【滴一滴」席をしても一人、でなく 〈咳(せき)をしても一人〉。たわいないが、忘れ難い。俳人尾崎放哉(ほうさい)が香川・小豆島で没してから今春で100年になった。その節目に、創作の内面を知ることとなろう。未発見とみられる212句が勤務先の社報から見つかったと山陽新聞デジタルの記事で読んだ▼季語や五七五で表現する定型から、形式にこだわらない自由律の俳句をよく詠むようになる移行期という。〈冬椿(つばき)留守別荘に風晴れて〉の定型に続いて〈騒ぐ児(こ)等(ら)去りて夕蜻蛉(とんぼ)一つ飛べり〉の自由律がある。放哉の最も早い自由律が前倒しされる可能性があるそうだ▼作品の変化は人生の「定型」を外れていく姿に重なる。東京帝大を卒業し保険会社に勤めたものの、酒の上の失敗で借金ができ職も家庭も手離した。流転の末、たどりついたのが小豆島の寺の離れだった▼とはいえ、周りの支えはあったのだろう。施しのことらしい、こんな句は知られる。〈入れものが無い両手で受ける〉▼放哉は41歳で亡くなったが、年を重ねれば、さらに支えが要る。昨年の国民生活基礎調査で、65歳以上の高齢者で1人暮らしの人は933万人を超え、最多となった▼頼れる親族らのない高齢者の支援を強化する社会福祉法などの改正法が今国会で成立した。日常生活や入退院などを助ける仕組みを整えたい。咳をしても一人、と痛感しないように。

この駄文収録では山頭火と同じように、放哉さんも何度か、駄文の材料にしています。よくいう「人物、韜晦(とうかい)につき」という、そんな存在だったかと思う。余り適切な評価だとは、一見すると思われます。そこが放哉さんらしいという気もするのです。彼は少年時代は「神童(child prodigy)」と持て囃(はや)されていました。それだけの早熟の人だったのかもしれません。しかし、ある時期に思わない「障壁」に直面し、世を拗(す)ねたとも、世間に背を向けたともいわれています。その「障壁」とは、明かしてみれば、そんなことかよと、笑われそうですが、そこは「異数・異能の人」とされた、児たちもに認められた存在、あるいは気に染まぬことがあるのを我慢できなかったのかもしれない。

彼の短い生涯を一瞥するに、自分自身を持てあましていたことは容易に理解されます。人づきあいが不器用で、短気な性格、何かことがあれば酒に溺れる、いわば「身を持ち崩す」に事欠かない人生行路だったと、ぼくには思われます。育ちの良さは、直ちに不器用な、要領の悪い生き方に直結したに違いないと拝されます。「他人が自分を受け入れてくれない」という前に、「他人を受け入れない自分」に意識が及ばなかったのだろうかと、ぼくは勝手に推察しています。まさに、「遁世」を図ったが、どこまで行っても世の中から抜けられないのもまた人生です。この辺りは、山頭火にも言えることでしょう。
「出家」「遁世」といいますが、俗世を離れて、もう一つの世間に入るのですから、うまく振る舞うことができるはずもないのです。どこかで「妥協」を図ることがなければ、人生は破滅するほかないでしょう。山頭火も放哉も、そのような破滅への道を急いだのではなかったかと、俗に塗(まみ)れたぼく自身には見えてきます。そうではあっても、ここにもまた、まぎれもない「人生」が横たわっているのです。
・月夜風ある一人咳して
・お粥煮えてくる音の鍋ぶた
・爪切つたゆびが十本ある
・鳳仙花の実をはねさせて見ても淋しい
・入れものが無い両手で受ける
・せきをしてもひとり
(大正14(1925)年8月、井泉水の紹介で小豆島に渡る。西光寺の奥の院・南郷庵の庵主となった放哉は、酒と作句に明け暮れる。翌大正15(1926)年4月7日、病没。享年は四一)

◎ 尾崎放哉 (おざきほうさい)=生没年:1885-1926(明治18-昭和1)俳人。鳥取市生れ。本名秀雄。一高を経て東京帝大法学部卒。中学時代から句作し,1916年に帝大の先輩荻原井泉水(おぎわらせいせんすい)の俳句雑誌《層雲》に参加,種田山頭火(たねださんとうか)とともに,心のリズムのままに書く自由律俳句の代表的俳人となった。放哉は,23年に社会も家庭も放棄し,京都の一灯園に入所,以後,各地で寺男を務め,25年には小豆島の南郷庵に落ち着くが,その遁世は,個人主義の充満した社会からの逃亡であり,また,無一文の生活において人間の本来的なあり方を希求することでもあった。句集《大空(たいくう)》(1926)に集成された彼の句には,〈せきをしてもひとり〉のような深い孤独感とともに,個人主義を超えた人間のつながりが,〈島の女のはだしにははだしでよりそふ〉という素朴な感情のうちに示されている。26年4月,南郷庵で死去。存在をおおらかに肯定した〈春の山のうしろから煙が出だした〉が辞世句であった。(改訂新版 世界大百科事典)
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「徒然に日乗」(1158~1164)
◎2026年07月19日(日) 暑い一日だった。▼午前中に買い物で茂原まで。日曜日だったが、閑散としていた。猛暑のせいだろうか。このところの暑さで、疲れが残り、時間を見つけては睡眠をとっている。連日、猫たちに早く起こされているので、十分な睡眠がとれないのだ。暇を見つけて、なんとか睡眠時間を確保したいものだ。▼「皇室典範」改正案成立で、「宮中某重大事件」を想起している。山県有朋失脚のきっかけになった事件だ。「皇室典範」が改正されたが、改定後の法律運用をいかにして進めるか。自民党副総裁の挙動が今以上に注目されるだろうし、場合によっては「政局」が動き始めるだろう。(1164)

◎2026年07月18日(土)終日雨模様だったが、ついに降らないままで、高温多湿状態が続いた。劣島四囲の海上に多くの低気圧と一個の高気圧が重なり合って、互いにけん制している。この後の天気が気になる。おそらくすでに「梅雨」は明けたのかもしれない。関東北部では昨夜から激しい豪雨(一時間に100ミリ超えも)が襲っていた。いわゆる「線状降水帯」の連続だったと思う。降れば土砂降り、晴れれば酷熱、この先が思いやられるのだ。パソコンの調子が悪い。「熱中症」だと思う。「マザーボードの高温とその他、ヒートシンクとファンに気をつけろ」という警告が警告音とともに瞬時に出ては瞬時に消える。いよいよ製造者にお願いすることになるだろう。昼過ぎに、その製作者のS君に電話をした。7月中は「補講」が入っているので、8月になれば、拙宅に来るかも、ということだった。それまでに何とか、修復してくれればいいのだが。彼の息子は甲子園の大阪地区大会で2回戦まで勝っており、本日が3回戦だという。背番号は「1」。▼国会は8日間の延長で、維新が提案している副首都法案なる議案の成立を期するというらしい。きわめて個人的な義理(政権与党としての威信の参加)で国会を勝手に動かすのだから、この首相の能天気ぶりは論外のところに来ている。(国会は一日開くと3億円かかるという)(1163)

◎2026年07月17日(金)終日曇天続き。湿度の高い一日でもあった。▼国会の最終盤、国論二分の法案が続々通過。この内閣が一日続けば、この国は一日早く潰れる。それにしても、最悪・最低の総理大臣。本日の株式市場は4000円以上も下落した。世界を舞台に金の奪い合いをする「市場(マーケット)」だけは、どんな馬鹿な首相であろうが、いかなる背作であっても、いささかの忖度もしない。この首相、どこまで行けば、自分の馬鹿さ加減に気が付くのだろうか。駄目だろうね。▼「日経平均下げ幅歴代5位 キオクシア半値割れ、AI成長に疑念の連鎖 17日の東京株式市場で日経平均株価が大幅に続落し、前日比2694円(4%)安の6万4141円で終えた。下げ幅は歴代5位の大きさ。取引時間中には4130円安まで売られる場面もあった。世界的に人工知能(AI)産業の過度な成長期待が後退し、高値警戒感が売りを促す展開となった」(日経新聞・2026/07/17)▼夜十時前に卒業生のT君から電話。「今学習院大にいて、O教授と一緒だ」という。O君とは勤め人を辞める直前に会って以来。だから十五年ぶりだったろうか。彼(教育社会学研究者)はT大からW大へ、再びT大に戻って、今春から目白のG大学へ。なかなかに目まぐるしい「渡世」を送っておられる。元気で何よりだと思う。T君とも久しくあっていない。「暇な折にK君ともども拙宅に来てください」と話して電話を切る。(1162)
◎2026年07月16日(木)昨日に続いて、猛烈な暑さ。パソコンが暑さで音を上げる。もう一台の方を使いだして、直撃する熱さを何とかしのいでいる。それにしても、あらかじめ予想していた通りの猛暑日の連続で、この先が思いやられる。まだまだ、序の口のような気もしている。とにかく、熱中症には十分に注意をしたい。▼国会は最終盤で、何もかもが「バタバタと決められている」ような気配。さらに、すべての法案を通すために若干の延長を図るという。「どうなと、好きにやれ」という気分だ。(1161)

◎2026年07月15日(水)ただ今、午後9時過ぎ。室温29.7℃、湿度76%。つい先ほども「本体が熱くなった」との警告音が鳴る。電源を落として30分ほど休憩。昨日に続いて、3度目か。直射日光を遮るためのよしず屋根にもかぶせた。この部屋はトタン屋根なので、熱が室内にも伝わるのだ。▼昨日よりも、さらに厚かったかも。午前中の早い段階で、30℃を超えていたようだ。この暑さはまだ続きそう。梅雨明けが来たのかもしれない。(1160)
◎2026年07月14日(火)本日は、たぶん今年一番の猛暑日だったろう。午前中、早くに(9時ころか)常用しているパソコンパから警告音(「マザーボードが熱くなりすぎているので注意」というような。昨日も警告音が鳴ったようだが、しばしパソコンの電源を切って、熱を下げるほかに仕方がないのだ。パソコンの部屋には、もちろんエアコンはない。南向きで、猫に壊されて、今は網戸も外してある。ガラス戸は締め切り状態で、古びた扇風機が一台、のんびりと回っているだけ。午前中の茂原の家電量販店で、卓上扇風機を購入した。大した効果があるとは思えないが、まあ一種の気休めか。▼ただ今、午後11時。室温29.2℃、湿度75%。明日も猛烈な暑さが続くそうだ。(1159)

◎2026年07月13日(月)ただ今、午後9時20分。室温28.6℃、湿度81%。終日蒸し暑い日だった。高温多湿が異常・異様に感じられる。▼午前中に茂原まで買い物に。帰宅後は、外には出ないで室内に。▼イラン情勢はいささかも変化を見せないで、戦闘状態が続いている。まさしく、2月28日段階からほとんど変化していないような状況。先の展望は全く見えず。▼「日経平均67,242.73 -1315.00 NYダウ52,637.01 +149.60 ドル162.16-18 +0.47円安 NY原油74.00 +2.59 長期金利2.785 +0.025」「『令和のPKO』急浮上 GPIFで国債買い支え論、市場は疑問視 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)をめぐる思惑に債券市場が揺れている。政府による年金資産の国内投資拡大を促す発言に、1990年代の株価のPKO(プライス・キーピング・オペレーション)を重ねる動きも出てきた」(日経新聞・2027/07/13)禁じ手に逃げ道を求めるという愚策に行くのか、この愚策続きの政府は。(1158)
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