風鈴の夜陰に鳴りて半夏かな

【春秋】梅雨空の新宿御苑の水辺で、ハンゲショウの群生がかわいらしい花をつけていた。いま時分、葉の半分ほどが白みを帯び、緑との涼やかなコントラストをみせる。名の由来はその白が半身の化粧のようだからとも、色を変えるのが7月初旬の半夏生の頃だからともいう。▼去年は6月のうちから記録的な暑さが続き、東京では半夏生も待たずに史上最も早く梅雨が明けた。今年はうってかわってこの時期らしい空模様と思っていたのだが、この先は暑さが勢いを増してくるようだ。気象庁によると近畿や東海、北海道などでは「この時期としては10年に1度」の著しい高温の恐れがあるという。▼異常な熱波が襲ったのが欧米だ。スペインやフランスでは千人単位の死者が出ている。高気圧が暖気をとじ込める「ヒートドーム」が元凶という。名前だけで熱が伝わる気がする。建国250周年を祝う米国でも屋外イベントの中止などが報じられ、人工知能(AI)と冷房が電力を奪い合うような構図も指摘されている。▼昨今の日本でも多い年は2千人超が熱中症で命を落とす。異常が日常になりつつあるのだろう。半夏生は田植えを終える目安で、疲れた心身を休める風習が伝わる。「朝の虹消えて一ト雨半夏生」酒井黙禅。今年は40度以上の日の新呼称「酷暑日」も登場する。冷却グッズでも探しに出かけてみようか。炎夏はすぐそこだ。(日経新聞・2026/07/05)

⁂「週のはじめに愚考する」(126)~ 「風鈴の夜陰に鳴りて半夏かな」(飯田蛇笏)半夏(はんげ)とは多年草植物「からずびしゃく」のことである、と同時に七十二候の一つ。面倒だから「半夏、生(しょう)ず」を「半夏生」と言ってすましたようで、なんとも煩わしい次第です。加えて、「半夏」は仏教語でいう「夏安居(げあんご)」とされ、僧が夏の一定期間、修行のために一所に籠り続けることを指して言う。ヘッダー写真「ハンゲショ」というドクダミ科の多年草です。拙宅にも白い顔をのぞかせています。別名は「かたしろぐさ」「みつじろ」などなど。

 拙宅の荒れ庭は、自称、「蕺苑(どくだみえん)」と勝手に名づけていますから、ドクダミもハンゲショウも今を盛りに咲き誇っています。その昔は、この花が咲くころには「田植え」は終わっているとされていましたから、一種の暦(目安)の働きでもあったでしょう。近所の田んぼでは早苗(奈良出の悪女ではない)が成長し、色濃く背丈も伸びて風にそよいでいます。昨日が第一回目の「小型飛行機・ドローンを使った農薬散布の日」だったようで、さらに半月後くらいにもう一度行われると、田んぼわきの看板が知らせていました。「危険につき、近寄らないで」とありました。

 猛烈な熱波襲来、台風の突撃を直前に控えて、「風鈴(ふうりん)の夜陰に鳴りて半夏(はんげ)かな」と詠んだ蛇笏先生は、いつの時代の、何処の地域の人だったんでしょうか。

◎ 飯田蛇笏(いいだだこつ)(1885―1962)= 俳人。本名武治(たけはる)。別号山廬(さんろ)。山梨県東八代郡境川村(現、笛吹市)生まれ。1905年(明治38)早稲田大学英文科に入学。早稲田吟社に参加し、『ホトトギス』や『国民新聞』俳壇に投句した。在学中に若山牧水との交友を保ち、後年『創作』に作品を寄せた。1909年一切の学業を捨て家郷に帰り、田園生活に入る。1912年(大正1)高浜虚子が俳壇に復帰するや『ホトトギス』雑詠欄に出句し、「芋の露連山影を正しうす」等の句により巻頭を得る。1917年『キラヽ』を改名した俳句雑誌『雲母(うんも)』を主宰し、没年まで選句した。『山廬集』(1932年、雲母社)、『白嶽(はくがく)』(1943年、起山房)等の句集を通じて格調高く雄勁(ゆうけい)重厚な句風を展開した。随筆集や評論・評訳の著書も多い。第二次世界大戦で長男と三男を失い、次男も病死という逆縁の悲しみを背負いつつ俳文学の精神を貫き、その遺志は四男の龍太(りゅうた)によって継承された。(日本大百科全書ニッポニカ)

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 世界のいたるところでは「危険ですから近づかないでください」と停止線が張られている場所ばかりの状況にあります。この国では、国会は「審議なし」の状況が続いています。各種委員会審議から首相が逃げ回っているのは、理由があるからで、疑惑満載の議員活動を続けながらの首相務め。最後の尻めくりは、前代未聞の、秘書が書く「陳述書」を答弁に替えると、もう通常国会は終わった気分になって「ベストドレッサー賞」だとか。「馬子にも衣装」というのでしょうか。大した「売国の徒」というほかない「食わせ者」ではないですか。自分では盟友と片思いしている米大統領は「建国250年」は自分がもたらしたという、歴史の改ざんを堂々とやっては一人で気を吐いているのですが、国民にしたら、たまらない瞬間の連続だろうと思う。(右写真「金曜日、ワシントンDCのナショナル・モールで開催されたグレート・アメリカン・ステート・フェアで、「イベント延期」の看板が掲げられた」:https://www.bbc.com/news/articles/cevlkzer7vdo

 コラム氏が書かれているように、フランスなど、欧州では「余りの高温」で死者が驚くばかりの数に上っているらしい。ひと夏ではなく、わずかばかりの期間で千人、二千人を数えるというのは、まさに狂気の沙汰でしょう。科学・技術文明の頂点を誇る時代に、熱波で人命が奪われるというのはどういうことでしょうか。いよいよ地球そのものが大気圏も含めて、恒常性を維持する機能を失っているという証拠になりませんか。地球温暖化、気候変動、表現はさまざまですが、必要以上に人間の諸活動が地球圏の自然環境を破壊している、偽りのない現象の表れ、それが異常気象となって人間をはじめとする地球上のあらゆる生命の危機を呼び込んでいるということです。(写真左「熱波のためワシントン記念塔が閉鎖」:https://www.bbc.com/news/articles/cevlkzer7vdo

 《フランス、イギリス、スペインで記録的な高温を観測、西ヨーロッパは熱波に見舞われる 西ヨーロッパを襲った熱波により、前例のない気温上昇が相次ぎ、フランスでは観測史上最も暑い日を記録し、イギリスでは6月の記録的な暑さとなり、スペインでは1950年以来最高の平均気温を記録した。/数千万人が猛暑に苦しんでおり、パリでは気温が41度近くまで上昇し、ヨーロッパ大陸の広範囲で猛暑警報が発令されている。/フランスの全国気温指標(数十か所の昼夜平均気温)は水曜日に30℃に達し、1947年の観測開始以来最も暑い日となった。/国土の半分以上が依然として猛暑警報(赤色警報)下にあり、西部では数万世帯が停電している。》(BBC・2026/06/25)(https://www.bbc.com/news/articles/c78y4102n1zo

 たぶん、各国・各地の今夏の高温はこれまで以上になることが早くから予想されていた、その通りになるでしょう。もちろん、我が国も例外ではありません。イラン攻撃に始まった戦争の終結は見いだせないままで、石油高騰と、その不足が大いに懸念されている中で、ぼくたちは「暑い、暑い、暑い夏」を迎えています。地球はまるで「高温で熱せられたフライパン」状態にあり、無辜数千万、数億の民衆が、そのフライパンの中で炙(あぶ)られ、炒(いた)められ、また、大釜の熱湯の中で煮沸されているんですね。果たして、かかる絶体絶命の危険な罠(トラップ)から逃れることができるのでしょうか。

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◎ はんげ‐しょう‥シャウ【半夏生】〘 名詞 〙① ( 半夏(カラスビシャク)が生える頃の意 )七十二候の一つ。夏至の第三候。夏至から一一日目で、今の七月二日頃にあたる。この日には毒気が降るといっていっさいの野菜を食べず、また竹節虫を生じる時だといって竹の子を食べないなどの俗習がある。はんげ。《 季語・夏 》 ドクダミ科の多年草。本州から沖縄にかけての低湿地に生え、観賞用または薬用に栽培されることもある。高さ〇・六~一メートル。全体に一種の臭気がある。葉は長楕円形で基部はやや耳形になり長さ約一〇センチメートル。七月、茎の上部に下半部が白い葉を二~三枚つけ、そのわきから淡黄色の花弁のない小さな虫媒花を密生した花穂をたれる。茎・葉を胃腸・袪痰(きょたん)薬に用いる。和名は、半夏生の頃に白い葉をつけるからとも、また、葉の半面が白いのを半分化粧したという意味からともいう。漢名、三白草。かたしろぐさ。かたじろ。みつじろ。おしろいかけ。はんげしょうぐさ。〔物品識名(1809)〕(精選版日本国語大辞典) (左写真「フランスで熱波が襲う中、トゥールーズで48度を表示する薬局の温度計(2026年6月24日撮影)」)(AFP:https://www.afpbb.com/articles/-/3642538?cx_part=latest)                                        

◎ 半夏= 1「半夏生(はんげしょう)1」の略。《季 夏》2 カラスビシャクの漢名。また、その根茎を、外皮を取り除いて乾燥したもの。漢方で去痰(きょたん)・鎮嘔(ちんおう)・鎮吐薬などに用いる。《季 夏》3 仏語。夏安居(げあんご)の中間にあたる45日目の称。(デジタル大辞泉)(註 「夏安居(げあんご)」とは「仏語。僧が、夏(げ)の期間、外出せずに一所にこもって修行すること。夏籠もり。夏行(げぎょう)。《 夏》→安居=「[名](スル)《(梵)vārṣikaの訳。雨季の意》仏語。僧が、夏、1か所にこもって修行すること。陰暦4月16日から7月15日までの3か月間で、この期間を一夏(いちげ)という。雨安居(うあんご)。夏安居(げあんご)。夏行(げぎょう)。夏籠(げこもり)。あんきょ。《 夏》(デジタル大辞泉)

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