なぜ戦争をしたがる(煽る)のか

 当地の午前6時の気温は-2℃。さすがに身に堪える寒さでした。幸いに陽射しも強く、予報では最高気温は13℃(午後2時)とありました。年を取ったから寒さが身に染みるのではなく、気分的にも身中から元気が出て来るような気づかいがまったくないからでしょう。ものみな騰がるのに、政府はそれをいいことに「インフレ増税(“Inflation is taxation without legislation)」:Milton Friedman、1912年7月31日 – 2006年11月16日)」を決め込んでいる。言うに事欠いて、積極的経済対策だと、さ。物価の異常高騰に焦点を当てた「経済対策」という政治は不在て、まるで子どもにお小遣いを、気が向いたからやろうではないかという、まことに実のない親の仕草で、「お米券」を配るだの配らないだのと、誠実さの籠(こも)らないこと夥(おびただ)しい。

 物価高に賃金上昇が追い付かない現状放置は、この国の近未来を灰色と黒色の雲で覆ってしまっています。T 政権発足以来、中身は空っぽでも、その空虚さや軽薄さこそ、大いに結構とばかりに、無責任な大衆は根拠ナシの高い支持率を示しているのは、中身はともかく、上がるものは何でも上がれ、「タカイチ」というような、愚にもつかぬ粉飾政治がバカ受けしているだけです。もちろん、間もなく「化けの皮」は剥がされます。無論、最初から「馬脚」(鹿足)は誰にも見抜かれていたのは言うまでもありません。(ヘッダー写真は「政治プレミア」:田中均「『台湾有事』と軽々に言うなかれ 日本は壊滅的打撃を受ける」:https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20240611/pol/00m/010/021000c

 まだ国会の開かれていない段階(日米会談冒頭で米大統領発言で明らかに・2025/10/28)であったにもかかわらず、(未審議の)当年度補正予算を手当てして「軍事物資の大量爆買い」をアメリカに約束。その大半を「赤字国債」で賄うというのですから、これはもはや政治でも政治家の仕事でもなく、まさしく「火事場泥棒」と言うべきです。「1 火事場のどさくさに紛れて盗みを働く者。火事どろ。2 ごたごたにつけこんで不正な利益を得ること。また、その人。火事どろ」(デジタル大辞泉)この「武器爆買い」は「密約(secret agreement)」そのもの、独断専行で、看過できない、それこそ辞職ものであります。「台湾有事」は「日本有事」、だから戦闘は「お前に任せた」とアメリカに言われ、先ず大統領の足下に平伏している間に、軍事費の大幅増額を強いられた。今のままでいくと2027年度はGDP比2%を超える勢い(12兆円余の防衛費)。

 それにしても、いつも不思議に思うのだが、「戦争を煽る」「戦争をしたがる」面々は、いったいどこの国と一戦を交えるつもりだろうか。ぼくはあまりにも空気が読めないで、「仮想敵国」なるものが想い浮かばないのです。まさか「旧連合国軍」との再戦・復讐戦を狙っているのでしょうか。

 数年後の防衛予算20兆円とは、身に余る武装国と、他国に映るだろうと思うのは、ぼくの節穴同然の目だけではないでしょう。昨日の長期金利(10年債)の流通利回りは1.95%に上昇(債券価格は下落)。(対ドル為替では)円は155円台を超えている。株高(5万円超)、物価高、金利高、大幅円安。加えて大量の赤字国債の発行とくれば、ハイパーインフレになるのは避けられません。物価高騰を続ければ消費税は増税となるから、現状を放置するだけという稀に見る政治無策です。都合の悪いことは市場に任せるとか。悪政の典型であった「アベノミックス」の惰性的継続を看板にしているのですから、経済政策もまた不在であることは猫にも見透かされている。(左は東京新聞・2022年9月19日 )

 所得増税、27年1月開始で検討 防衛財源確保へ政府・自民が方針 政府・自民党は5日、防衛力強化のための増税のうち、実施時期の決定を先送りしていた所得税について2027年1月から引き上げる方向で検討に入った。高市早苗首相が意欲を示している防衛力強化の裏付けとなる安定財源の確保が必要だと判断した。ただ、連立を組む日本維新の会は野党時代に増税に反対していたほか、他の野党の賛同も見通せていない。
 自民は同日、税制調査会の会合で防衛増税について議論。27年1月からの所得税増税に異論は出なかった。小野寺五典税調会長は会合後、記者団に「防衛力整備の裏付けもしっかりやるべきだという声が多い」と述べた。
 所得税は防衛費に充てる増税分として、新たに1%を付加する。同時に東日本大震災の復興財源として課している「復興特別所得税」の税率を1%引き下げるため、当面は実質的な負担は増えない。ただ、復興特別所得税の課税期間を当初終了予定だった37年から延長するため、長期的には負担増となる見込み。
 防衛増税を巡っては、政府が22年末に閣議決定した税制改正大綱で「27年度に向けて複数年かけて段階的に実施する」と明記。所得税、法人税、たばこ税を増税し、27年度の時点で1兆円強を確保するとした。法人税とたばこ税は来年4月の増税を決めたが、所得税は与野党とも慎重論が根強く、24年まで3年連続で実施時期の決定を見送っていた。
 一方、立憲民主党の野田佳彦代表は5日の記者会見で「(復興特別所得税を充てるやり方は)一種の流用。きわめて疑義がある」と批判した。(北海道新聞・2025/12/95)

 まるで夢の中の話に思えるが、対中戦争、およそ4割が容認と言う共同通信の調査が報道されているが、おそらく「どこの国との戦い」であろうと、自分たちには関係ないとでも思っている人々の反応でしょう。このような好戦的姿勢の結果が出たところで、まるでゲーム感覚でミサイルをどこかに打ち込めばいいという程度の、およそ真面目に政治に向き合う気のない回答者の答えた結果だと思う。こんな結果(根拠不明)の数値を出して、喜んでいるのでしょうか。このような「危機的状況」に対して、何よりもメディアはまた、旗振りを買って出、もろ手を挙げて賛成(参戦)の勢いです。「戦時」を煽って部数を伸ばした新聞各紙は「夢よもう一度」と、狂言を吐いているのです。もっと批判を、権力批判をと叫ぶ声がないわけでもありませんが、多勢に無勢。すでに「大政翼賛会」は出来上がっているのであって、多くのメディアもまた「翼賛メンバーの席」を占めている。まるでヴァーチャル世界の住人による「台湾有事」であり「日本有事」です。「令和浮草」を地で行っている。

 日本人は極めて「好戦的」と聞いて、ぼくには、いささかの感慨も湧かない。願うことは戦わずして負けるような戦争が起こるであろうことです。東洋の小島をまともに相手にする国々が、果たしてあるのでしょうか。首相が逆上(のぼ)せれば、諫めるのが側近、支持者なのにも関わらず、われ先に興奮しているのですから、笑うしかないですね。右の「ニッポン見聞考」の西村カリンさん(日刊ゲンダイ・2025/11/27 )。長く日本に在住して、日本政治・日本社会の「蛸壺」現象を辛辣に批判しておられる。こんな記者(ジャーナリスト)が日本の新聞企業の記者に皆無であるのは、なぜでしょうか。企業に入ると同時に、企業社会の文化、それも悪しき「上目遣い文化」に純化(順化・馴化)され尽くしたからでしょう。そのような「場の空気」を徹底して読む(飲む)という「回遊魚的カルチャー」は、おそらく、日本の多くの大学教育の「企業教育の一環」として徹底されてきたからではないかと、ぼくは考えています。骨組みにガタが来ている「日本株式会社」、屋台骨もなにもが老朽化しているのに、それを建て替えるだけの余裕も才覚もなくなっているようです。

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dogen3

▶この国には「政治」はなく、「政局」ばかり。議会制民主主義の筋をいうなら、現に政権交替がなされて当然の事態にあるとみられるが、弱小を含めた各政党は頽廃の現実を大肯定、かつ心底からの保守頑迷固陋主義派。大同団結といかぬのは「党利党略」が何よりの根本義だとされる故。何が悲しくて「政治」を志し、「政治家」を名乗るかよ。世界の笑いものになるのではない、定見のない「八方美人」には、誰も振り向かないという事実に気がつかないのだ。(2025/04/02)