュリンク」という言葉がある。賢く縮むを意味し、公共施設の統廃合を検討する上で注目される考え方だという。縮みゆくのは不可避でも効率一辺倒では困る。全県を見渡してなるべく多くの共感を得られるかじ取り役は誰がふさわしいか。まずは投票所へと足を運びたい。(新潟日報・2026/05/31)

⁂「週のはじめに愚考する」(121)~ 本日、ざっと通覧しただけで、およそ五紙が、地域における「人口減」問題を扱っていました。その多くは「高校」「大学」の定員割れの現実に苦悩するというものでした。いちいちは取り上げませんが、「今頃になってどうして」、そんな思いがぼくにはあります。いつも言うことで、「人口減少」は三十年以上も前から分かっていたこと。それは「東京一極集中」とは無関係ではないこともよく知られていました。だから、政治や行政がそれに向けて手を打ってこなかったということもできますが、「人口減少」の因子である出生数減と自然死の増加は、いわば「自然現象」ですから、それ自体を防ぐ手立てはまずありません。
今も台風6号が日本劣島を急襲する勢いと予想されています。台風に備えて様々な暴風対策を講じることは当然でしょう。でも、台風の発生そのものを封じることは(現段階では)不可能とされています。人口減少対策は確かに求められますものの、減少そのものを食い止めることはできません。減少以上の出産増を強いる政治的方策をとるなら問題は生まれていません。それを、今のこの社会に採用しますか、できますか。5年間で約310万人の減少といいますから、年間平均では62万人減となる計算です。ただし、昨年(2025年)の出生数 70万899755人・死亡数 160万5654人の割合で見れば、の減少になる。899755人の純減となります。日本の人口は直ちに消滅するはずもありません。しかし、これまで通りの社会体制を維持していくことは困難になるのは避けられないのです。
前回の調査から五年間で約309万人以上の人口減です。増加したのは東京と沖縄のみ。そして、年々、単年度の人口減幅は増大しています。「少子高齢化」という現象は、それこそ右肩上がりで拡大しています。少子化の荒波を受けるのは社会全体です。しかしそれを最も顕著に、しかも痛烈な災難として受けるのは「学校経営」であることは言うまでもありません。このところ、各地で伝統や歴史のある学校(多くは私立学校)の閉鎖情報が飛び交っています。

まずは「短期大学」が少子化の直撃を受けた。次いで女子大学。あるいは地方都市における私立学校等々、この数年で多くの学校が生徒・学生募集を停止するに至っています。「短期大学」の延命策は四年制大学に形態を変えることでしたが、ぼくの知る限り、それで成功したところは極めて少数でしかありません。あるいは女子大学で社会的評価を受けていたところも店員割れで、「男女共学」化を図って、うまく軌道修正できたという話はあまり聞きません。短大や女子大という看板で社会的評価を得ていたところが宗旨替えをしたといって、直ちに評価が上がるというものではないことを示しているでしょう。

日本全体が縮小しているのですから、どこかが人口を増やせば、どこかが一層人口減少を加速させる事態を招くという「悪循環」に陥っているのです。「人口増加率は東京が1.4%、沖縄は0.1%」、「減少率は秋田の8.1%が最も高く、39道府県で減少幅が拡大した」「市町村別では、全体の90.6%に当たる1558自治体で人口が減った」繰り返しになるのをいとわないでいうと、人口減少の主因は「出生者数」の現象であり、自然死者数の増大です。それは一面では自然現象とみるべきです。
結婚を選ばない、結婚をしても子どもを望まない、子どもを求めるけれども最低数で終わり、そのような人生の選択が行われているとみるべきで、この状況を上向き(出生数増)にベクトルを向けるのは容易ではないでしょう。一時的には状況が好転することはあっても、この社会が経験してきた戦後のような人口も経済も「右肩上がり」は望めないと考えた方がいいと、ぼくは判断しています。

残された手法はあるのか。すべてに過激なほどの威勢のいい新聞の【社説】を引用しておきます。現内閣・首相の応援団を自認しているにもかかわらず、ほとんど何も展望がないことを、その新聞であえも明かしています。ある時期に、将来の成長を期して、たくさんの植樹をした。半世紀たって、それぞれが一定の規模に成長した段階で、その成長の速度は鈍り、衰勢堅調になる、これは当たり前の自然現象でしょう。命あるものの宿命で、一種の生命過程の成長・衰弱曲線とみられるものですから、坂道を上り切れば、峠でじっと留まることはできません。次々に坂道を下る羽目になります。これは紛れもなく「自然の歩み」です。これを反転させることも中断させることも不可能でしょう。
「日本劣島を強く豊かに」とリーダーは喚(わめ)いていますが、喚けば喚くほど、木魂が虚しく響きます。産経新聞の「主張」に目を移してほしい。「高市早苗政権や与野党はもっと危機感を持たねばならない。少子化の速度を緩やかにして時間を稼ぎ、人口減でも移民国家にならずに、社会機能を維持し、豊かさを実感できる国にすることが必要だ。/高市首相は少子化と人口減について『わが国の活力を蝕(むしば)んでいく』と述べ、総合的な戦略を策定する考えを示してきた。人口目標や将来の国家像を具体的に示してほしい」と、いかにも展望がなさそうです。この衰退しきった国の勢いをさらに懸命に「蝕んでいる」のは誰ですか、教えてほしい。
【主張】国勢調査 人口減の加速に危機感を 総務省が令和7年国勢調査の速報値を公表した。昨年10月1日時点の外国人を含む日本の総人口は1億2305万人で、2年の前回調査から309万7千人減った。減少率は2・5%だった。/初めて人口が減った平成27年の前々回から3回連続の減少である。減り幅は過去最大だ。前回の減少率0・7%と比べると急速に人口減が進んでいることが分かる。/総務省は少子高齢化が進み、死亡数が出生数を上回る「自然減」が拡大したことが要因とみている。/政府が令和5年12月に少子化対策を盛り込んだ「こども未来戦略」を策定してから約2年半が経(た)つ。高市早苗政権や与野党はもっと危機感を持たねばならない。少子化の速度を緩やかにして時間を稼ぎ、人口減でも移民国家にならずに、社会機能を維持し、豊かさを実感できる国にすることが必要だ。/高市首相は少子化と人口減について「わが国の活力を蝕(むしば)んでいく」と述べ、総合的な戦略を策定する考えを示してきた。人口目標や将来の国家像を具体的に示してほしい。
都道府県別では人口が増えたのは東京都と沖縄県のみで、45道府県で減った。このうち埼玉、千葉は大正9年の調査開始以来初めて、神奈川、愛知は戦後初めて人口が減った。/首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)の人口は3698万6千人に増え、総人口に占める割合が初めて3割を超えた。だが、その一方で人口減の波は都市部にも及び始めているといえよう。この現実から目をそらしてはならない。
少子化対策で政府が最も注力すべきは若年層の所得向上だ。結婚して子供を産み育てる人を増やすには、経済的不安の解消が欠かせない。/今後も現役世代(生産年齢人口)は減少し、人手不足に拍車がかかる。地方の過疎化が進み、税収減で地方財政が悪化すれば、行政サービスの提供も難しくなる。インフラ老朽化への対応も急がれる。交通機関が衰退する懸念もある。/人口減でも社会が機能するように、政府や自治体は住宅や公共施設などを集約させる「集住」にもっと力を入れるべきだ。企業や行政は、AI(人工知能)の活用による業務の効率化も加速させたい。(産経新聞・2026/05/31)

少子高齢化は少なくとも戦後の歩みの、一つの帰結のようなものです。いろいろな側面を十分に考慮しなければなりませんが、この傾向を止めることはできないし、まして「逆転」など考えるも愚か。問題を大局でとらえる必要があります。でも微細なところで、捉え返す視点も必要でしょう。マクロとミクロ、です。早くに「限界集落」と目された地域でも直ちに「消滅」するものではありません。時間の遅速はあるけれど、消えるまでには一定の時間があるのは「寿命」と同じ。小さな地域同士を合併させて延命を図っても、時間の問題です。詰まりは集団にも寿命があるということです。
人生は「生まれ・病み・老い・死す」、社会(集団)もまた。現下の喫緊の問題にふさわしくありませんが、以下、親鸞さんとチャーリーさんの「箴言」です。ご参考までに。

生死(しょうじ)の苦海(くかい)ほとりなし
ひさしくしづめる
われらをば
弥陀弘誓(みだぐぜい)のふねのみぞ
のせてかならずわたしける (親鸞『高僧(こうそう)和讃(7)』)
< A day without laughter is a day wasted.> < Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot.>(Sir Charles Spencer Chaplin(1889~1977)(右写真はチャップリン氏)
過去最大309万人減 総人口1億2304万人―国勢調査 総務省は29日、2025年国勢調査の速報値を発表した。同年10月1日時点で外国人を含む日本の人口は1億2304万9524人で、20年の前回調査から309万6575人減少。1920年の調査開始以来初めて減少に転じた15年調査から3回連続のマイナスで、減少幅は最大。減少率も前回の0.7%から2.5%へと大幅に伸びた。/ 総務省は、死者数が出生数を上回る「自然減」の拡大が影響したとみている。
都道府県別では、東京、沖縄を除く45道府県で人口が減少。埼玉、千葉は調査開始以来初めて、神奈川、愛知は戦後初めてマイナスに転じた。東京一極集中に歯止めがかかっていない一方で、都市部でも人口減少が進んでいる実態が明らかになった。
人口は、最多の東京が1424万6219人、次いで神奈川919万3657人、大阪876万4578人など。上位8都府県で全国の5割以上を占めた。最も少ないのは鳥取で52万3732人だった。
人口増加率は東京が1.4%、沖縄は0.1%で、いずれも増加幅は前回から縮小した。減少率は秋田の8.1%が最も高く、39道府県で減少幅が拡大した。/市町村別では、全体の90.6%に当たる1558自治体で人口が減った。減少幅が1割以上だった市町村は27.7%に上り、前回の14.3%から拡大した。
男女別に見ると、男性が5977万8826人で、女性が6327万698人。国連の推計によると、日本の人口は世界12位で、前回調査の11位から後退した。/単身世帯の増加により、世帯数は2.3%増の5712万4507世帯。1世帯当たりの人数は2.15人と過去最少を更新した。(時事通信・2026/05/29)
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