
【滴一滴】単語を組み合わせて調べるインターネット検索の方法が変わるのでは、と注目されている。マイクロソフトが投資する米国企業が開発した自動応答ソフト「チャットGPT」である。日本語の質問にも答えてくれる▼「世界一年俸の高いサッカー選手は?」『2021年はメッシ選手でした』「メッシ選手のようになれるかな?」『適切な訓練を積み重ね、自身の目標を達成することは可能です』▼「実は私は50歳過ぎなのですが…」『健康を維持し、情熱を注げば、自分なりに技術を向上できるでしょう』。知識が豊富で、あいまいな問いに巧みに応じる。回答に気遣いまで感じられる▼同様のソフトは米グーグルや中国の百度(バイドゥ)も発表した。ただ、中国ではある新興企業のソフトが、公開後程なく停止されたという▼「中国の経済成長は勢いを欠き、環境汚染が深刻だ」などと答えたのが原因とみられる。国民の不満を代弁されては困るのか、中国政府は必要に応じて「倫理面の対応」を取ると警告している▼冒頭の米国製ソフトに「あなたの倫理面の問題は?」と尋ねてみた。『AI(人工知能)は人間の判断を模倣するので人間の偏見を反映することがあります。AIが感情を持つようになれば、問題はさらに深刻になる可能性もあります』。鋭い自己分析に空恐ろしさを覚えた。(山陽新聞digital・2023/03/16 )

情報BOX:チャットGPTとは何か、その活用方法は (ロイター編集)[5日 ロイター] – 最先端技術における人工知能(AI)利用が急速な進展を続けている。米サンフランシスコの企業オープンAIが作ったチャットボット「チャットGPT」は11月30日から一般公開され、無料で試せるようになった。チャットボットとは、ユーザーの入力に反応して人間のように会話するソフトウエア・アプリケーションだ。/ オープンAIのサム・アルトマン共同創業者兼最高経営責任者(CEO)によると、公開から1週間で100万人を超えるユーザーがチャットGPTとの会話を試みている。 ◎オープンAIの所有者はだれか、イーロン・マスク氏は関係しているか 研究開発企業のオープンAIは2015年、シリコンバレーの投資家サム・アルトマン氏と富豪イーロン・マスク氏によって非営利企業として設立された。ベンチャーキャピタリストのピーター・ティール氏など、他にも数人が出資している。19年には外部から投資を受け入れるため、関連する営利企業を設立した。/ 最近ツイッターを買収したマスク氏は、18年にオープンAIの取締役会から外れているが、流行のチャットGPTについてこのほど「恐ろしいほど良い」とツイートした。/ マスク氏はその後のツイートで、オープンAIがツイッターのデータベースをAIの「訓練」に使っていることが分かったため、同社によるデータベースへのアクセスを一時的に中止したと明かしている。 (⤵)

◎オープンAIの仕組み オープンAIはチャットGPTのモデルについて、「人間のフィードバックによる学習強化(RLHF)」という機械学習技術を用いて訓練されており、会話をシミュレーションし、追加質問に答え、間違いを認め、不正確な前提には異議を唱え、不適切な要求は拒否すると説明している。/ 初期開発においては、AIトレーナーがユーザーとAIアシスタントによる会話を演じてみせることで、モデルに情報を提供した。今回公開されたチャットGPTのバージョンは、ユーザーの質問を理解し、人間が書く会話文体に似せた文章で深い答えを返すようになっている。 ◎何に使えるか チャットGPTのような道具は、デジタルマーケティング、オンラインコンテンツのクリエーション、カスタマーサービスにおける質問への回答などに実用できる可能性がある。一部のユーザーは、コードのバグ(欠陥)を修正するのにも役立つことを発見した。/ チャットGPTは人間の会話形式をまねて幅広い質問に答えることができる。 ◎問題はあるか 多くのAI関連イノベーションと同様、チャットGPTにも心配な点はある。オープンAIが認めている通り、「まことしやかに聞こえるが、不正確もしくは理にかなっていない答え」を返す傾向がある。これは修正の難度が高い点だという。/ AI技術はまた、人種、性、文化などを巡る社会的偏見を固定させかねない。アルファベット傘下のグーグルやアマゾン・ドット・コムなどの巨大IT企業は以前、AIを使って試したプロジェクトの一部が「倫理的に危うい」ものであり、限界があったと認めている。複数の企業では、AIが引き起こした混乱を修正するのに人間が介在する必要が生じた。/ こうした懸念はあるものの、AI研究は依然として魅力的だ。調査会社ピッチブックのデータによると、AI開発・運営企業に対するベンチャーキャピタル投資は昨年130億ドル近くに増加し、今年も10月までに60億ドルに達した。(Siddharth K記者)(Reuters:https://jp.reuters.com/article/explainer-chatgpt-idJPKBN2SQ0AZ)

判決にAI利用で波紋 「チャットGPT」に疑問の声も―コロンビア 【サンパウロ時事】南米コロンビア北部のカルタヘナの裁判所判事が、人工知能(AI)を組み込み利用者の質問に自動で答えるツール「チャットGPT」を判決文作成に使用し、波紋を広げている。地元各メディアが2日伝えた。同国では訴訟手続きでのIT利用が法で認められている。/ 裁判では、自閉症の子供を持つ親が保険医療サービス企業に対し、治療の自己負担金や手数料などの免除を要請。1月31日の判決は、親側の主張を認めた。この判決を下したフアン・パディジャ判事はメディアに対し、時間節約のためにチャットGPTを利用したことを明かした。/ 判事はチャットGPTに「自閉症の未成年の治療で、手数料は免除されるべきか」「手数料は医療サービスを受ける障害となるか」などと質問。チャットGPTは、法令などの論拠を挙げ「シ(イエス)」と回答したという。/ パディジャ判事は「こうしたツールを使うことが、裁判官の怠慢には当たらない。判決は自律的判断に委ねられる」と強調。その上で「AIは判決の一連の文章を組み立てるのに役立つ」とメリットを説いた。/ 一方、AIに詳しいロサリオ大准教授で弁護士のフアン・グティエレス氏は、パディジャ判事と同様の質問をチャットGPTに行ったところ、別の結論が出たと主張。「チャットGPTは正しくない返答をすることもよくあり、真実と虚構を見分けられない」と信頼性に疑問を呈した上で、「判事に対する早急なデジタル教育が求められている」と警鐘を鳴らした。(時事通信・2023/02/04)(https://www.jiji.com/jc/article?k=2023020400371&g=int)
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もう二十年以上も前になると思う。ゼミ生の一人が「AI 人工知能」に関する卒業論文を提出。ぼくが出した「成績判定は不合格」でした。今から思えば、内容がほとんど他者の著作からの「引用」だったからです。まさしく「AI トーク」だったのです。他人の頭で考えられたものをそっくり自分のものにするということがいいことかどうか、一概には言えません。宗教などのかなりな部分は、「教祖」の「お筆先」のようなもので、それを真に受けるというので信仰が成り立つのでしょう。この「チャットGPT」にも、それに似たところがあります。もっとも似ているのは、チェスや碁・将棋のソフトです。しばしばプロの棋士などとの勝負が話題になります。勝ったり負けたりで、話題には事欠きませんが、それを人間同士がするから面白いのであって、はたしてAI の助けを借りたら、どうなるのでしょう。学生のレポートなどは、実に早い段階から、他人の文章の剽窃が横行していたし、今日では手に負えない勢いでそれが蔓延しているでしょう。大学教育の崩壊です。それを今更どうこう言ってもはじまりませんね。

問題は多岐にわたります。そのいちいちを論(あげつら)うことはしない。要は、人間が人間でなくなる度合いが並外れて大きくなる時代に、ぼくたちは巡り合わせているということ。ぼくの持論で「人間は言葉で(から)出来ている」という口癖があります。その「人間」をそっくり模倣して「AI」が代用してくれるのですから、便利で楽だと言えば、これほどのものはなかったでしょう。ガソリンエンジン車が電気自動車に入れ替わるみたいで、道具の交換のようでもある。もちろん、現下のAI の進展状況を否定するのではありません。ぼくが否定しようがどうしようが、展開するものはその方向へ行くのです。また、何事にも両面というものがあって、利用すべき方面では大いに促進されるべきであるというのは当然です。ただ、これまでも「文明の深化・進化」を閲(けみ)すると、悪い面にも相当な影響が及ぶことは避けられないのを恐れる気もある。自動車は便利な道具です、しかし、それは殺人の凶器にもなる。もちろん、それを用いる「人間」そのものの問題ではありますが。
文明というものが栄えれば栄えるほどに、人類(人間集団)が衰えるのは避けられなかったことは多くの歴史が示しています。知的になるというのは、自分の頭で考えるのではないというそんな時節が到来して久しい。野生や野蛮という「自然性」を失うことが、すなわち「文明人」の資格になるというなら、間違いなしに、世に文明人は溢れることになります。人智(知恵)も人間性(徳性)も具有しないで「人間」であることが可能な時代とも言えるでしょう。ぼくは悲観しているのではない。それが「必然」だと想えばこそ、そこにどの様に入り込むかを愚考するばかりです。昨日、少し触れたヴァレリーが遭遇したのも、このような「人間性の危機」だったと言えるでしょう。「自動運転」自動車に乗り、人工知能でレポート(手紙)を書き、AI を忍ばせて他者と会話する。面白いという段階を通り越して、「人間集団の危機」「人類の危機」にぼくたちは脅迫されているのではないですか。
卒論を書いたK 君には「先見の明」があったのでしょう。逆に言えば、ぼくには予見も予想もできなかったことを、彼は問題にしていたともいえます。その彼は、ただ今は自衛隊の幹部になていると聞いている。パイロットになりたかったので自衛愛に入ったが、身体検査に引っかかり、飛行士を諦め、そのまま幹部候補生になったそうです。その自衛隊も、「ボタン戦争」時代に入っています。まるで時刻を合わせるようにスイッチをおし、殺戮するのが今日的戦争でしょう。AI というもののもっとも活躍する場が、人間性否定や人間存在の価値破壊の現場であるというのは、なんだかとても象徴的ではないでしょうか。「人間の脳細胞」が、ごっそり・そっくり「半導体パネル」に取って代わられる時代、それは徐々にではあれ、かなり進んでいるのではないですか。この先、どういう進み行になるか、ぼくには想像する元気がないのです。人間の知的な面や道徳的な面、あるいは他者に対する尊敬の念の備わった感情というもの、それらが日進月歩の「AI 化」と足並みをそろえて、逆方向に突き進んでいく、つまりは「劣化」「退化」していくさまが、まるで幻燈(スライド)一枚一枚のように、ぼくの網膜にゆっくりと映し出されているのが見えるようです。
時勢の横暴・暴力というものを痛感しています。「人間は空っぽ」だから、外からの命令によって、どんなことでもするのでしょう。(以下の文書出典:https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/330530)

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