【新生面】世界の隅っこで… 今思えば、間近に迫っていた危機に立ち向かう、国際社会への明確なメッセージの二重唱だった。今年6月、オランダ・アムステルダムの王宮で開かれた晩さん会でのあいさつである▼ウィレムアレクサンダー国王は「国際法秩序が深刻な圧力にさらされている」と前置きした上で、日本とオランダが「パートナー諸国と肩を並べ、民主主義と法の支配を守り抜くという深い責任を共有している」と呼びかけた。対して天皇陛下も英語のスピーチでこう返された。「オランダが法の支配に基づく国際秩序の推進に取り組んでいることに、敬意を表する」▼国際刑事裁判所(ICC)はオランダに本部を置いている。この晩さん会にゲストとして同席し、メッセージを心強く受け止めただろう赤根智子所長が、ついに米国のトランプ政権から制裁対象に指定された▼赤根氏は21日に文芸春秋を通じて発表したコメントで、「重要なのは、これを国際的な『法の支配』の終焉[しゅうえん]の始まりとさせないこと。日本と日本の皆さまの支援が重要な鍵となるだろう」と訴えた▼オランダはじめ欧州各国は相次ぎ、制裁への批判と、赤根氏とICCへの支持を強く打ち出している。一方で、高市早苗首相は「大変残念」と表明するにとどまった▼法の支配の価値観を共有しているはずの「パートナー諸国」とは対照的な、この及び腰のメッセージはいったい何を伝えているのか。高市氏が掲げてきた「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」は、世界の隅っこで身をすくめている。(熊本日日新聞・2-26/08/23)
【小社会】
戦争犯罪を裁く国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長が2年前、加盟国向けに行った演説にこんな言葉を織り込んだ。「どうか月を見てください。月をさし示す指ではなく」
仏教の教えに由来する言葉だという。辞典では「月を指せば指を認む」。細部にこだわって、本質を理解しようとしないことの例えになる。
その少し前、ICCはパレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡り、イスラエルのネタニヤフ首相らに飢餓を用いた戦争犯罪と、殺人や迫害など人道に対する罪の疑いで逮捕状を出していた。逮捕状を出したICCは指であり、戦争犯罪という月に目を向けてほしい―。
イスラエルと親密な関係にある米国では、トランプ氏が大統領就任を控えていた。ICCに対する厳しい制裁の発動が現実味を帯び、各国に行動を促す必要があった。赤根さんは著書「戦争犯罪と闘う」で危機的状況だった、と語る。
果たして米国による制裁はやまず、とうとう赤根さん自身が標的にされた。組織への制裁も取り沙汰されるが、赤根さんは法にのっとって粛々と活動を続ける。力による支配へ逆戻りしないために。
赤根さんはこうコメントしている。「重要なのは、これを国際的な『法の支配』の終焉(しゅうえん)の始まりとさせないこと」。法も秩序もお構いなしの権力者に対して、日本政府は「大変残念」と言うだけで批判もしない。月を見てください。世界で起きている惨禍を。(高知新聞・2026/08/23)

⁂「週のはじめに愚考する」(133)~ 「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」と擦り寄ったり抱き着いたり、「ノーベル平和賞に推薦した」と媚びを振りまき続けてきた揚げ句、あろうことか、日本が大きな役割(国際貢献か)を果たしているらしい、数少ない国際機関の取り潰しに、言われるがままに米側に加担して、悪びれることがないというのは無神経の極みですね。つまりは「悪代官」一代という奴。きわめて情けないことだけれど、この国の総理大臣は「一挙手一一足」(つまりは「箸の上げ下げ」まで、米国に命じられているということ。隷従の徒、隷属の国、ですね。
国連にもできない「法と正義」の遂行機関の判断に、牙をむいた米国大統領。それに抱き着くばかりか、一言も抗弁さえできない「一国の総理大臣」とはなんなんですか。現下の事態は、この劣島社会の法制度になぞらえれば、最高裁判所の長官(所長)を強請(ゆす)り、おのが主張を強制的の呑ませる破廉恥な振る舞いの共犯を演じているという粗末極まりない醜聞です。その米国の尻馬に乗って、まさに提灯持ちよろしく、ここにおいても媚びを売りつつ「最高裁長官」を締め上げることに白昼堂々と手を貸すという図が見られます。

もう、ぼくは十分に嫌気がさしているのですが、この国はたった一人の「女性宰相」によって壊されているし、それだけにとどまらず、日本発の「世界金融危機」の導火線が切られたも同然。加えて、自衛隊が、民間人の「思想・信条調査」(憲法違反)を大々的にやっていることを否定もしなければ、その事実を明かすこともなく、いわゆる「文民統制(シビリアンコントロール)」を無きものにされていて、一切の罪咎も認めない、そこまで腐敗した国情・国柄です。たぶん、総理大臣は「シビリアンコントロール」のなんであるかには、まったくの無知であることが証明されたも同然。アメリカに牙を抜かれ、尻の毛を抜かれ、とことん素寒貧になっても、なすすべを持たない国に、いったい「愛国心」が沸くものだろうか。
「どこまでもついていきます下駄の雪」というほかない「まほろば」の国ですな。(「大和は 国の真秀ろば 畳なづく 青柿 山籠もれる 大和し美し」(やまとは くにのまほろば たたなづく あおかきやま ごもれる やまとしうるはし・倭建命伝)(「奈良の女」として、極めて恥ずかしい振る舞いじゃないですかね)
「改憲はしたいが会見はしたくなさそうな高市氏。代わりに連日、Xに長文を投稿して政策宣伝に忙しい。赤根智子氏への制裁に抗議する投稿は見当たらないけれど。」(「素粒子」朝日新聞・2026/08/21)

◎ 国際刑事裁判所(ICC) = 戦争犯罪や人道に対する罪などを犯した個人を処罰するため、2002年7月に発効したローマ規程に基づき、世界で初めて常設された国際的な刑事裁判機関。オランダ西部ハーグに本部を構える。米国、ロシア、イスラエルなどは非加盟だが、ICCは加盟国の領域内で起きた犯罪の管轄権を有し、被疑者の国籍は問われない。日本は07年に加盟後、裁判官1人を送り出し続けており、24年3月からは赤根智子裁判官が日本人初となる所長を務めている。(ブリュッセル共同)(共同通信ニュース用語解説)
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