【新生】天狼の眼 学生時代のサークルの後輩に、損害保険会社の社員がいる。東日本大震災など長年、全国の被災地を回ってきた災害対応のエキスパートである。10年前の熊本地震の際も、現地社員の支援に来た、と訪ねてきた▼「君のところは、これまでの経験が蓄積されていろんなノウハウがあるんだろうな。こっちはこんな大地震は初めてだから大変だよ」とこぼすと、「いやー」と首を振る。「起きた環境や時間、季節などによって、被災の様相はだいぶ変わってきますよ。これまでの経験がそのまま当てはまると思っていると間違えます」と▼今あらためて、その言葉を思い出している。イオンモール熊本での大規模爆発や日本製紙八代工場での煙突倒壊事故など、10年前にはなかったような形で大惨事が起きた▼続く余震と猛暑の中で、各所での安否の確認は困難を極めているようだ。肉体的にも精神的にも作業に当たる人たちの負担は大きいだろうが、何とか一刻も早い救出を願う▼生存率が急激に低下するとされる「72時間の壁」が迫るけれども、その経験則が当てはまらない事例が少なからずあったことを希望としたい。2004年の新潟県中越地震では、2歳の男の子が92時間後に土砂の中から助けられた▼<天狼[てんらう]の眼も守りしか土なかに生きゆくりなく幼児[をさなご]還[かへ]る>。上皇后美智子さまが救出劇を詠んだ歌である。天狼とは恒星シリウスのこと。その星は今の季節、日中の空にあって見えないが、生還を祈る全国の人々の眼とともにきっと見守っている。(く熊本日日新聞・2026/07/31)
(ヘッダー写真は「約700人が身を寄せる八代トヨオカ地建アリーナ(八代市総合体育館)= 西日本新聞・7月30日)

これまでに一度だって「避難所」暮らしの経験はありません、とても幸運だったと思っています。何人かの経験者から話を伺ったことはあるが、異口同音に、その「生活」の、驚愕するような非日常性が語られ、そして「二度とごめんだ」と同じように言われていた。この島では、毎年、必ず「自然災害」は起こっています。それは単なる「自然災害」などではなく、明らかに「人災(人的要因)」も加わってのものででしょう。台風や豪雨、あるいは地震や津波などは、それ自体、大部分は「自然災害」ではあろうと思われますが、人間の生活環境や生活条件が深く関与しているという点では、立派な人為災害であるといえる性質のものです。まして、いったん被害に遭遇すると、大多数の人々は「避難」を余儀なくされます。当然のことです。
しかし、何十年経とうが、「避難所」は「体育館」がお定まりとは、これこそ、「大災難」でしかないでしょう。こんなことで、いったい「災害劣島」の名に恥じないといえますか。(右写真「土佐湾台風で避難所となった旧新堀小学校体育館。仕切りもなく被災者が床に寝転ぶ光景は半世紀を経ても変わっていない」(1970年、高知市はりまや町2丁目):高知新聞・2025/04/10)
他国の事例を持ち出すまでもなく、「定番避難所」からの「避難」をこそ、行政は目指すべきです。「すわっ、地震」とくれば、体育館へ直行という、何十年も改善されてこなかった、この無策こそ、世界に関たる「地震王国」の名折れであり、恥辱だと受け止める官僚も政治家もいないのですから、話にならない。何年目ごとではなく、毎年、大災害は必ずこの劣島を襲うのを「歴史」としてきたのです。「体育館で雑魚寝(ざこね)」というのは、政治不在(腐敗)、行政の不作為そのものでしょう。(*ざこね(雑魚寝・雑居寝)=1 大勢の人が雑然と入り交じって寝ること。2 節分の夜などに、村の老若男女が神社などに集まって共寝した風習。《季 冬》(デジタル大辞泉)
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<2026年熊本地震>停電、断水…「車中泊しか選択肢ない」 避難所外の被災者多く 専門家が警鐘を鳴らすのは… 余震や酷暑が続く熊本地震の被災地では、30日も停電や断水が続いた。多くの被災者が車中に泊まり、公共施設などの駐車場や自宅敷地で「軒先避難」を続ける。高齢者や子どもがいる世帯は避難所行きをためらい、公民館や学校が被災して避難所を開設できない地域では「車中泊しか選択肢がない」との声が上がる。防災の専門家は「被災者の孤立を防ぐ支援が必要だ」と指摘する。(中略)/ 熊本県災害対策本部の集計では、30日午前6時時点で30市町村の指定避難所約400カ所に約4千世帯約1万人が身を寄せる。/ ただ、車中泊や在宅避難は含まれず、実際はさらに多いとみられる。氷川町や宇城市など大きな被害を受けた地域では、避難所となる学校や防災センター、公民館が被災。停電の影響もあり、開設が遅れている。(以下略)(熊日新聞・2026/07/30)

<2026年熊本地震>東京通信大の松尾特任教授「避難所からの避難を」 提言の理由は? 猛暑の熊本を襲った最大震度7の地震。過酷な気候の中、厳しい避難生活が続けば、体調悪化や災害関連死の恐れが高まる。防災行動学が専門で、災害時の行動計画を事前に決める「タイムライン」の重要性を提唱する東京通信大の松尾一郎特任教授(70)は「災害関連死を防ぐには『避難所からの避難』を進めるべきだ」と訴える。(聞き手・東寛明)◇◇ 地震の際、建物の倒壊や火事による「直接死」をなくすには、発災前の準備が肝要だが、避難先の環境に伴って発生する「災害関連死」をゼロにするには発災直後からの努力が必要。国と熊本県、自治体が連携して実現できるのは、被災者を避難所から安全で快適な宿泊施設に移す「避難所からの避難」だ。/「避難所からの避難」は「広域避難」「2次避難」とも呼ばれる。2024年の能登半島地震では、被害が大きかった石川県の輪島市の住民が100キロほど離れた金沢市の宿泊施設に移った実績がある。/今、被災者は猛暑の中での避難を強いられている。避難所は停電すれば冷房は止まる。空調が稼働しても冷房が十分に効かなかったり、逆に寒すぎたりすることもある。入浴もままならず、トイレ一つ取っても不安だらけだ。/避難所ではプライバシーを完全に保てず、ストレスがたまる。それを避けて車中泊をすると、エコノミークラス症候群が怖い。劣悪な状態が続けば、高齢者や障害がある人は一気に体力が低下する。/そこで「避難所からの避難」という発想が大事になる。災害関連死を確実に減らせる方策だ。(同上)
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「体育館で雑魚寝」なんかいやだと文句を言う、それなら自分勝手に工夫しろと突き放される。そこで生み出されたのが「車中泊」という、とんでもない苦行でした。一時間や半日程度なら我慢もできるが、先の展望が見えない状況下で、手足を伸ばして寝られないという悲惨な状態を、これまた行政・政治は、横目で見ながら放置しているのです。「明日は我が身」「困ったときは相見互い身」ということを考えれば、いかなる無能政治家にも、どうすればいいか、とっさの「知恵らしきもの」は沸きますぜ。その教訓を多く示したのが「能登半島地震」の発生当時の多様な「避難の状況」「避難生活の在り方」でした。細かい事情を考慮すれば、一事が万事で、容易に物事は動かないでしょう。でも、差し当たっての「ストレス」「緊張」、あるいは「体調不安」などの解消のために何が可能か、必要か、そんなことが考えられないようでは、政治家も役人も、即座に辞めたほうがいい。いるだけ目障りですから。
いろいろな点で、自衛隊という大所帯には、様々な状況に対応できる「ノーハウ」「インフラストラクチャー」があります。臨時の風呂場の設定も、お手の物でしょう。野営のテントも数多くあるでしょう。「仮設住宅」が出来上がるまでの急場しのぎには、何でもとは言わないが、多くの不便を克服するだけの装備や経験の蓄積があります。また、いくつかの行政単位が共同して、いざというときの「協力体制」も、今以上に作っておけるはずです。細かいことは言うつもりはありませんが、のべつに災害が発生しているこの国の現実に即して(照らして)、普段から整える事柄は無数にあるといえませんか。

「ヘルメットに防災服」がに合うとは思われませんけれど、イヤリングやネックレスをつけて「救命」「復旧」に夜を徹してと、首相は檄を飛ばしているのでしょうが、心から人命尊重をという「言葉」が信じられないとはどういうことでしょうか。国をつぶすことにしか関心がない人間に、人命尊重や生活支援の感情が濃厚にあるとは考えられません。国家大事で、国民を苦しめるような総理大臣が、今の時代にいるというのはどういうことなんですかと、言わなくともいいことを、繰り返したくなるのです。自身が女性でありながらの「ミソジニー(Misogyny)」を主張する心持は、どういうものでしょうか。(mysoginy=dislike of, contempt for, or ingrained prejudice against women. she felt she was struggling against thinly disguised misogyn
)(google translate)(右写真「熊本県の地震に関して記者団の取材に応じる高市首相=29日午前、首相官邸」下掲・東京新聞)

「首相、地震早期復旧へ対応指示 被災地にプッシュ型支援 政府は29日、熊本県で最大震度7を観測した地震を受け、救助活動に全力を挙げると同時に、早期復旧に向け被災地支援を強化した。高市早苗首相は同日午後に開いた第2回の非常災害対策本部会議で、被災自治体への普通交付税の繰り上げ交付を迅速に実施するよう対応を指示。地元の要請を待たない「プッシュ型支援」を進める考えを示した。/ 対策本部会議では、救助活動や被災地支援の対応を協議した。首相は被災者に車中泊が多い状況を踏まえ「ガソリンの供給に万全を期す」と述べた。2016年の熊本地震ではエコノミークラス症候群の発症者が相次いでおり、保健師の巡回などを継続する重要性を訴えた」(東京新聞・2026/07/29)
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