
米マンハッタン大陪審、トランプ前大統領を起訴(CNN) 米ニューヨーク州マンハッタン地区の大陪審がトランプ前大統領を起訴したことが分かった。事情に詳しい複数の情報筋が明らかにした。現旧の大統領で刑事訴追される人物は米国史上初めて。/ 起訴状は非公開で提出されており、数日以内に発表される。情報筋の一人はCNNに対し、罪状は現時点では不明だと明らかにした。/ マンハッタン地区検察はこれまで、2016年大統領選時にポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんに口止め料を支払う計画や隠ぺいに関与した疑いで、トランプ氏を捜査してきた。(CNN 2023.03.31 Fri posted at 08:06 JST)(https://www.cnn.co.jp/usa/35201981.html)(左写真:トランプ前米大統領/Anna Moneymaker/Pool/Getty Images)

これは「大統領の犯罪」と捉えるのではなく、犯罪容疑を重ねていた人物(当選の段階では容疑は明らかではなかった)が「大統領に選ばれた」ということで、その点では、きわめてありふれた事案でしょう。いかなる人間でも選挙で選ばれれば「大統領」になれるのはデモクラシーの大きなメリットだと受け止められる。「大統領」になってから犯罪を犯す人間もいる。例えばニクソン元大統領。「ウォーターゲート事件」関与の嫌疑で、彼は辞職したが、今では事件に深く関与したことが知られている。今回のトランプ起訴にかかわる容疑は数多くあり、いずれ明らかになるでしょうが、不動産業などを営むトランプ氏は、かなり悪名の高い人物として名を知られていました。まだ、三十代前後の彼を、しばしばテレビ画面で見た記憶があります。彼はいくつもの不動産をニューヨーク州でも所有していた。その一つにトランプアリーナとでもいうのか、大きなスタジアムがあった。そこで、ボクシングの世界選手権が開催され、試合前のセレモニーに若いトランプがリングに上っていたのだ。モハメド・アリその他の名だたるボクサーとの親しさを誇っていた時代の遺産です。
● ウォーターゲート事件【ウォーターゲートじけん】1972年6月,当時の米大統領ニクソンの再選委員会の運動員が,ワシントンのウォーターゲート・ビルの民主党全国委員会本部事務所に盗聴器を設置しようとしたことが発覚。これに端を発し,1974年8月にはニクソンが自らも隠蔽工作に関与していたことを認め,辞任を余儀なくされるまでに発展した,米国史上有数の政治スキャンダル。(マイペディア)

その他、脱税疑惑でも不動産取引にかかわる疑惑でも、彼は早くから目をつけられていた。そんな疑惑の不動産業者が、米国大統領に選ばれたのは、ぼくには驚きでした。詳しくは駄弁りませんが、それほどに「エスタブリッシュメント」の権力支配に飽きたらなかった多くの選挙民が、疑惑の塊のような人物を担ぎ上げ、既成の秩序を壊すことに走ったともいえます。ぼくが恐怖を覚えたのは、人間の知性やモラルが問題だとされなかったことだった。「トランプ旋風」と称される、一種の政治的津波は「既存体制」「既成の価値観」を毀損し、社会に混乱をもたらした。いわば、混乱と破壊、破壊と常識(良識)の消尽を多くの有権者が望んだ結果だった友言えそうです。
アメリカは民主主義の社会(一面においては)ではなかったし、そんなものを求めていない人々がでたらめな「フェイク」を多用する人物を大統領に選んだのだ。四年間の大統領時代の仕事には見るべきものがたくさんあった。須らく自分を売り込むためのディール(取引)だった。その最大の功績(破廉恥)は、ドルがあれば何でもできるという「金覇権主義」の実践だったでしょう。挙げ句には再選選挙で負けたことを認めないで「票(選挙)が盗まれた」と敗北を認めようとしなかった。選挙で選ばれれば、問題はないが、負ければ、その選挙結果を否定するという破廉恥を、多数の選挙民が容認した。議会襲撃を煽ったことも、彼にすれば当たり前の政治手法だった。女性スキャンダルを繰り返しても政治的な打撃にならない、致命的打撃にはさせない、そんな社会や国が「世界のリーダー」を気取ってきたし、またその覇権主義権力の腰にへばりついている小国が「日出ル国」の権力亡者でした。

トランプ氏が大統領に当選した直後に、この国の総理大臣が馳せ参じたことがあった。お互いが初対面であったにもかかわらず、すっかり意気投合したのは同類のもつ嗅覚が働いたからだったと思う。日の本の元総理は「首相の犯罪」になるような行為を繰り返しても逃げ果(おお)せた。また、この故元総理と27回も「首脳会談」を持ったというロシアの権力者は「戦争犯罪人」としてICCから逮捕状が出ている。元総理も「告発」「逮捕」されても問題がないくらいに、疑惑を膨らませていた。また、英国の元首相も在任中の疑惑が問題視され、批判を浴びている。人間は過ちを犯す存在である、嘘をつく輩である、人民の生命を尊重しない暴力者だ、覇権を握るためには手段を選ばぬ権力信奉者である、その他、嫌になるほど人間の汚さや醜さを見せつけることをいとわない人々です。
政治家に、聖人君子であれと言って、太陽が西から出るようなことは望まない。ごく当たり前(これがもっともむづかしい流儀なのだが)に、困っている人や社会や国々を助けようとする「憐憫の情」をもって政治を実行できる人であってほしいと、心底から願わないではおられない。
これだけ長い歴史を持った人類の足跡も、結局は「権力争い」の結果の跡づけであると言ってもかまわないほどに、多くは、野蛮な暴力が「政治権力」として承認され、それが正統な歴史の一コマになったと錯誤されているのです。「権力」には魅力というか、魔力があるのでしょう。それを求める人は尽きないし、それを巡る争いも絶えない。この小国においてさえ、「将軍」と称されてきたのは暴力行使者でした。あるいは殺戮のプロだった。戦国時代とは「殺傷力」争いでもあったのです。史上もっとも多数の殺人を犯した者、それ信長だったか。奇っ怪至極というほかありません。

トランプ問題がいかなる経緯をたどるか、それはこの小国の運命でもあり、世界状況の帰趨を左右する要素をはらんでいます。少なくとも「人倫」に恥じない、人間の面子(メンツ)、つまりは人間として、慎ましやかな体面や面目、自恃の心持ちを、再び獲得したいものです。あるいは失わないように努めたいと自らにも願うのです。「苛政猛虎」という逸話が孔子に関わって残されてきました(「礼記」)。ある時、孔子が行きかかったた道端で一人の女性が嘆悲しんでいた。「どうしたのか」と尋ねると、「姑や夫、息子までも虎に食い殺されたのです」と答えた。「それなら、なぜこの地を離れぬか」と再度尋ねると、「ここでは悪政(苛政)が敷かれてはいないからです」といったという。苛政いうのは猛虎よりも猛々しいという。この小国にも「猛虎」がいるが、実に弱々しい。ヤクルトに手もなく飲み込まれるくらいに惰弱です。でも、この惰弱を装った「猛虎」の心境には「復讐の念」が燃えたぎり、「六甲おろし」が吹き荒れているでしょう。与しやすしと侮るなかれ、優しい声音で「弱者を呪い殺す」からです。ぼくたちの生きている社会の「苛政」は「人誑(たら)し」「人誑(たぶら)かし」の姿を借りて、眉一つ動かさず、平然と人間を縊(くび)り殺している。トランプやプーチンなど、なんとも可愛いものさと腹の底では笑いながら、「苛政」という名の「酷政」に勤(いそ)しんでいるに違いない。かかる「苛政猛虎」の叢生(簇生)は、地球上の潮流になっているのでしょうか。

プーチン大統領らに逮捕状、ウクライナ侵攻めぐる戦争犯罪容疑 国際刑事裁判所 オランダ・ハーグに本部を置く国際刑事裁判所(ICC)は17日、ウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪容疑で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領らに逮捕状を出した。/ ICCは、ロシアが占領したウクライナの地域から子どもたちをロシアへと不法に移送しており、プーチン氏にこうした戦争犯罪の責任があるとしている。/ また、ロシアが全面的な侵攻を開始した2022年2月24日から、ウクライナで犯罪が行われていると指摘している。/ ICCは声明で、プーチン氏が直接、また他者と連携して犯罪行為を行ったと信じるに足る合理的な根拠があると説明。また、プーチン氏が大統領権限を行使して子どもたちの強制移送を止めなかったことを非難した。/ ロシア政府は、戦争犯罪疑惑を否定し、逮捕状は「言語道断」だとしている。(CNN:2023年3月18日)・左写真:プーチン大統領(左)と、ロシアのマリア・リボワ・ベロワ大統領全権代表(子どもの権利担当)の会談の様子(2月16日)
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