「どこで生きるか」は誰が決めるのか

【日報抄】さながら指名手配だ。外来昆虫のクビアカツヤカミキリを見つけたら地元自治体に情報提供を、と県が呼びかけ始めた。ウメ、モモ、サクラに寄生して枯れさせるというから、春の景色を一変させかねない▼いまのところ20を超える都府県で生息が確認されている。隣県まで迫ってきた本県は気が気でない。農業被害が心配される。名前の通り光沢があって首が赤い。そして長距離移動を得意とする▼ヒッチハイカーとの異名があり、車にくっついて移動するらしい。駆除に手を焼く奈良県のサクラの名所からは「外敵がおらず繁殖力が強い」とも聞こえてくる。この体長4センチ足らずの厄介者といかに向き合うべきか▼埼玉県内では今年、1匹当たり100円で住民に駆除を促したところ、1カ月半で7万匹が持ち込まれたという。ぞっとする数だ。群馬県内では、現金でなく地域通貨を渡す自治体もある。報奨金の話題性は、危機を周知する上でも効果がありそうだ▼環境省によると、食い荒らされてしまった木は枯れていなくても、まん延阻止や倒木の未然防止のため伐採しなければならないこともあるという。虫だけでなく、夏の異常高温といい台風の頻発といい、樹木にとっては受難の時代だ▼通勤途中にあるサクラの並木は落葉の季節を迎えている。来たる春に咲き誇るためのひた向きな支度を見る思いがする。しかし、自然界の変化に戸惑っているであろう昨今を思うと、違う見方もできそうだ。落ちる葉は、涙なのかもしれない。(新潟日報・2026/10/29)

 「外敵侵入」の報道で、日本劣島(の一部)では大変な騒動になっているように思われます。まさに「臨戦態勢」が敷かれているかと思いきや、騒いでいるのはごく一部の自治体だけ、そんなちぐはぐさもぼくには感じられます。日本固有の在来種(人間)以外の「移住」」「定住」は許さないという「防衛本能」が、現下のこの国に蔓延し横溢しているようにも見えます。国防体制の強化は、現内閣の至上命題ですから、さぞかし、物々しい作戦(戦術・戦略)が立てられているのかと思うほどには、実際的に効果のある施策・対策は取られていないに等しい。あらゆることに「頭隠して尻隠さず(Hiding your head but not your tail)」という間抜けさが表れているようですね。

 (ヘッダー写真<「外来種」はなぜやって来た? 脅かされる日本の生態系」>)(https://ohtabookstand.com/2022/12/zukai-22-seibututayousei-04/)

 「見つけたらすぐ!迷わず!踏み潰して!!報告!!」と、おぞましいほどに殺気立った「呼びかけ」ではないでしょうか。すでに「外敵侵入」を許した自治体では、あの手この手の「駆除作戦」が実施されています。「懸賞金」をつけるど、まるで凶悪殺人犯の全国指名手配並み。「埼玉県内では今年、1匹当たり100円で住民に駆除を促したところ、1カ月半で7万匹が持ち込まれたという。ぞっとする数だ。群馬県内では、現金でなく地域通貨を渡す自治体もある。報奨金の話題性は、危機を周知する上でも効果がありそうだ」(「日報抄」)、とさ。

 今では「クマ出没」は通年のものになりました。すでにいくらかの自治体では本年も「緊急猟銃」なる殺戮作戦が実施され始めました。この極東の小さな島国は、野生動物や昆虫には、ある意味では天国なのかもしれません。気候は温暖、適度に雨も降る(近年はそうでもなさそうですが)。在来種植物の楽天地は、同時に海外渡来野生生物・植物にも定住しやすい環境だということでしょう。

 この「クビアカツヤカミキリ」が本土に侵入したというニュースも、あるいは千葉県に侵襲しはじめたという報道もぼくは知っていました。そのうち、拙宅方面にもやって来るに違いないと準備をしているわけでもありませんが、今のところ、かなり目立つ「クビアカ」が桜の木を食い潰しているように見えません。あるいは、ぼくが見落としているのかもしれないし、近所では、多くの方がすでに「侵襲」に苦慮しているのかもわかりません。役場に状況を確認する予定ではありますが、HPをざっとみても、それらしい広報がなされていそうにありません。

 このような「特定外来生物」に対処するための法律もあります。「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(平成十六年制定)によると「第一条(目的)この法律は、特定外来生物の飼養、栽培、保管又は運搬(以下「飼養等」という。)、輸入その他の取扱いを規制するとともに、国等による特定外来生物の防除等の措置を講ずることにより、特定外来生物による生態系等に係る被害を防止し、もって生物の多様性の確保、人の生命及び身体の保護並びに農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、国民生活の安定向上に資することを目的とする」とあります。いささか大仰な(exaggerated)、という気がしないでもありません・

 要するに、在来種を守るための措置を講ずることが目的となっているようで、「在来種優先」主義であるといえるでしょう。しかるに、一概に「外来種」はダメと言えないのは、早い段階からこの国(土地)に自生していたもの以外は、すべて「外来種」で埋め尽くされてきた歴史があるからです。その昔は「舶来品」「唐来物」と、異国からの生き物や商品が大いに尊重されてきたこともまた事実です。今日、多くの国々で「移民政策」にかなりの制限を加えている状況が見えるのも、まるで「特定外来種」の入国(不法侵入)は禁止するといわぬばかりの時代遅れ感がするように、かかる「特定外来生物」の侵入を、無条件に防御するというのも、あるいは不可能かもしれないし、他にさらに有効な受け入れ方があるようにもぼくには思われます。

 拙宅には「アライグマ」も来ましたし、「セイタカアワダチソウ」とはただ今格闘中です。時々ネコが捕まえてくるものにも、これまでにあまり見たこともないような生き物(ウシガエル?)が混じっていそうで、それなりに注意はしているところ。どんなに「防除」「防疫」「駆除」を厳しくしても、これだけの「人・物」の内外交流が盛んな時代には、それは不可能かもしれませんし、気が付いたら、あっという間に全国に蔓延中ということにもなりかねません。

 植物にも昆虫にも、あるいは動物にも人間にも、それぞれに生きるに適した環境が必要でしょうし、その環境に馴染むように自らを変容させて、いつしか環境に適応することにもなるのです。「共生社会(symbiotic society)」とか「文化多元主義(cultural pluralism)」などと、標語としては軽々しく使われていても、その実はお寒い限りであるのも事実でしょう。「男女共同参画社会(A society with gender equali)」だと、お題目ばかりが唱えられて、実質的な「男尊女卑」の悪弊・悪習が牢固として生き残っているのがこの国の現実です。

 いかなる生き物も「日本固有(それがある・いるとして)のものに限る」という発想自体が、「日本固有」そのものを殺すことになるに違いありません。

 この問題に関して、拙論・愚論はいくらでも展開できそうですが、本日はここまでにしておきます。

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 ウメ守れ「クビアカ」捕殺作戦 越生町が10匹捕殺すると商品券交換 特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」による樹木の被害拡大を受け、関東三大梅林で知られる埼玉県越生町は1日から、10匹捕殺すると500円分の商品券をもらえる制度を実施する。担当者は「町の自慢のウメが危機にひんしている。積極的な捕殺にご協力を」と呼びかけている。/クビアカツヤカミキリはウメやサクラなどバラ科を中心とした樹木に寄生し、幼虫が内部を食べて枯らしてしまう。成虫の体長は約2・5~4センチ。全体的に光沢のある黒色で、首回りが赤い。1匹のメスが300~千個の卵を産む。2018年1月に特定外来生物に指定された。町では23年6月に侵入が確認され、特産果樹のウメなどに被害が広がっているという。(↷)

 今回の制度は「クビアカ捕殺奨励制度~見つけて!教えて!おごせクビアカつかまえ隊~」。町内在住者が対象。担当者は「捕まえた成虫をその場で殺して容器に入れ、町産業観光課の窓口へ持参して」と呼びかけている。まず窓口で事前登録し、専用のスタンプカードを受け取り、スタンプ10個(10匹分)で、町内の飲食店などで使える500円分の商品券に交換する。1人最大100匹(5千円分)まで。町は本年度予算として100万円(200人分想定)を用意。なくなり次第終了という。/町は今後、町内の学校にも「夏休みに親子で参加して」と呼びかける予定。(加藤木信夫)(東京新聞・2026/05/01)(ヘッダー写真も)

◎ クビアカツヤカミキリ= サクラ、ウメなどバラ科の樹木の内部を食い荒らして枯死させるカミキリムシ科の昆虫。原産は中国や朝鮮半島など東アジアで、環境省は2018年に特定外来生物に指定した。成虫は6~8月ごろに発生し、幹に産卵する。雌1匹で300~千個の卵を産むとされ、繁殖力が高い。国内に天敵はほぼいないとみられ、被害が拡大しやすい。(更新日:2026年6月29日)(「共同通信ニュース用語解説」)

 疑問!外来種問題はどの立場から取り組むべき?「外来生物法の目的は、「特定外来生物による生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止し、生物の多様性の確保、人の生命・身体の保護、農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、国民生活の安定向上に資すること」。これもまた人間中心ではないか。/在来種の保護のための駆除には一理ありますし、必ずしも悪いことではありません。それにより農家は助かり、生計を立てることができるでしょう。しかし、今生きている生き物たちに少しでも思いを馳せたことはあるのでしょうか」(「あらたにす」(2021/07/09)(https://allatanys.jp/blogs/13700/)

国内の確認状況について
令和8年8月現在、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、岡山県、徳島県、香川県の22都府県で発生が確認されています。(農林水産省)(令和8年8月19日更新)

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