
【斜面】花々が歌をうたう不思議で平和な町にある日突然、「戦争」がやってきた。とげのある硬い雑草を植えてゆく。光が失われて、優しい花は枯れていった。仲良しの3人が出てゆくように頼んだが、「戦争」は火花を散らして石を投げた◆傷ついた3人は石やクギを投げ返す。相手の心臓も狙った。けれど、無駄だった。〈なぜなら、戦争には心も心臓もないからです〉。町から人が消えていった=「戦争が町にやってくる」(ロマナ・ロマニーシン、アンドリー・レシヴ作、金原瑞人訳)◆ウクライナで活動する作家の絵本だ。2014年のロシアによるクリミア併合と東部の武力紛争の翌年、戦争について親子が話す契機に―と出版した。その7年後に大規模侵攻が始まり、あすで1年。親子はさらに涙を流し恐怖に慣れることで辛うじて精神を保っている。幼い心にも憎しみの黒い草が根を下ろす◆昨年12月に東部の激戦地を取材したAFP通信の動画が地下室で暮らす14歳の少年の声を伝えている。「将来は考えない」「願いは外へ散歩に行くこと」。人生の未来は語られない。ボランティアは「この子たちはもう大人になってしまった」と嘆いた◆絵本では「戦争」がとけて消え、平和が来た。でも全ては元に戻せない…。悲しい事実を教えている。現実の政治指導者は1年を戦った今でも石を投げ合って、戦争そのものと戦おうとしない。子どもは大人にされ、大人が子どものように振る舞っている。(信濃毎日新聞・2023/2/23)(ヘッダー写真は「ガーデニングの図鑑」:https://shiny-garden.com/post-20286/)(「ひなげしの花」です。別名は「虞美人草」)
要衝「バフムト」だと、戦争専門家はいう。この地の争奪戦は日増しに強くなっている。地下室暮らしの「子どもたち」や、その他の人々は無事だろうか。とても胸が痛む。昨日のコラムです。大事な情報があったとぼくは考えたので、本日に回しました。戦争(侵略)開始から一年。毎日毎日、ミサイルや砲弾の嵐がウクライナ全土を襲っています。それを、当事国以外の諸国・諸国民はどうするこもできないままで、拱手傍観していたのではないでしょう。ウクライナを援助する側がいれば、ロシアに救いの手を伸べる国々もある。「戦争は悪だ」ということを知りつつ、敵と味方に分かれて、結局は「世界の覇権を争う」ことに終止しているのでしょう。敵味方入り乱れての「人殺し合戦」、その意味は、「昨日の敵は今日の友」であり、「今日の敵は昨日の友」ということで、「正義がどこにあるか」という問題などではなく、要するに、地の利、いや「漁夫の利」を占めるための土地(他国領土)の争奪戦であり、「人を殺し、町を破壊する」だけでは足りなかったのか。無辜の民、数千数万が「殺戮されている」のです。

AFPの動画に、静かな怒りを子どもが語る口調から感じさせられました。「子どもは未来だ」と、ぼくたちは何のためらいもなく想定している、でも、その未来に蓋をされている状況に生きているのは子どもではなく、「大人」だというに等しい。具体的な個々人をさして言うのではなく、大人も子どもも一種の符号でしかない在り様を示しているのでしょうが、戦争に潰された未来、その意味では大人も子どもも選ぶところはありません。だから、ぼくがいうのは、戦争を仕掛ける側、その命令を受けて人民を殺す人々(兵士)、それに対峙し、防衛戦を戦う側と、そのために戦列に加えられ、あろうことが、敵側の砲弾の犠牲になる人々。誰が「戦争」を初めたのか、それは一目瞭然です。でも、あからさまな戦争犯罪人を野放しにしたままで、あろうことかそれを援助する国々が少なからずあるという、世界の現状の荒廃の状態を、ぼくは見てしまう。
*「戦争で『大人になってしまった』子どもたち」 :https://www.afpbb.com/articles/-/3446473?cx_part=search.(AFP・2023年1月11日 )
「常に付きまとう不安」 バフムートでは、親が市外に脱出できなかったり避難を拒んだりしている子どもが数十人、あるいは数百人、市内に残っているとみられる。/ 学校の地下にシェルターを設置した団体でボランティアとして活動するカテリーナ・ソルダトワさん(32)は「この子たちはもう大人になってしまった」と言う。/ シェルターへの道のりは非常に危険で、最近も移動途中だった民間人2人が死亡した。だが、子どもたちにとっては重要な場所となっている。ウォロディミル君(12)はAFPに、食事のために家に帰る時以外はこのシェルターで過ごすと語った。/ NGO「SOS子どもの村(SOS Children’s Villages)」ウクライナ支部に勤務する心理学者アリョーナ・ルキヤンチュクさんは、バフムートの子どもたちは「常に付きまとう不安」を感じていると強調。「世界にいつ裏切られるか分からない。すべてが一瞬で破壊される可能性がある」と説明した。/ルキヤンチュクさんによると、親が「生き延びることに集中」しているため、子どもたちは絶え間ないストレスに対処するすべを学ばなければならず、集中力や認知能力に長期的な障害が生じる恐れがあるという。(以下略)/ 映像は2022年12月に撮影。(c)AFP/Cécile FEUILLATRE(AFP・2023/01/11)

「戦争が町にやってくる」、その時、世界は油断していたのか。あるいは遠い他国のことだと等閑視していたのだ。クリミアをロシアが占領する時(2014年)、ウクライナも、実は、はげしくは抵抗しなかった。どうしてだったか。もともとロシアの領土だったからというのだったか。ぼくはその「侵略時」「戦時」の光景(世界の沈黙)に大きな違和感をいだき、恐怖を感じたのでした。誰もなにもしないのはどうしてか。「占領」がなった段階で、幾つかの取り決め文書が交わされたが、紙くずになっていった。ロシアは最初からウクライナを併呑することを狙っていた。だから、野生の狼でもあるプーチンに、クリミアという庭先を貸し与えるような「仲介」は致命傷となったのでした。「軒を貸して母屋を取られる」のたとえ通りに、プーチンは侵略・併合の道を突き進んだのだった。クリミア占領の際には、外野から邪魔(妨害)が入らなかったから、いい気になって「ウクライナ侵略」にかかったのが今回の戦争だった。二、三日で終わる・終わらせるという盗人猛々しい「魂胆」が許しがたい。
++++++【版元より】ウクライナの作家が子どもたちに向けて描いた平和と戦争の絵本。/ 美しい町・ロンドで、人びとは花を育て、変わった家を建て、鳥や草木に話しかけながら楽しく暮らしていました。ところがある日とつぜん「戦争」がやってきたのです。「戦争」を知らない町の人びとはおろおろするばかり。町を愛するダーンカ、ジールカ、ファビヤンの3人は、知恵と能力のすべてを使い、ロンドを暗闇から救い出そうとします。
ロマナ・ロマニーシン(ろまなろまにーしん)・アンドリー・レシヴ(あんどりーれしぶ)絵本作家、アーティスト。共に1984年生まれ。ウクライナのリヴィウを拠点に活動する。リヴィウ国立美術大学を卒業。アートスタジオAgrafka主宰。2011年、ブラチスラバ世界絵本原画展(BIB)で出版社賞を受賞。本作は2015年に刊行され、ボローニャ・ラガッツィ賞を受賞し、世界15言語に翻訳出版されている。2017年BIB世界絵本原画展金牌を受賞した『目で見てかんじて 世界がみえてくる絵本』、2018年ボローニャ・ラガッツィ賞受賞の『うるさく、しずかに、ひそひそと 音がきこえてくる絵本』(共に、広松由希子訳 河出書房新社)など、世界が注目する新進気鋭のユニット。(https://www.folkbookstore.com/?pid=168867212)++++++

このロシアの仕掛けた戦争が何時終わるのか。更に続くという予想が圧倒的です。そうかもしれないし、そうでもないかもわからない。いずれにしても「無謀な」「大儀なき」「侵略」は、仕掛けた側が止めるほかないでしょう。情報は錯綜しているけれども、必ず終わるということだけは明らかです。そこまで、はたして一人ひとりの「いのち」が無事であるかどうか、それだけをぼくは祈る。これは、少し前にも触れたことですが、この島のマスコミ、ミニコミ含めて、「戦争の行方」を語り、「戦術・戦略」の解説に終始しているのはなぜか。戦争のシュミレーションを、これでもかというぐらいに報道する値打ちはゼロではないにしても、あまり褒められもしないのだ。どうすれば「和平」「停戦」「終戦」に進むことができるか、そのためには誰が何をどうするのか、それをこそ語り尽くしてほしいし、そのプログラムに、劣島の住民の参加しうる余地があることを示せないものかと、ぼくは訝るばかりです。

「核の脅し」を多用する「 P」 は「追い詰められている」のだ、もはや「狂気の舞台」から降りる・降ろす段階に来ていると、素人は「期待半分、確信半分」で考えている。いまの状態は「図体のでかい北朝鮮」でしかない。正体見たり「枯れ尾花」というではないか。弱い上に愚かだった「P」いう「空無な存在」でした。戦車や戦闘機で「平和」が来るものか、と誰もが知っている。よしんば「勝利」があったとしても、それが「武器によってもたらされた」のなら、直ちに時代は「戦前」です。この島の痴愚政治家は「戦争する国」「戦争できる国」を目指している。今では「戦闘武器」の輸出も目論んでいる。目論んでいる人間こそが「戦場に赴く」という法律を作って欲しい、そんな連中が戦場に出ることで、もはや敵対国は「不戦勝」を確信するでしょう。
どんなに長く続いた「戦争」も必ず終りが来る。戦争は終わるだろうが、死んだ人は生き返らず、壊された心は回復しない。それは人間性を破壊する、途方もない蛮行だからだ。傷つけられた記憶は「消えない」もの。それは歴史になるからです。
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