「災難なら畳の上でも死ぬ」との諦念

<あのころ> 第2室戸台風襲来 近畿中心に全国で大被害 1961(昭和36)年9月16日、第2室戸台風の襲来で近畿地方を中心に全国で大被害。室戸岬で最大瞬間風速84.5m以上の強風で、家屋倒壊や高潮による被害が続出した。死者・行方不明者202人、被災家屋は88万戸に上り、農作物被害は538億円。34年の室戸台風と進路が似ていた。写真は水浸しの大阪市内。(共同通信・2022/09/16)

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 この「室戸台風」の2年前、1959年9月26日には伊勢湾台風が京都方面を急襲し、未曾有の災害をもたらしたことは先(別稿)に触れた通り。物心がついて初めての「自然災害」の恐怖をぼくは味わったが、いくらもしないうちに、この「第2室戸台風」が劣島各地を激しく襲った。この「台風」襲来の記憶も、鮮やかにぼくには残っています。いずれも京都にいた時分でした。この二つの台風による洗礼によって、ぼくには「自然災害」に対してはある種の「諦念(諦観)(resignation・tolerance)」のようなものが生まれたといってもいいでしょう。ぼくは中学生だった。

 京都に住んでいたころには、地震というものの怖さを身をもって実感したことはなかった。むしろ、「台風」への脅威が腹の底に居座りました。第2室戸台風の2年後に、ぼくは東京に移り住んだ。移住して一番恐れたのが地震でした。東京というか関東地域では頻繁に地震が発生していたからでした。地震と台風。この二つは「手に負えない」という「諦念」、あきらめというのではなく、無駄な抵抗はよせという、災難を避ける知恵や覚悟を持ちたいと思うようになりました。(ヘッダー写真と以下の写真は、いずれも徳島新聞「防災の日特集」2021/09/01 から)

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 「世上物騒我が身息災」という物言いがあります。世間では天変地異などと言い囃(はや)して、何かと大騒ぎをしているけれど、それには無関係にわが身が無事なら、それで結構というのでしょうか。さらに言うと、何が起ころうが、そんなことは知ったことか、わが身さえ安全なら、それでいうことなし。「自分勝手」「罰当たり」の見本のような様や人を言う。大きく言うと「一国平和主義」なども、それに類するでしょう。地球上のどこで何が起ころうと、自国さえ平和ならと、まさに「自国至上主義」の不遜・不徳を非難する表現とも言えます。その反対に「相身互い」という。「《「相身互い身」の略》同じ境遇にある者どうしが同情し、助け合うこと。また、その間柄」(デジタル大辞泉)という、人間関係(思い遣り)の深さをいいあてることもあります。今では、驚くほど意識の上では狭くなった世界です。この互助の精神が、だれ言うとなく広がっているともいえそうだし、もっと拡大するといい、とぼくは心底願っています。

 今朝から、小止みなく雨が降っています。ただ今午前7時ころです。また太平洋上には「台風25号(の卵)」が発生しつつあります(風速18メートル以上を台風というらしい)。このところ、劣島各地では、台風のない、風の伴わない「線状降水帯」という新たな脅威で、未曾有の災害に痛めつけられています。一週間の間も置かないで、連日各地で災害の発生が報じられ、悲しいことに犠牲者の不幸・不運が報道されます。当地も、隣町の大網白里市や千葉市などでも多数の被害が出ています。強風のない分、それだけ助かる、とも言えない惨(むご)たらしい豪雨の連続攻撃です。これに台風や地震が同時発生したらどうなるのか、どうなるものでもないという「諦念」がぼくの中から頭を擡(もた)げます。

 「命あっての物種」とはよく言ったもの。「何事も命あってできることで、死んでは何にもならない」(デジタル大辞泉)というのは生命(人生)の大肯定でしょうか。自ら死を願うことは無論のこと、縁あって与えられた生命(人生)をこそ、ぼくたちは続けられるまで続ける、という暗黙の「約束」(道徳)があるように思うのです。「誰かと約束」した覚えなどあるもんかといいたい人もいるでしょう。では、「死んで花実が咲くものか」と、いったい誰が言うのでしょうか。「人生」(というもの)の側から問われてるんじゃないですか。「その生き方で、花実は咲くのですか?」って。

 「生きていてこそいい時もあるので、死んでしまえば、万事おしまいである。死んで花実が生(な)るものか」(同前)ぼくは、あまりこのような表現は好きではありません。でも、「私は生まれた(I was born.)」以上は、生きることに意識も力も注ぐのは間違いではないでしょう。自分は生まれたくて生まれたのではなく、「生まれさせられた」のだから、そこには何か意味(願い・使命)があるのかもしれません。それを探すことが「生きること」だといえないでしょうか。自然と人間の合作(共犯)である今日の「自然災害」に、足元を掬(すく)われることもなく、注意深く生き延びるのは、ある意味では至難のことかもしれないし、そこで助かる命なら、なおさらに、「このいのちを生かして、何かをする」値打ちがあるように、ぼくは考えたり感じたりしてきました。(右写真は吉野弘さん・1926~2014)

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 9月16日(水)3時現在、マリアナ諸島で発達中の熱帯低気圧について、気象庁は「12時間以内に台風に発達する見込み」と発表しています。次に発生すると今月2つ目の台風発生で、「台風25号」と呼ばれることになります。

18日(金)から19日(土)にかけて小笠原諸島へ近づき、その後はシルバーウィークの5連休にかけて本州方面へ北上する可能性があります。最新情報をこまめに確認するようにしてください。

▼熱帯低気圧a 9月16日(水)3時
 中心位置   マリアナ諸島
 移動     西北西 15 km/h
 中心気圧   1000 hPa
 最大風速   15 m/s
 最大瞬間風速 23 m/s

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