次は五爵(公・侯・伯・子・男)制定へ

【筆洗】国会議事堂の中央広間には3人の政治家の像がある。設置は1938年で板垣退助、大隈重信、伊藤博文の3人。もうひとつ台座があるが、この上に銅像は置かれていない▼空席なのは4人目を誰にするかを決めかねて先送りにしたという説と、空の台座で政治の不完全さを示し、その完成に向けて取り組みなさいという願いを込めたという説がある▼なるほど、政治に完成や完全はなけれども「立法府の総意」として取り組んできた以上、この件については先送りやあいまい決着は避けたかった。衆参両院で協議してきた皇族数確保のための取りまとめ案である▼女性皇族が結婚後も身分を保持する案と旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える案に対し与野党7党がおおむね賛同したが、どうもはっきりしない点が多い▼結婚した女性皇族の夫と子を皇族とするかどうか。旧宮家から養子を迎えた場合、その養子がもうけた子に皇位継承資格があるのか。大きな論点だったが、いずれも結論がない。「空の台座」が多すぎるのである▼意見の分かれる問題は先送りにして、与野党をひとまず同じ船に乗せたい-。その気持ちは分からないでもないが、これではこの先、船は座礁しかねまい。国民世論には支持の多い女性・女系天皇の可能性も議論し、堂々たる「立法府の総意」を目指す道はないものか。あきらめるのが早すぎる。(東京新聞・2026/06/10)

 天皇制の永続的な保持を図るために「皇室典範」改正の動きが急である。急いで何かいいことがあるのでしょうか。今国会(会期は7月17日まで)での改正を見るべく、議論されたおおよその素案が報じられています。この議論の推移をみていると、どうにも言いようのない「時代錯誤」が満載です。詳細は簡単な資料を出してあるので、それを見ていただきたい。ぼくははるか昔から政治制度としての「天皇制」には賛成していません。幾つかの理由がありますが、それも省きます。要するに、長く続けられてきたから、何が何でも持続させなければという「無理筋」が働いているのでは、この先も同じような関門(難問)が立ちはだかるはずです。現行の皇室制度があまり不自然でない形で機能する段階を維持すればいいのであって、そこに政治的な作為を加えることになるならば、果たして国家国民の利益になるだろうかという疑問は残るでしょう。

 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。(日本国憲法第一条)

 皇室にも少子化と高齢化の波は襲っているのですから、それを人工的に無理を重ねるて、存続を図るのはどうかと思う。天皇は男系男子に限るとか、女性天皇はダメであるという発想自体は論外ではないですか。長く皇籍離脱していた元皇族を性別年齢に限定して現皇族のいずれかの「養子(adopted child)」として迎えるという奇抜な発想もまた、ぼくには理解できない代物です。当事者以外の、いったい誰がそれをやるのですか。「皇族」の権利、「元皇族」の人権をいかなるものと捉えているのでしょうか。

 まさか「マッチングアプリ」を使うのではないでしょうに。皇位継承者を産むために「誰と誰を結婚させる」というのも「鴇(とき)の人工孵化」「人工繁殖」のようで、実に人権無視のはなはだしいものと断じていいでしょう。男尊女卑といい、法の下の平等の無視といい、野蛮に逆戻りするという愚劣を考えないんですね。要委sになるならないに関して、当事者の判断や選択にどうして委ねないのでしょうか。

 この先を書き続ける気力もないほどに、この国の政治家の暗愚には底無しの恐ろしさを感じてしまう。現下の皇室と深い関係(縁戚)のある国会議員(主として政権与党の副総理A氏と現衆議院議長M氏)が強引に「皇室典範」改正を目論んでいるのも、ぼくに言わせれば、笑止千万でしょう。この「改正」事項を経済問題に擬するなら、まさに「利益相反」にあたる犯罪行為であり、世が世なら「不敬罪」に該当する行為であると思う。この愚か者たちのなすが儘に放置しておくなら、いずれ近いうちに「華族制度復活」も言い出されかねないでしょう。

 君は侯爵、ぼくは男爵など、まさかジャガイモじゃあるまいしと、激しく非難したいのですが、今の流れを看過していると必ずそこに行きつきましょう。国家情報局を作り、スパイ防止法を作り、国旗損壊罪を制定し、すべての国民を監視し、国家予算の3分の1を国防費に計上し、何処とも知れぬ「敵対国」と一線を交えるとして、兵隊確保のために、早速に「徴兵制」を敷かねばならぬとなれば、そこまできて初めて、政治家同様に愚かな有権者も目が覚めるのでしょうか。怒涛の勢いで少子化が昂進している現段階で、さらに人口を激減させる愚を犯すのでしょうか。

 皇室が栄えるというのはどういうことですか。大本営が復活し、君側の奸が跳梁跋扈し、そして国を亡ぼす、かつての歴史を、再び三度繰り返したいというのでしょうね。まるで、ぼくは夢のなかでジョージ・オーウェルの「一八九四年」を読んでいるような錯覚を覚えています。

◎ 皇室の構成=天皇とそれ以外の皇族で構成する皇室は、三笠宮妃百合子さまが亡くなり16人に減った。高齢化が進み、上皇さまと上皇后美智子さまはいずれも90歳、常陸宮ご夫妻は80代となっている。未婚の女性皇族は、天皇、皇后両陛下の長女愛子さま、秋篠宮家の次女佳子さま、故寛仁親王の長女彬子あきこさま、次女瑶子ようこさま、高円宮家の長女承子つぐこさまの5人。皇室典範は、天皇や皇族以外と結婚した場合、皇族の身分を離れると規定する。皇位継承資格者は継承順1位の秋篠宮さま、2位の秋篠宮家の長男悠仁さま、3位の常陸宮さまの3人。更新日:2024年11月15日 。(共同通信ニュース用語解説)

皇室典範
第一章 皇位継承
第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
第二条 皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。
一 皇長子
二 皇長孫
三 その他の皇長子の子孫
四 皇次子及びその子孫
五 その他の皇子孫
六 皇兄弟及びその子孫
七 皇伯叔父及びその子孫
② 前項各号の皇族がないときは、皇位は、それ以上で、最近親の系統の皇族に、これを伝える。
③ 前二項の場合においては、長系を先にし、同等内では、長を先にする。(以下略)(平成31年4月30日 施行 

〈社説〉皇位継承の安定
 「見切り発車」許されぬ 安定的な皇位継承に向けた皇族数の確保策を巡り、衆参両院の正副議長が「取りまとめ案」を各会派に提示した。女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ案と、旧宮家から男系男子を養子に迎える案を併記する内容だ。
 憲法は天皇を「日本国民統合の象徴」とし、その地位は「総意に基づく」と定める。現行制度の大幅な変更には国民の幅広い支持が必要だが、両案とも多くの課題が残る。慎重に審議すべきだ。
 女性皇族が結婚後も身分を保持する案では、夫と子にも皇族身分を付与するか否かが焦点だったが、取りまとめ案は夫と子の身分に関する結論を先送りした。
 また、養子案は皇籍を戦後離脱した旧11宮家の男系男子を対象とし、養子の年齢や養親の範囲、養子は皇位を継承しないことなど慎重な制度設計を求めている。必要に応じた見直しも盛り込んだ。
 衆参正副議長は全会派の合意を目指し、文案調整してきた。8日の会議では多くの会派が賛同する一方、両案にはそれぞれ反対する会派もあった。賛否が分かれる状況では「総意」とは呼べない。
 正副議長は10日に取りまとめ案を「国会の総意」とすることを決定し、政府側に提示。今国会で皇室典範改正を目指すが、強引に決着を図れば禍根を残す。
 皇族数が減る中、女性皇族が結婚後も皇室に残るのは妥当だが、夫と子の身分が不透明では結婚の障害になりかねない。自民党などの主張通り、夫と子に皇族の身分を与えないことになれば、家庭内に皇族と一般国民が共存する事態になるなど多くの懸念も残る。
 一方、養子の対象となる旧宮家は現皇室との共通の男系祖先が室町時代にさかのぼり、近縁関係とは言い難い。憲法擁護や平和への願い、社会的弱者に寄り添う姿勢など皇室が大切にしてきた価値観を受け継げるかは未知数だ。
 皇室の養子制度は、門地による差別を禁じる憲法に違反するとの指摘もあり、皇室に対する国民の敬愛が揺らぐ恐れもある。
 世論調査では女性・女系天皇を容認する意見が多い。自民党などは男系男子による継承に固執したため、議論は皇族数の確保策に終始し、皇位継承の安定を巡る議論が尽くされたとは言い難い。
 国会は「見切り発車」せず、女性・女系天皇の可能性も含めて検討し直すよう求めたい。(東京新聞・2026/06/09)

◎ か‐ぞくクヮ‥【華族・花族】〘 名詞 〙① 身分の高い家柄。貴い家柄。貴族。 (「かそく」とも ) 平安時代以来、公家の家格の名で、清華(せいが)の別称。摂関家に次ぐ家柄で、大臣、また大将を兼ね、太政大臣を極官とする。英雄。かしょく。 明治時代に設けられた、身分制度の称の一つ。明治二年(一八六九)六月、江戸時代の公卿、諸侯をこれにあて、同一七年の華族令により、公、侯、伯、子、男の爵位を授けられ、国家に勲功のあった政治家、軍人、官吏、実業家なども列することができるようになった。皇族の下、士族の上に位置し、種々の特権を受けた。昭和二二年(一九四七)廃止。(精選版日本国語大辞典)

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