花に嵐のたとえもあるぞ

 二日前に鶯(うぐいす)の「初鳴き」がわが耳に届きました。隣の竹林からです。そういえば、本日は「啓蟄」。さまざまな生き物が冬眠から這い出してくる時期という。立春・雨水に次ぐ、今年の三番目の節季です。鶯は冬眠状態からの覚醒だったか、幼子の「初鳴き」だったともいえます。まだまだ未熟な鳴き声でしたが、拙宅のすぐ近くで鳴いてくれるかと、なんだか嬉しくなります。今朝は、雨が降っているので、花粉はあまり飛ばないかもしれません。大いにそれを望みたいね。花粉の飛翔散乱も、いわば年中行事で、まだまだ盛りは過ぎていないようです。(「啓蟄(けいちつ)=二十四節気の一。冬ごもりの虫が地中からはい出るころ。太陽暦で3月6日ごろ」:デジタル大辞泉)

 昨晩は、魔が差したのか、国会の「論戦」ならぬ「八百長試合」を、ネットで見てしまいました。見ていて、当方が恥ずかしくなり情けなくなるような場面の連続に、「死んだ国」というイメージがついて回り、ほとほと困ったほどでした。何のために米国からたくさんの「ガラクタ武器」を買うのか、買わされたのか。まともに答弁できない「堕落政治判断」(米側の、あるいは「脅迫」と一体になっていると言ってもいい)があったことだけが明らかです。トマホークはどうして使うのか、それを何のために買ったのか。総理を始め、担当大臣がその素朴な質問を受け止められない。いや、須らく「質問」ははぐらかしておけばいいのだという「不真面目政治学」があるのかもしれない。この出鱈目な「不謹慎政治学」に毒されているのは政治家も官僚も同じ。アメリカが守ってくれるのは、自らの利益に資する限りにおける「島国の政治権力」であって、この国の国民の生命を守るとは、ゆめゆめ考えられないのです。米軍基地の傍若無人の振る舞いを見れば、そのことは誰にもわかります。

 国を守り、国民の安全と財産を守るといいながら、昨日だったか、石垣島に「ミサイル基地」建設の第一段階が開始され、自衛隊(軍)の車両二百台が配置されたという報道がありました。ミサイル基地があれば、「敵」はまずそこを標的にします。住民が暮らす島に基地を設け、そこが標的にされるのだから、島民の「生命や財産」をどうのように守るか、ほとんど予定していないという「おそ松君」です。ロシアとウクライナの戦闘を見れば、一目瞭然。きっと、毎日のウクライナ情報の垂れ流しは「戦争する国」「戦争できる国」への格好の慣らし運転かもしれないが、指揮を取る「文民」の脳髄には「国を守る」という掛け声だけがこだまし、国民の「生命財産」の守備・防衛は計画に入っていないという「困ったちゃん」ぶりです。原発問題にしても同様で、緊急事故に備えるための住民避難の方策はまったく立てられていない。住人・国民の「権利」を放置・放棄しておいて、守ろうとする「国」というのはなんですか。国防の「国」とはなんのことか。

 米国にとって、この島国は「属国」ですらない。いわば時代遅れになった戦争武器の「ゴミ廃棄・処理場」ですね。それも実に高額を支払わせての取引です。反対に弊国は時代遅れ、型落ちした「戦闘武器」を言い値で買わされ、あろうことか、米軍が廃棄処分をしたもの(偵察機)まで高額で買わされている。基本は「原子炉」のときと同様で、バカ高い言い値で買わされ、保守点検を含めた維持管理能力がないにも関わらず、だからこそ足元を見られ、技術者まるごと、何倍もの利幅を含めて買わされたのです。そのためもあってか、「東芝」は解体され、売却されてしまったのです。

 雌伏何十年、島社会の権力にありついた輩は「米国一辺倒」(ただで無駄金を払わされ続ける意志を示すこと)に自らの「権力維持」の帰趨をかけているのです。権力の座に座っておられるかどうか、それは宗主国(ゴミ処理場の使用主)の一存にかかっている。我が身可愛さに、国益を失い損なうのですから、これを「売国奴(a traitor )」と言わずして、どうしますということです。だからこそ、昔からぼくは、「君たちよ、国を売りたもうことなかれ(Politicians and bureaucrats, don’t sell our country.)」といい続けている。昨夜の「国会八百長論戦」観戦の一幕に、「放送法」改正に絡む政治介入問題がありました。官庁からの「文書」の真偽が定まらないから云々と、奇妙な展開を見せています。以下に引用した「日報抄」に記されているような「政治スキャンダル」になるのかどうか。「文書はねつ造」と色をなす大臣や、文書の中身の正確さ正当性を言い出している総理や担当大臣。文書そのものの存在は認めるが、その内容が正確かどうか調べるという。半ばは文書の存在を認めているのですから、始末に悪い。「食言濫用」という見苦しくも、低劣な政治家・官僚の一部がグルになって、この島国の「国家意思」を簒奪している。危機状況の深刻の度がさらに増しているというほかありません。

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 【日報抄】強いからなのか。弱いからなのか。人は時として感情にシャッターを下ろすことができる。つらいことも切ないことも、人ごとと割り切ってしまえば心に波風を立てずにすむ▼良心や正義感があるから悩むこともある。理想だけを追い求められるとは限らない。いっそ思考を放棄するのも手だ。自分を保つすべの一つと言える。この人は、それがどうしてもできなかったのだろう▼森友学園を巡る公文書の改ざんで、近畿財務局の渦中にいた赤木俊夫さんが自ら命を絶ってから、7日で5年になる。「事実を知る者として責任を取ります」と遺書を残し、命を賭して告発した疑惑は、現在も真相がうやむやだ。政治力で公正な行政がゆがめられた疑いは残ったままだ▼改ざんを指示した当時の財務省理財局長は、国会の証人喚問で「刑事訴追の恐れがある」と答弁拒否を繰り返したが、その後訴追されることはなく、民事訴訟で証言する場もなく今に至る▼人それぞれ、立場に徹しなければならない場面はある。司馬遼太郎は小説「峠」の中で、河井継之助に「人は立場によって生き、立場によって死ぬ。それしかない」と言わせた。継之助がよりどころにした武士道を描いた部分とされる▼「公僕道」なるものもあるだろうか。官僚組織の一員としての立場に徹して口を閉ざす人と、国民全体の奉仕者に徹して事実をつまびらかにしようとする人と。どちらがあるべき姿か。愚問だろうか。ただとにかく、赤木さんには生きていてほしかった。(新潟日報デジタルプラス・2023/03/06)(左写真は日刊ゲンダイデジタル・2020/03/23)

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徒然日乗(126~132)

◯ 2023/03/05・日= 花粉症に攻められています。かなり激しい目の痒(かゆ)みと鼻の炎症が続いている。雨が降ったり、風が吹くような天気だと、花粉の飛散量が幾分は下るのでしょうか、それ程でもない。しかし、時には、家の外よりも中にいる方がひどい症状になることがある。本日も、朝方から曇天で、ほんの僅かではあるが、雨は降ったようです。少しだけ買い物にでかけ、後は家に籠もりきりでした。いい陽気なんでしょうが、花粉症も調子づいている感じがします。おそらく、まだまだ、鬱陶しい気分の状態は続きそう。(徒然日乗・132)

◯ 2023/03/04・土= このところ時間があれば歩きます。本日も朝から快晴で、布団を干したり、車を洗ったりした後で、少し歩く。いつものコースです。自宅脇の雑木林を通り抜け、畑道を歩き、その先のぶどう畑(この経営者は福島の方。震災後に当地で開業。ぼくの授業にも出ていた卒業生の高校の後輩に当たるという。福島出身)、そこを通り過ぎて、畑の続く道を歩く。ここに転居してきて初めて知り合った、この地域の女性(農協勤務)の自宅が、その側にある。拙宅にある「納屋」(今は、「書庫」にして使っている)は、彼女の父親が建てたらしい。さらに先に進んでいくと、いちご園がある。近所の知り合いがいつも茶飲み話に出かけるところ。一、二度、いちごとメロンを買ったと思う。さらにその先に進むと、リゾートホテルがある。広大な敷地を誇っており、その中にはいろいろな施設がある。最近はあまり利用しないので、その変貌ぶりに驚く。ある箇所には今流行りの「グランピング」のテントハウスが数多く作られている。加えて、別荘地として造成され、売り出されたが、永住して人もいる。廃屋寸前になっている住まいも幾つも見られる。この場所に、よく通っていた喫茶店があったが、昨年の夏ごろか、どこかに転居されたらしく、未だに店は閉店のままで、新規営業主を待っている状況だった。あれこれ、途中見物・道草しながら、さらには、何本もある「河津桜」を愛でながら帰宅。一時間半ほども歩いたか。▼ 本日の午前中に、微かに鶯(うぐいす)の初鳴きを耳にした。昨年とほぼ同時期だったのに、大いに驚いた。(徒然日乗・131)

◯ 2023/03/03・金 = 花粉の飛散量がとても多いように感じます。目が痒い、鼻がすっきりしない。これまでで、もっともひどい症状かもしれないと思っています。それでも、時間があったので歩き出しました。近所の梅園に出かけたが、盛りは過ぎたようでした。そこは、リゾートホテルの敷地内で、以前は食事や遊びに出かけたりしましたが、営業の方針が変わったのか、なかなか敷居が高くなったように思われます。長柄町が民間を支援して「ふる里村」なる別荘地を売り出したことから始まった、大造成地でした。今の家に越す前に、この「ふる里村」の土地や家屋をネットでかなり見ました。幾つかの物件に食指が動いたのですが、結局は決断しなかった。今となれば、それは正解だったか。ホテルあり、スポーツ施設あり、アスレチックあり、料亭あり、大温泉ありと、なかなかの盛りだくさん。人混みが嫌いなぼくの性分が幸いしたのか、災いしたのか。そこから十五分ほど離れたところに住んでいる。(徒然日乗・130)

◯ 2023/03/02・木= ♂の先頭を切って、「ひなた」君が去勢手術に入りました。午前中に病院へ。午後に手術、夕方六時前には迎えに行く。一時、雷もなり強い雨風がきたが、すぐに止む。本日が関東地方の「春一番」だという。本格的な春の訪れというのか。猫の手術は二匹目の♂が今月八日の予定。残り2つになりました。びっくりするほどの治療代を払う羽目になったが、なんか可笑しいバカバカしい気もしないでもない。この一ヶ月は、病院通いの連続でした。まだまだ続きそう。(徒然日乗・129))

◯ 2023/03/01・水= 弥生朔日、特別に記念すべき日でもない。あまたある日々の「一日」に過ぎない。しかし、考えようによれば、この島に生きている人間にとって、どんな一日も「歴史の証人」のような日々の連続でもあります。この事いついては、別の場所に綴っているので、これ以上は述べない。十時すぎに「猫の缶詰」購入にいつものスーパーに出かける。水曜日なのに、とても人手が多かったのに驚いたし、気のせいか「老夫婦」がやたら目についた。ぼくのところは、誰かが在宅しないとだめなので、最近はめったに二人で出かけることはなくなったが、老人であることに変わりはない。いつもどおりの品物を買って帰宅。無為に過ごすことは悪いどころか、とてもいいことだとぼくは考えていますが、毎日が代わり映えのしない日を送っていると、今日も明日も、昨日も一昨日も、まったくなんの変化もないことに、我ながら驚くのである。昨日はこれ本日の春うらら(無骨)(徒然日乗・128)

◯ 2023/02/28・火 = 如月(きさらぎ)も晦日(みそか)です。十一時頃に、京都在住の友人が、館山から拙宅に来た。都内にあった要件を済ませて、館山の友人宅に宿泊し、その途次に寄った。四年ぶりだろうか。元気だと言えば元気だったが、いつものように「いつまでも生きていられない」というような、言っても始まらぬことを呟いていた。ぼくには答えるすべもないので黙っていた。なんだか、人生にはキタイすべきものがあり、それを果たしたら、後は死期をまつばかりという塩梅なのが、奇妙でもあり、不思議なことだとぼくには思われた。同年齢で、若い頃はかなり行動派だったと、ぼくは感じていたし、今は年相応に衰えていると、自分を横に置きながら、よしなし事を思ったりしていた。(徒然日乗・127)

◯ 2023/02/27・月 = 十時すぎから、一時間ほどウォーキング。杉や檜の花粉が見事に繁茂している林を通り抜ける、その花粉飛散の真下や真横を通るだけで、鼻も目も工合が悪くなりそう。でも、そんな中でもきっと数本の桜が蕾(つぼみ)を開いて明るい雰囲気を醸しているのを観ると、これこそ、田舎の辺鄙のありがたさと、なんだか嬉しそうになる。気温も高くなり、いよいよ冬も遠ざかったという雰囲気が肌で感じられる。約70分、ほぼ1万歩。マスクをしながらのウォーキングも慣れると問題はない。歩けるときに歩く。ぼくの姿勢は、なんでもかんでも、どんな事があっても「やりぬくぞ」という根性は持ち合わせていない。まあ、惰弱なんですな。この時期は、あちこちで目にする木々の華やぎがありがたい。桜もかなりの数が見られるし、幸いなことに、それに見惚れる人(群衆)はいないから、心ゆくまで堪能できるのは、不便の「代償」としては最高だと言いたい。▼猫の病院運びがなかなかはかどらない。すっかり警戒して、明るいうちは家に入らないし、なかには夜も車庫などで寝る始末。急ぎはしないけれど、いい加減にしてほしいねと、いささか頭にきています。そのくせ、食餌だけは抜かさないのだから、人間並みの知恵はあるんだと恨めしく思う。(徒然日乗・126)

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投稿者:

dogen3

 毎朝の洗顔や朝食を欠かさないように、飽きもせず「駄文」を書き殴っている。「惰性で書く文」だから「惰文」でもあります。人並みに「定見」や「持説」があるわけでもない。思いつく儘に、ある種の感情を言葉に置き換えているだけ。だから、これは文章でも表現でもなく、手近の「食材」を、生(なま)ではないにしても、あまり変わりばえしないままで「提供」するような乱雑文である。生臭かったり、生煮えであったり。つまりは、不躾(ぶしつけ)なことに「調理(推敲)」されてはいないのだ。言い換えるなら、「不調法」ですね。▲ ある時期までは、当たり前に「後生(後から生まれた)」だったのに、いつの間にか「先生(先に生まれた)」のような年格好になって、当方に見えてきたのは、「やんぬるかな(「已矣哉」)、(どなたにも、ぼくは)及びがたし」という「落第生」の特権とでもいうべき、一つの、ささやかな覚悟である。(2023/05/24)