核ごみ処分地選定と学長選挙と

【いばらき春秋】本州から南南東約千キロ先の洋上に浮かぶ小笠原諸島。最近は海底に眠るレアアースに熱い視線が注がれるが、この島々を幕末、欧米列強から守ったのは常陸国(茨城)にゆかりのある2人の幕臣だ▼外国奉行・水野忠徳と「咸臨(かんりん)丸」艦長の小野友五郎。幕府は1861年、水野、小野らを咸臨丸で現地へ派遣。島には既に欧米人らが入植していたが、一行は住民らに「あなた方は日本国が責任を持って保護する」と約束。日本領を承諾させた▼小野は島々の海岸線などを測量し詳細な実測図を作成。後に小笠原の日本帰属を各国にのませる決め手とした。水野も巧みな外交交渉で互いに領有権を主張する英仏露を対立させ、最終的に日本領と認めさせた▼2人はともに旗本だが、水野の知行地は現在の鉾田市阿玉。水野は同地の開墾にも汗を流し、地元の寺には遺髪も納められる。小野は数学や測量の才を買われて幕府入りしたが、元々は笠間藩士で現在の笠間市出身だ▼核のごみの処分地選定に向けた文献調査が常陸大宮市で実施されることが決まった。調査は一足早く小笠原諸島・南鳥島でも始まっている▼茨城と小笠原-。はるか離れた一見無縁の両地だが、不思議な因縁があるのかもしれない。(敏)(茨城新聞・2026/10/01)

 〔高レベル放射性廃棄物(核のごみ)処分場選定を巡り、茨城県常陸大宮市の鈴木定幸市長は30日、第1段階となる文献調査を容認する意向を表明した。国内5カ所目で、本州での調査は初めて。断層や鉱物資源の有無を2年ほどかけて調べる。/30日、鈴木氏が同市で記者会見を開き「文献調査を受け入れ、市民を含めた議論の俎上(そじょう)に載せることで可能性を未来につなげられる」と表明した。「調査はスタートラインに立つ前のもの」とし、処分地選定に直結しないとの認識を強調した。/文献調査は処分地選定プロセスの第1段階。北海道寿都町・神恵内村、佐賀県玄海町、東京都小笠原村の南鳥島に続き5カ所目で、国の申し入れによる調査は南鳥島に続く2カ所目だ。受け入れた自治体には国から最大20億円が交付される〕(日経新聞・2026/09/30)

 今回で5番目の候補地となります。いろいろなからくりがある中での「候補地選予定地に挙手」となった次第。少なくとも「2年間の文献調査」で交付金が最大で20億円。いわば「捨て金」で経産省(政府)は、「アリバイ(やってる感)」を作り続けることができるのですから、安いものといえば安いんでしょうね。選定の第2段階での「ボーリング調査等」まで進めば、交付金は最大70億円。積算根拠は「ドンブリ勘定」ですね。第1段階に手を挙げたのは、現在までに5か所ですから、手付に10億円(最大)を「海に捨てた」も同然。

 こんな「税金の垂れ流し」は劣島の至る所にあります。沖縄の終わりなき辺野古基地建設(偽装)、青森六ケ所村の、これもまた際限のない建設にはまり込んでいる原子燃料サイクル施設(偽装)等々。要するに、これに原子力発電所の再稼働・リプレース等の問題をも含めれば、すべてが、際限のない「公共事業」となって、関係する事業体をひたすら潤わせており、その儲けの幾割かが政治家に入るという「金回し」サイクルとなっており、この「メリーゴーランド( merry-go-round))」「回転木馬」はいつまでも「夢(金)を載せて」回り続けることでしょう。最後にはどうなるか、関係者はすべて先刻承知なんですから、やり切れませんね。

 本気で、「核のゴミ」の最終処分(場)ができると、誰も考えていないところに、やりきれない「退廃(頽廃)」があります。「今さえ、金さえ、自分さえ」という刹那主義(ephemeralism)の横行は国家社会の危機・危殆をだれの目にも明らかに示しているのですが、誰もそれに異を唱えようとはしないというのは、残念ながら、ことの始末をどうにも付けられないことを知っているからでしょう。

◎ 核のごみの最終処分= 核燃料の再処理後に出る廃液をガラスと混ぜて固めた高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を、地表から300メートル以上深い岩盤に数万年以上埋め、処分すること。最終処分場となる埋設地の選定プロセスは、(1)地質図や学術論文から活断層や土地の浸食状況などを確認する文献調査(2ボーリングで地質を調べる概要調査(3地下施設を造る精密調査の3段階。文献調査は北海道の寿都すっつ町、神恵内かもえない村、佐賀県玄海町、東京都小笠原村が受け入れた。概要調査に進むには地元首長と知事の同意が必要で、これまでに進んだ自治体はない更新日:2026年9月30日(共同通信社 共同通信ニュース用語解説)

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 劣島で最初につくられた旧帝国大学(と、その後身大学)の「腐敗・堕落」もまた、覆いようのないものとして、学内外の具眼の士には鮮明になっているでしょう。だから、この「学長選挙」という愚挙について、ぼくは語る言葉を持っていません。どんな選挙規則があったのかも知りません。要は、選挙は得票数では決まらない、この人物に、と初めからか決まっていたとするなら、「選挙」「投票」は騙しだったと言うことになります。核のゴミの最終処分場の選定過程と「瓜二つ(Just like)」じゃないでしょうか。「核ごみ処分」と「東大学長」の二つを並べるのに異論が出そうでしょうが、ぼくには「ジャストライク」なんですね。「形あるものは壊れる」の例え通り、作られたものはきっと姿を消します。その消え方、消し方には違いがありそうに見えますが、何、同じですよ。(「核のゴミ」だけは消えない・消せない)だから、「堕ちろ」「壊れろ」です。いずれも、貴重な税金を無限に食いつぶす「穀潰し(parasite)」みたいなもの。もちろん、どちらも存在理由は必ずあるものですが、今はそれを失っているようにぼくには思われます。

 「新学長の下、旧弊に抗し新たな知を生む大学になれるだろうか」とコラム氏は期待をかける風を装っています。果たして、大学の内外の「惑乱」「錯乱」「紊乱」はさらに続くと思われます。

 (蛇足(redundancy) この大学にぼくはいささかの恨みも辛(つら)みも有していません。受験に失敗もしなければ、受験したいとも思わなかったし、この大学の卒業生には何人もの友人・知人(痴人)がいます。でも、この大学が日本の学校教育の頽廃に果たしてきた役割は過小評価さえされていないことを、ぼくは遺憾に思っているのです)

【筆洗】東大の女子学生はお断り。他大学の女子は歓迎-。東大の男子学生主導のそんなサークルが古くから多く存在した▼ジェンダー研究で有名な上野千鶴子・東大名誉教授も、学内にも性差別が横行していると指摘した7年前の東大入学式の祝辞で触れた。「私が学生だった半世紀前にもあったが、今日も続いているとは驚きです」▼男子が墨守したこの旧弊は一般に「東大女子は扱いにくく、東大ブランドに弱い他大学の女子の方がいいとの思考の表れ」とも分析される。今も存在するかは知らぬが、男子の多数は長年、問題と思わなかったらしい▼女性比率は学部生で2割、教授職で1割程度の東大で来春、藤垣裕子教授が初の女性学長になる。教職員らの投票では2位で、1位の人の約半数の票だったが、外部有識者も入った選考会議が面接などに基づき選んだ▼学内の投票結果を覆したことに異論もあるが、学外の視点も重んじる選考会議が2位以下を選ぶ例は他大学でも相次ぐ。付属病院汚職などで旧態依然の組織風土が問われた東大。藤垣氏は改革期の長に適任と判断されたらしい▼多様性が大学に必要なのは、新たな価値は異文化の摩擦で生まれるからで、既にある知ではなく、誰も見たことのない知を生むための知を身に付けよと上野氏は先の祝辞で唱えた。新学長の下、旧弊に抗し新たな知を生む大学になれるだろうか。(東京新聞・2026/10/01)

 東大次期学長の選出理由「分断越えるため」 議長、投票2位「能力を評価」 東京大学の次期学長に選出された総合文化研究科の藤垣裕子教授(64)は29日に記者会見し、東大には「学術の信頼に責任がある」として「日本と世界のアカデミックソサエティーの象徴としての役割を果たす」と抱負を語った。/藤井輝夫学長の任期満了に伴い、学長選考・監察会議によって28日に選出された。東大で女性が学長になるのは初めて。/選考会議の議長を務め、東京芸術大学理事で元NHKキャスターの国谷裕子氏は選出理由について「科学技術を社会に伝えるコミュニケーション力を生かし、学術への信頼を回復する強い意志と能力を備えている」と話した。/「幅広い国際的な経験をもとに、より開かれた大学に向けた変革を実現する十分な能力を持っている」と指摘。「壁を所与と考えない力、障壁を生む分断を乗り越える力を本学が持つために(藤垣氏の)知見と能力を評価した」と述べた。(日経新聞・2026/09/29)

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