全く個人の趣味の問題として、ぼくは「賞」というものは、どんなものにせよ、死ぬほど嫌いです。もちろん、こんな人間でも就学期間中に、意味も分からずに何かと「賞」らしいものを貰ったことがあったが、それを拒否しなかったのは、少年時代といいながら、我が人生の汚点だと考えていました。それ以降、心して、「賞」に近づかないように心構えを明らかにしてきたつもりでした。ところが、その後、25歳ころに自分から好き好んで「お池にはまってさあ大変」という事態を招いたことが、たった一度だったが、ある。音楽好きが嵩じて、ある出版社の懸賞に応募したのだ。詳しいことは略しますが、その結果が半年ほど後に公表された、そのことをすっかり忘れていたのを先輩から知らされ、ぼくは赤面の至りと、実に恥ずかしい想いに襲われた。それ以降、金輪際、汚点は増やさないと覚悟を決めたものでした。
(ヘッダー写真・高市首相の「働いて働いて…」発言の流行語大賞選出に過労死遺族らが抗議の画像:弁護士JPニュース・https://news.nifty.com/article/item/neta/12382-4769522/photo/)
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なぜ「賞」が嫌いか。理由はきわめて単純。「賞」を授ける側の商売のネタになっているからです。その反対に、偶然であれ何であれ、受ける側そうはいっても、倣い性(癖)になり、賞を取るために何かをするという、奇怪な動機で物事を始めるということになる、その根性がぼくには厭うべものと思われるからです。もらえないのなら、やらないとなりませんか。「金メダル」のために人生を懸けるというのは、あくまでも、ぼくには最悪の選択になる。そんなものは自分は嫌いだが、他者が受賞されることには批判も避難も賛同もしない。この「新語・流行語大賞」と言う年中行事があることは知ってはいましたが、まったく興味はないし、流行語と言うのは、一陣の「疾風」、あるいは俄(にわ)か雨のようなもので、止んでしまえば、降ったことも吹いたこともすっかり忘れるのがオチです。そんなものにあれこれいちゃもんをつけてどうするといわれそうですが、今回の「働いてまいります」という女性政治家の物言いには、率直に言うなら、反吐が出る。「働いて…」を口にしたものも、それを「顕彰」したもの両者ともに対して、反吐が出る。仮に「働いて働いて…」が、自分の覚悟のほどのものだったら、公衆の面前で、これ見よがしに言うべき言葉ではなかったと思う。このような自己中心(self-centered)、他者への思いやりがない人間性こそが最悪の人種(言うまでもなく、政治家としても)だと、ぼくは思っている。

早速に、「過労死の遺族」の方々が「抗議の声」をあげられたのは当たり前の話。「医師の過労死家族会」共同代表の中原さんの発言。「高市首相が自民党総裁選出後の所属議員向けあいさつで『馬車馬のように働いてもらう』と発言したことについて、夫が生前に残した『馬車馬のように働かされて、病院に殺される』との言葉を思い出し『怒りに震えた』と訴えた」と。この女性政治家の物言いは、ぼくが常々いう「心ない仕業」というものの典型的な事例でしょう。「(受賞に対しては)驚愕した。遺族には最大の侮辱で、深く傷ついている」と語られている。「働いて働いて」という当人の「覚悟」のほどを密かに心中に抱くことは構わないでしょうが、いかにも見せびらかすように「勤勉ぶり」を振りまくのは、実は「自己宣伝」そのものであって、他者への思い遣り(惻隠の情・compassion)」の決定的欠如を表明しているに過ぎないでしょう。この発言自体が由々しいものでしたが、それを持ち上げ、誉めそやし、必要以上に「当人を買いかぶる」顕彰団体は、もっと卑しい、恥ずかしい存在というべきでしょう。このような「ことば」を流行語にしないようにと言う「他山の石」の思いを語るならいざ知らず、先陣を切って、もっと働け、国民の皆さんと言いそうな勢いで、大燥(おおはしゃ)ぎです。自滅寸前(気息奄々)のこの国の息の根を止めたいのでしょうか。「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」と、ファンファーレを吹きならすことに大きな喜びを抱いているのです。
言うまでもないことですけれど、この政治家のもっとも尊重すべき人生の価値は「一日に何時間働けるか」と言うところにしか見出していていないということです。翻って、「まったく働けない存在」そのものをいささかも認めないということをあからさまに示していないでしょうか。「馬車馬のように」という表現に、ぼくは勤勉や誠実さというものを微塵も認めることはできない。働いて、働いて、国を更に今以上に壊すことだけは御免蒙(こうむ)りたいものです。
「亡国の道」に、各位・各自挙(こぞ)って一直線…、という悍(おぞ)ましい風景を、ぼくはこれ以上は見たくないですね。
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テサロニケの信徒への手紙二3章6節~18節 (3:6兄弟たち、わたしたちは、わたしたちの主イエス・キリストの名によって命じます。怠惰な生活をして、わたしたちから受けた教えに従わないでいるすべての兄弟を避けなさい。 (3:7)あなたがた自身、わたしたちにどのように倣えばよいか、よく知っています。わたしたちは、そちらにいたとき、怠惰な生活をしませんでした。 (3:8)また、だれからもパンをただでもらって食べたりはしませんでした。むしろ、だれにも負担をかけまいと、夜昼大変苦労して、働き続けたのです。 (3:9 援助を受ける権利がわたしたちになかったからではなく、あなたがたがわたしたちに倣うように、身をもって模範を示すためでした。(3:10)実際、あなたがたのもとにいたとき、わたしたちは、「働きたくない者は、食べてはならない」と命じていました。 (3:11)ところが、聞くところによると、あなたがたの中には怠惰な生活をし、少しも働かず、余計なことをしている者がいるということです。 (3:12)そのような者たちに、わたしたちは主イエス・キリストに結ばれた者として命じ、勧めます。自分で得たパンを食べるように、落ち着いて仕事をしなさい。(3:13)そして、兄弟たち、あなたがたは、たゆまず善いことをしなさい。 (3:14)もし、この手紙でわたしたちの言うことに従わない者がいれば、その者には特に気をつけて、かかわりを持たないようにしなさい。そうすれば、彼は恥じ入るでしょう。 (3:15) しかし、その人を敵とは見なさず、兄弟として警告しなさい。(3:16)どうか、平和の主御自身が、いついかなる場合にも、あなたがたに平和をお与えくださるように。主があなたがた一同と共におられるように。 (3:17)わたしパウロが、自分の手で挨拶を記します。これはどの手紙にも記す印です。わたしはこのように書きます。 (3:18) わたしたちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがた一同と共にあるように。(羽生栄光協会・https://www.rcj.gr.jp/hanyueikou/message/bible.php?id=53)
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首相発言の年間大賞受賞に抗議 過労死の遺族「悲痛な声知って」 市早苗首相の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」との発言が「現代用語の基礎知識選 2025T&D保険グループ新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれたことを受け、過労死遺族らが11日、東京都内で記者会見し、受賞で多くの過労死遺族が傷ついたとして「悲痛な声があることを知ってほしい」と抗議の声を上げた。/小児科医の夫を亡くした「医師の過労死家族会」の中原のり子共同代表(69)(左写真)は、高市首相が自民党総裁選出後の所属議員向けあいさつで「馬車馬のように働いてもらう」と発言したことについて、夫が生前に残した「馬車馬のように働かされて、病院に殺される」との言葉を思い出し「怒りに震えた」と訴えた。受賞に対しては「驚愕した。遺族には最大の侮辱で、深く傷ついている」と批判した。/会見では、受賞に対する過労死遺族らのコメントが紹介され「命を落とす危険もある働き方を称賛するように見え、違和感がある」「怒り心頭で許すことができない。撤回を求めたい」「過労で亡くなった人に対する冒涜」との言葉が並んだ。(共同通信・2025/12/11)
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高市首相の「働いて」×5 本音のコラム+>前川喜平(現代教育行政研究会代表)
今年の新語・流行語大賞に「古古古米」や「トランプ関税」を差し置いて高市早苗首相の「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」が選ばれた。誰がどう選んだのか知らないが「忖度(そんたく)」の腐臭がぷんぷんする。テレビは高市氏の受賞場面をこぞって報じ、高市人気の向上に貢献した。政権発足から約50日。首相にはもちろん働いてもらわなければならないが、問題は彼女が誰のために働いているのかだ。
(授賞式で選考委員のやくみつるさんから直筆イラストを受け取り笑顔の高市早苗首相=1日、東京都内で)(右写真)
第一に、高市首相はアメリカのためによく働いている。アメリカの望み通り防衛費をGDPの2%に押し上げ、アメリカ製兵器を大量に買うことでトランプ大統領から感謝された。わざわざ米軍空母にまで同行してはしゃいで見せたりもした。台湾有事発言ではアメリカを心配させたが、トランプ大統領から電話で釘(くぎ)を刺されたので、しばらくは口を慎むだろう。
第二に、高市首相は大企業のためによく働いている。円安を放置して輸出企業の増益に貢献し、国債頼みの超大型補正予算で株価を支える。労働時間規制は経営側に都合よく緩和しようとする。武器輸出を解禁して軍事産業を儲(もう)けさせようとする。大企業優先の政策の見返りは、もちろん企業・団体献金だ。
第三に、高市首相は極右勢力のためによく働いている。彼らは彼女を自民党総裁に押し上げた支持母体だ。選択的夫婦別姓や同性婚には絶対反対。女系天皇も絶対阻止。何事も日本人優先だから、外国人学校や定住が見込まれない外国人生徒は高校無償化から排除する。歴史への反省はなく、加害を非難する近隣諸国を敵視する。台湾有事発言は意地でも撤回しない。最終目標は、大日本帝国に回帰する憲法改正と軍事大国化だろう。
第四に、高市首相は裏金議員のためによく働いている。萩生田光一氏を幹事長代行に任命して完全復活させ、岸田・石破両内閣では起用を見送った裏金議員たちを、選挙で「有権者から認めていただいた」と言って副大臣や政務官に任命した。選挙を経ずに官房副長官に任命した佐藤啓参院議員については「再起の機会を与えてもらいたい」と開き直った。裏金還流の再開を要求したのが下村博文氏だったという新証言が出ても、裏金問題の真相解明には動かない。
第五に、高市首相は自分自身のためにもよく働いている。高市氏の政治資金団体「新時代政策研究会」には昨年約2億円もの収入があり、そこから8000万円を超える額を自民党総裁選の告示直前から選挙期間中にかけて宣伝事業費として支出していた。高市氏が代表を務める自民党支部が昨年都内の企業から上限を超える1000万円の寄付を受け取っていたことも発覚した。党首討論で企業・団体献金の問題を「そんなことより」と議員定数削減の問題にすり替えたのは、これからも企業・団体献金で稼ぎたいからではないか?
高市首相は、アメリカのために働いて、大企業のために働いて、極右勢力のために働いて、裏金議員のために働いて、自分自身のために働いているようだ。そんなことなら働いてくれない方がいい。(東京新聞・2025/12/08)
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