“手品”のような配達の速さにはいつも驚く

 【水や空】ネットで買わない理由 昨日の夕方、試しに「注文」をクリックする一歩手前まで買い物を進めてみた。「お急ぎ便でのお届け予定」に示されたのは翌々日の夕方。長崎は言わずと知れた日本の西端だ。“手品”のような配達の速さにはいつも驚く▲ネット書店か、リアルの本屋さんか-は、しばしば読書好きの論争を呼ぶテーマだ。基本的には「リアル派」の筆者だが、例えば、店の棚から引っ込んでしまった雑誌のバックナンバーを手に入れたい、と考えた時には手軽なネットに軍配が上がる▲報道部の同僚G記者はもう少し筋金の入ったリアル書店派だ。できるだけ地元の店を応援したいから、という気持ちが一つ。もう一つの理由は「運ぶ人の負担をどうしても考えてしまうから」なのだという▲書籍に限らず、注文した品物がほんの数日で玄関先まで配達されるネット通販はとても便利だ。でも「自分のためだけに流通の経路を増やしてしまうことには、どうしても抵抗が」とG君▲ネット通販大手アマゾンジャパンの荷物を長崎市などで配達するドライバー15人が「労働組合」を結成した。実態に即した労働関係法令の適用や労働時間管理の適正化などを求めている▲“手品”を最終的に支えているのが、種や仕掛けの利かない配達員さんの手であるという現実を改めて考える。(智)(長崎新聞・2022/09/07)

 アマゾン配達員が労組結成 長崎で全国2例目 業務委託契約も「実態は労働者」 インターネット通販大手アマゾンジャパン(東京)の荷物を長崎市などで配達するドライバー15人が、労働組合「東京ユニオン・アマゾン配達員組合長崎支部」を結成し5日、県庁で記者会見した。アマゾンと下請けの2社に、労働関係法令の適用や適正な労働時間管理などを求めていく。結成は4日付で、6月の神奈川県横須賀市に続き2例目。/ 労組の弁護士によると、配達員はアマゾンの下請け企業と業務委託契約を結び、個人事業主として働く。しかし、アマゾンがアプリを通じて荷物の個数や配送先の指示を送り、労働時間も管理されるなど「実態としては労働基準法上の労働者」と主張している。/ 会見で組合員らは、自己負担のガソリン代が他地域より高いことや、車が入れない細い道や坂道が多いなど、本県特有の事情への配慮がない点も問題とした。/ 全国ユニオンは11日午前10時~午後8時、アマゾンなどの配達員を対象にした電話労働相談をする。配達ドライバーホットライン(電050.5808.9835)。(長崎新聞・2022/09/06)

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 ぼくはネット通販の利用者だ。中でもアマゾンでの購入がもっとも多い。週に数回は、狭い山道を配達車がやってきます。こんな辺鄙なところにまでと、気の毒で、申し訳ないという思いと、「いつもありがとう」と感謝しつつ、利用せざるをえない環境にあることを認めながら、でも、コラム氏の同僚のような「思いやり」は持たない。いろいろと理屈はありますが、通販のありがたさを痛感しているからです。配達に際して、ぼくがもっとも心がけているのは、「再配達」は可能な限りで避けるという点です。この山間地に来て十年近く、頻繁にネット通販を利用していますが、再配達はまずありません、一度だって。もちろん、配達時間帯に用事で出かけることもありますから、予め、事前に連絡して配達される人の都合のいい日時や時間帯を確認するのです。二度手間が配達員の負担だけにしかならないことを、経験上から知っているのです。もちろん、「自分のためだけに流通の経路を増やしてしまうことには、どうしても抵抗が」ということは否定できない。しかし、それ以上に生活の必要上、この機能・仕組み(通販)を使うのです。配達員の労働条件がかなり厳しいものだということは知っています。だから、「頼まない」となると、それは本末転倒というか、「むしろ、たくさん頼む」方向にぼくは傾くのです。配達システムの問題や労働条件は「企業・経営の問題」であって、利用者にその解決策を求めるたぐいのものではないでしょう。

 今はそれほどでもありませんが、以前(街中に住んでいた頃)も、相当に書籍は通販で購入していました。ぼくが読む(求める)ものは、まず街の書店では扱っていない。それはほとんどが古書に属するものであったり、輸入書である場合がほとんどでしたから、必然的に「ネット通販」を使うということでした。今日は郵便局でも書籍を扱いやすくなりました。古書店ごとの判断で、いろいろな配送媒体が使われていると思われます。「自分のためだけに郵便配達員の労力を増やす」という思考は、ぼくにはありません。「配達していただき、ありがとう」という感謝の念は、口に出して言うことにしていますし(配達時に出逢えば)、配達することが局員の仕事、要は「労働条件」その他の問題の解決は、利用者側に求められるものではないと言えませんか。「便利」だから、「廉価」だから、と新たな「商法」「商品」に飛びつく人間ではないと考えています。必要に迫られて、それが現実です。店も何もない山間の住人には、都会地の人には考えられない「障害」「障壁」が、日常の明け暮れにはありますし、それを承知でそこに住んでいる。敢えて言えば、不便です。不便は、ある意味では、自分でしおおせる部分が多くなるということです。ネット通販は、そんな僻地の住民にとって「生活上の血液」に相当します。 

 労働者の待遇については、経営側の「阿漕(あこぎ)」な儲け主義が一番のネックになっているでしょう。この三十年、会社員の給料は、ほとんど上がらず、逆に企業側は「内部留保」という財産(タンス預金)をためこんでいます。労働の対価に投資するのではなく、ひたすら「溜め込む」という脳のない儲け主義は、「労働」というものを尊重しない態度ばかりを増長させてきたのです。何に投資をしていいか判断できない企業経営者は無能としか言えません。働く人の給料をあげないような「リアル書店派」を持ち上げるような姿勢は、さらにこの島社会の「貧しさ」を確実に進めていくことになります「資本主義」経済の問題は、語りだせば問題だらけ、この狭い場所で扱うのは適当ではありませんので、ここまでにします。

 国内に限定されない経済社会の進展が、旧来の問題を置き去りに、新たな課題を生み出しているということでしょう。非正規労働者の雇用を守る、あるいは労働環境改善や賃金問題をいい方向に変えてゆくにはいくつものバリアーがあります。それを一つずつ克服していくことが、労働というものの価値を、人間にふさわしいものにする道でもあると思う。ネットで注文すると配達員に負担がかかる、だから、それに代わって、リアル商店でものを購入する、それも一つの消費の方法です。ネットで物を買うのも、時には好みの問題でもありますし、選択の余地のない、購入方法だとみる消費者も大勢いる(ぼくもそのひとり)。現実の「配達企業群」はこの先後退するとは思われません。先の展望を、いかにして「ネット通販」においても開くことができるか、それが喫緊の課題だと思いませんか。

 今後は、一層ネット環境が賑やかになるし、ネット通販が消費媒体の不可欠な方法になりつつあります。労働条件を改善するための組合結成、それは当然の権利であり、現実的な問題克服の方法でもあります。組合の結成と、それ以降の活躍の内容をていねいに見ていくつもりです。(ぼくは、その昔、全国の私立大学教員組合の代表をしたことがあり、その関係で、手に負えない大学経営者と「渡り合う」ということを何度もしてきました。いきなり「解雇」を言い渡され、その不当な労働行為に真正面から立ち向かい、地位回復を遂げたことが何例もありました。自慢話ではなく、働く人の権利を守るためには、同じ労働に従事する人間は、なおさらそのために時間と労力を割く必要があると言いたいのです)

 ネット通販(に限りません)には落とし穴がいくつもあります。「本物(本体)」を名乗って、詐欺を働くなど、じつに多様かつ巧妙な「犯罪行為」が蔓延しています。ぼくのところにも、怪しいのが時々来ます。その多くはメールを通してですが、ぼくは、ほとんどは「無視」します。何度も来ますけれども、「無視」で一貫。詐欺や窃盗まがいの商売がクマなく網の目を貼るのも「ネット時代」、この先にどんな状況が来るのかわかりません。しかし、生活をより良くするための環境だと考えれば、道路が舗装されたり、飲料水が井戸から水道に変わるのと同じような、いろいろな観点から「生活改善」に資するための手段であり、方法だという、その視点(観点)をなくしたくないものです。労働や労働者が「軽視」されたり、「無視」される事態には断固として抗議し、その利益を守るための支援は惜しまない覚悟はいつでも持っている。

 (「ネット通販大手アマゾンジャパンの荷物を長崎市などで配達するドライバー15人が「労働組合」を結成した」という報道ですから、注文した個人宅への配達員とは異なる事例(職種)であるのは承知しています。しかし、宅配便の配達員の劣悪かつ過酷な労働条件に関しても、同じような問題(課題)があると思われたので、敢えて区別しないで、駄文を書きました)

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