
⁂「週のはじめに愚考する」(140)~ 「明日戦争がはじまる」という詩を書いたのは、2007年でした。ひとをひとと思わなくなってる、こころをこころと思わなくなってる、そんな普通が普通じゃなくなっていく「麻痺していく人間の怖さ」を、今にして思えば、書いたものでした。そして、いのちをいのちと思わなくなって、戦争がはじまる明日がくると――。/そんなおとぎ話のような詩が、ほんとうになるとは、正直自分でも思えませんでした。カボチャが馬車に変わることがないように。白い馬に乗って、王子様が現れることがないように――。/「原子力明るい未来のエネルギー」という標語を書いた男性が、ずっと心を痛められていたという話を聞きました。わたしは彼の気持ちがよくわかりました。わたしも自分の手が、こんな不幸な詩を書いてしまったことに、申し訳ない気持ちがありました。そして、おまえが煽っているとお叱りも受けました。」(「晴れときどき 宮尾節子」)

◎ 宮尾 節子(みやお せつこ)は、日本の詩人。高知県出身。埼玉県飯能市在住。(ブログ「晴れときどき 宮尾節子」:https://miyaono.exblog.jp/)

この詩人について、ぼくはほとんど知るところがありません。彼女のブログを、不定期に覗くだけです。以前から、気にはなっていたのが「明日戦争がはじまる」という、一編の詩でした。
「人のいのち」「生き物のいのち」、それの帰趨(きすう)・顛末(てんまつ)を、心ここにあらず、ぼくたちはまるで上の空のように、見逃しやり過ごす。つゆとも想いを及ぼさない。「心を心とは思わなくなった」、ぼくたちの日常のありようを、宮尾さんはあっけらかんと(ではないのでしょうが)、言葉にしておられる。明るい、快活な人だとお見受けしましたが、その深奥を覆っている暗さはいかほどかとも、ぼくは反射的に想像することもあります。
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