うしろすがたのしぐれていくか(自嘲)

(声)認知症とともに 飼い猫で夫の笑顔と会話増える 主婦 杉山多(かず)子(千葉県 84)
 物忘れ、勘違いなどが目立つようになった夫は5年ほど前にMRI検査を受け、76歳で軽度のアルツハイマー病と診断されました。商社マンとして67歳まで働き、ゴルフや車、お酒を愛する前向きな夫がどうして……。ショックでした。
 ネットなどで調べ、効果がありそうな地中海料理や香辛料を毎日採り入れたり、パズルや数独も一緒にやったりしました。それでも症状は進み、運転もゴルフもやめ、行動範囲が狭くなりました。
 そんな中、弟夫婦のすすめで猫を飼うことに。「老人がペットなんて」とあきらめていましたが、今夏に一大決心。20年前に飼っていたころとは違い、戸惑うこともありますが、家の雰囲気が明るくなりました。夫は世話をする対象ができ、会話や笑いが増えました。前途は多難なのかもしれませんが、猫から元気をもらいつつ、この日常生活が少しでも長く続くよう願っています。(朝日新聞・2026/09/21)(連載「声」一覧:https://www.asahi.com/rensai/list.html?id=494&iref=pc_rensai_article_long_494_below_bn)

 本日は「敬老の日」だとか。あまり美しく思われていない「国民の祝日」ではないですか。このところ、メディアでも騒がれているのが「百歳以上、初めて十万人を超える」です。これはめでたいことなのか、めでたくないことなのか、多くの報道では「どちらとも、決めかねている」雰囲気が感じられます。何か言うと「後期高齢者医療制度」だの「社会保障費の増加」だのと、目くじらを立てて、といいたくなるような騒ぎぶりです。ぼくは、「本日で満八十二歳」です。だから余計に「敬老の日」が目障りになるのでしょう。この日が「敬老の日」だと、今この瞬間に気が付いた。迂闊だったのか、気づかなくともよかったのだろうか。認知機能の衰えはとっくに始まっています。

 高齢者と認知症 当地に越してきて間もなくのこと、血圧が相当に高いという自覚があって、近所のクリニックに行きました。担当医は、お決まりのように、一通りの検査をし、その結果を観ながら「高いですね、気を付けてください」といいながら、薬を処方してくれました。2週間おきぐらいに何度か通院しましたが、その際に、医者は親切心からだったと思うのですが、「あなたは、必ず認知症になります」と断言された。「どうしてか」などとは言わなかった。その言葉を聞いて、ぼくはクリニックを、直ちに出ました、もちろん診察代金は払って、です。以来、一度もそこにはいかなくなった。今から十年ほど前のことでした。

 これもどこかで触れましたが、昨年の夏だったと思う。拙宅に地域の「民生委員」と名乗る女性が来られた。用向きを尋ねると「役場から頼まれて、誰々さんの安否を確認してきてほしいといわれました」とのことだった。「誰々」とは小生のこと。その理由を訊くと「医療(健康保険)保険症を何年(一度も、だったか)も使っていないし、介護保険の申請も、一度もされていないので、もしや…」ということだった。わざわざ来ていただいたお礼を言いながら、お引き取りを願った。その後で、役場の担当者に電話をかけ、「医者にもかからず、介護保険の世話にもならないのは、健康(病気ではない)だということじゃないですか。ぼくは生きています。税金も納めているし」と。あなた方にはもっとやるべきことや、やるべき方法があるでしょとも言って、電話を切った。年齢を重ねれば、病気にもなる、あるいは、認知機能も衰えるはず、その両方が確認できないのだから「亡くなったのか」という、その浅慮・薄情な役場仕事に、ぼくは腹が立ちました。後日、他の用事で役場に行ったついでに、「健康・福祉」に対して、仕事に強い責任意識をお持ちのことは疑わないが、役場の吏員として、もう少し状況認識を改められたらどうですかと伝えたことがありました。 

 こんなことを言う人間(年寄り)は「認知症」であるといわれるのかもしれません。「認知症、上等!」といいたいくらいのものです。物忘れや、ちょっとしたことで骨折し、あるいは病気になる。そんなのは誰にも当たり前に生じます。もちろん「認知症」にも。多かれ少なかれ、人は年齢とともに衰える存在ですから、必要以上に大騒ぎをすること自体が問題だという気もします。かみさんは、現在、87歳目前。ある種の(短期)記憶保持力の減退が著しい。ぼくの実感では、認知機能全体を100とすれば、たぶん1か2段階で支障がありそう。それでも車の運転は止めていない。とても心配になるものの、まあ、今少しと、それこそ彼女の「楽しみの一つ」を奪うことができないでいます。彼女の「一面の老衰・老化」は、ぼくにとっての「鏡」にもなっている。もちろん、何歳になっても「心身ともに健全」という人も、稀なことでしょうが、居られます。

 しかし、最近、ある作家の最晩年の記録を読んで、ぼくはある種の恐怖を抱きました。「九十歳。何が目出たい」と、意気軒高を誇っていたと思われる作家の示した「最上級(最悪)の認知症」ぶりを実の娘さんが書かれていました。「それ(「くそババアの部分」)も含めて、「佐藤愛子」だという事実を著者は明確にしているのです。自宅で介護はもう無理と、施設へ入所させたのが、あるいは間違いのもとだったか。若いくして自分のことを自分でする、そんな生活を徹底して生きてきた作家には、「介護」生活は、あるいは地獄だったのかもしれません。想像を絶する、「反骨ぶり」を示して、110番や119番のお世話にもなったといいます。「まとも」とか「まともではない」という基準は、どこにあるのでしょうか。

 表題句は山頭火の作。この句に山頭火は「自嘲」と添え書きする。昭和6年末のことです(「行乞記」所収)。誰だって、自分の後姿(うしろすがた)を見ることはできません。他人ばかりが、それを見ては、とやかく言うのが世間でしょうか。だから山頭火氏は「本人には見えない背中(後姿)を見て、世の中はとやかく言うが、詮無いことよ」と、自嘲するほかなかったという次第です。「認知症」という一人の人間の「うしろすがた」もまた、自覚も意識も働かない、自分では責任を持てない部分なんでしょうね。そんな一人の人間の後姿に、先ほどから、姿そのものが消えるばかりに時雨(しぐれ)は降り注いでいる。

◎ 種田山頭火(たねださんとうか)(1882―1940)= 俳人。山口県防府(ほうふ)町(現防府市)に生まれる。本名正一(しょういち)。幼時の母の自殺が山頭火の生涯に大きな衝撃を与えた。1902年(明治35)早稲田(わせだ)大学文科に入学したが、神経衰弱で退学して帰郷。父と酒造業を営むが失敗し、家は破産。山頭火は熊本市で額縁店を開くが、家業に身が入らず妻子と別れ上京。しかし、定職を得ず、熊本に帰る。酒におぼれ生活が乱れた。1924年(大正13)市内の報恩寺で出家。法名耕畝(こうほ)。市北部の植木町味取(うえきまちみとり)の味取観音の堂守となった。1926年、行乞(ぎょうこつ)の旅を始め、山口県小郡(おごおり)(現山口市)の其中庵(ごちゅうあん)に住したが、行乞漂泊すること多く、諸国を巡り、1940年(昭和15)松山市の一草庵(いっそうあん)で没した。句は1913年から『層雲』に投句。漂泊中の作に特色がある。句集『草木塔』(1940)がある。(日本大百科全書(ニッポニカ))

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◎ 敬老の日(けいろうのひ)= 9月の第3月曜日。「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」日。1966年(昭和41)「国民の祝日に関する法律」の改正により建国記念の日、体育の日(2020年(令和2)に「スポーツの日」と改称)とともに追加制定された国民の祝日である。/もとは聖徳太子が四天王寺に悲田院(ひでんいん)を設立したと伝えられる日にちなんで、1951年からとしよりの日、1964年から老人の日とよばれ、敬老行事が行われてきた。2001年(平成13)の改正により、9月15日であった敬老の日は2003年から9月の第3月曜日に変更された。また、老人福祉法の改正により、2002年から9月15日を老人の日、同日から21日までが老人週間と定められた。(日本大百科全書(ニッポニカ))

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「徒然に日乗」(1221~1227)


◎2026/09/20(日)台風25号の接近により、終日降雨が間断なくなく続いている。時に強く、時に弱く。最接近は明晩のようで、何んとか房総半島への直撃は避けられそうで、ぎりぎりで逸れてゆくような塩梅。72時間の雨量が450㍉と想定されている。8月お盆前の集中的豪雨と同じような凄さだ。なんとか、事なきを得ることだけを願っている。▼24日に米国で予定されている米中首脳会談。主題の一つに「AI暴走問題」があるといわれているが、議論されるのだろうか。両国の比較では、AI開発領域でも、いくらかの分野では中国が優位にあるともいわれている。その内容や議論の道筋の詳細が明かされることを願っている。その直前に日米会談も予定いされている。はたして、日本が米国の言い値で交渉に載ったとぼくなどは見ているが、ますます米国産武器購入のムダ金が、この国を疲弊させることになるだろう。(1227)

◎2026/09/19(土)「日経平均65,018.95 +882.70 NYダウ51,682.64 -95.40 ドル円156.86-88 +1.18円安 NY原油99.53 -2.38 長期金利2.985 -0.005」(日経新聞・2026/09/18)あの手この手を尽くしても、肝心の政府が「責任ある積極財政」の性悪看板を下ろさない限り、この流れは変わらない。米国の干渉に従うのか、孫結果、財政破綻を突き付けられるのか、どちらにしても「内閣は崩壊」し、日本経済は無残なことになるだろう。▼「大型の台風25号は、今日19日正午現在、小笠原諸島父島の西約270キロにあって、ゆっくりとした速さで西北西へ進んでいます。中心付近の気圧は975ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は30メートル、最大瞬間風速は45メートルで、中心から半径110キロ以内では風速25メートル以上の暴風となっています。また、中心の北東側には半径750キロに渡って強風域が広がっています。/台風は、小笠原諸島から遠ざかりつつありますが、今後はやや勢力を強めながら「強い台風」となって暴風域を伴ったまま北上する見込みです。明日20日から21日(月・敬老の日)にかけて、伊豆諸島から関東に接近する可能性が高まっています」(気象庁・2026/09/19/15:39)(1226)

◎2026/09/18(金)午前中に、雨も降らなかったので、敷地周りと庭の除草を少しばかりやってみた。一時間もしないうちに小雨が落ちてきた。刈り払機と手作業で、ていねいにすれば、きれいに仕上がるので、すこし時間をかけても、ゆっくりと進めてみようと思っている。▼「日経平均65,018.95 +882.70 NYダウ51,778.04 +316.14 ドル円157.89-91 +2.21円安 NY原油101.43 -0.48 長期金利2.985 -0.005」(日経新聞・2026/09/18)▼内閣改造で騒いでいるが、いささかも効果がないのは、マーケットに見限られているということだろう。「責任ある積極的財政」運営をさらにしっかり進めるという宣言が、円安を生んでいるのだが、その円安が物価高をもたらし、それがインフレ増税(24年度は9兆数千億円という消費増税分)という悪結果になるのだが、それが政府の無策の策なのだ。間違いなく、首相は「円安」「インフレ」というものの正体に関しては全くの道だということが明らかだ。側用人の悪い助言を真に受けているようだ。(1225)

◎2026/09/17(木)「日経平均64,136.25 +213.25 NYダウ51,461.90 -631.21 ドル円155.83-84 +0.86円安 NY原油100.70 -1.73 長期金利2.990 -0.005」(日経新聞・2026/09/17)▼台風25号発生。今の段階では正確に進路を言い当てられないが、いずれは劣島に接近するのだろう。本日もはっきりしない天気だった。(1224)

◎2026/09/16(水)「日経平均63,923.00 +438.90 NYダウ52,093.11 -328.09 ドル円155.05-07 +0.17円安 NY原油103.58 -2.25 長期金利2.995 -0.035」(日経新聞・2026/09/16)▼ここまで来たかという、啞然とするばかりの報道。「教員の個人スマホ禁止広がる…相次ぐ児童の盗撮被害受け 埼玉県内30超の自治体がガイドライン策定 「盗撮防止をより徹底」とする一方「緊急通報の手段が必要」の声上がる 公用端末の導入を決める自治体も 相次ぐ教員による盗撮被害から児童生徒を守るため、盗撮防止ガイドラインを策定し、教職員が個人で所有するスマートフォン(個人スマホ)の持ち込みを禁止する動きが広がっている。一方で、不審者の侵入や突然の心停止といった緊急時に備え、連絡手段の確保を求める声も。埼玉県内の教育現場の対応状況を探った。■盗撮防止の徹底 近年、教員によるスマホでの盗撮事件が相次いだことから、文部科学省は昨年7月に服務規律確保の徹底を求める通知を発出。教室やトイレ、更衣室の定期的な点検や、私的な端末で児童生徒を撮影しないことなどの徹底を求めた。(以下略)」(埼玉新聞・2026/09/16)(https://www.saitama-np.co.jp/articles/215009/postDetail)▼「先生たちよ、何をしてるんですか?」(1223)

◎2026/09/15(火)「日経平均63,484.10 -8.89 NYダウ52,421.20 -152.09 ドル円154.80-82 +0.41円安 NY原油102.40 +1.01 長期金利3.035 +0.050」(日経新聞・2026/09/15)「日本の投げ売りがさらに勢いを増したかのように、長期金利が上昇。米国の国債も投げ売りが続いている。両国の金融財政危機は軌を一にしているのだから、両国初の「金融危機」が勢いを増すのだろう。中東戦争に拡大している「石油危機」をこの日本はどうしのげるのか。「日銀の利上げ加速、長期金利上昇が火種に インフレ制御の信認試す 日銀が利上げの加速で長期金利にどのような影響が及ぶか神経をとがらせている。物価の上振れリスクが抑えられれば長期金利の安定につながるとの主張が日銀内で出る一方、市場では利上げのゴールが従来の想定より高まっていることが長期金利の上昇を誘っているとの見方もある。/原油高や財政不安など複合的な要因で長期金利が上がるなか、日銀が適切な利上げでインフレを抑えられるという信認を保てるかが問われている」(同前)▼沖縄知事選で、オール与党候補が圧勝した、その結果は、この国の未来にどう影響するか。▼雨が降るでもないのに、湿度の高い一日。太平洋上には「台風25号」が発生。この後の進路が気遣われる。▼明朝の「瓶・缶回収」に備えての準備。前回はペットボトルの回収準備作業を中止したので、今回はその分も含めて、かなりの時間がかかった。(1222)

◎2026/09/14(月)午前中、敷地東側空き地の除草。雨天続きで、しばらく実行できなかった燃えるゴミの焼却。外に出た途端に強い日差しが注いできたので、中途で作業を中断。またも言うことだが、体力の著しい衰えを痛感する次第。▼「日経平均63,492.99 -518.35 NYダウ52,573.29 +509.19 ドル円154.63-64 +0.42円安 NY原油102.41 +2.36 長期金利2.995 +0.010」(日経新聞・2026/09/14)▼沖縄県知事に前那覇副市長の古謝元太氏が当選。総与党の支援を受けての選挙戦だったから、沖縄県政ではなく、国政が沖縄を統治するという構図がさらに進むだろう。米軍や米政府との関係も、これまでとは異なった複雑な構図を描くことになろだろう。沖縄は永劫に「生贄」「人身御供」になるのだろうか。(1221)

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