男と女が試合をする時代は遠くないようだ 

 <あのころ>長嶋が4三振デビュー 金田投手にキリキリ舞い 1958(昭和33)年4月5日、巨人・長嶋茂雄三塁手がプロ野球デビュー戦で金田正一投手(国鉄)の剛速球に4打席4三振のキリキリ舞い。東京6大学野球で8本の通算本塁打記録を打ち立て、立大から鳴り物入りでプロ入りした。オープン戦では好成績を残し3番での起用だった。(共同通信・2022/4/5 08:00)

 どんな分野にしろ、ある時期に達成された記録(いいものも、悪いものも含めて)は、かならず後世において破られ・塗り替えられます。「前人未踏」というのは、そのために使われる常套句でしょう。二枚の写真(上と下)を出しました。特別の関心があってのことではなく、また野球の世界がどんな状況になっているのか、まったくわかりません。しかし、「長嶋茂雄」「金田正一」という稀有の野球人の初対決は、今もなお「語り草」になっています。どうした拍子か、ぼくはまだ小学生だったと思いますが、長島さんが東京六大学野球の最後のシーズンで「本塁打新記録八号(当時)」となる打球を神宮球場のスタンドに入れた瞬間を、京都の田舎にあって、友だちと遊びながら、ラジオの実況で聴いていました。「長島」という人がだれで、「東京六大学野球」がどんなものか、そんなことはまったく知らないで、「新記録達成!」と叫んでいたアナウンサーの声を、今なお耳の底から聴きだすことができるのです。後年、一度だけでしたが、後楽園球場で「金田 vs 長島」を観覧したことがあります。デヴュー戦以来、十年は過ぎていたでしょうか。その時もまるで赤子の手を捻(ひね)るように、金田さんは「(後の)ミスタープロ野球」を料理していました。(上の写真の観客席最前列、左から二人目、帽子をかぶっているのは元K総理と、その右隣りは売新聞社社主S力氏、商務省官僚と警察官僚の関係やいかに。その他の面々もまた、野球愛好者だったか)(ヘッダー写真は読売新聞・2022/04/10)

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佐々木朗が完全試合 ガッツポーズの佐々木(下の写真) オリックス戦で史上16人目の完全試合を達成したプロ野球ロッテの佐々木朗希投手。13者連続奪三振の新記録も樹立した=10日、ZOZOマリンスタジアム(共同通信・2022.4.10 17:35 )

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 それから六十五年後、若干二十歳の「若武者」が途轍もない記録を達成したというニュースに、暗い気持ちの日々が続いていただけに狂喜(それは嘘で)、いや少しは「すごい投手だな」と驚きました。とっさに浮かんだのは、彼を指導した「コーチ」は誰だったかということでした。ぼくの記憶が間違っていなければ、Tという「元投手」だと思う。現役時代に、抜群の記録を残した選手ではなくとも、選手を育てる、いわゆる「教育者・指導者」として優れている人はいるものです。「千里の馬はあれども一人の伯楽は無し」という古言が大好きでした。千里を走る馬はもちろん名馬というのでしょう。そして、そんな名馬も世にはいくらもいるでしょうが、その才能を見抜き、育てられる「伯楽」はまずいないものだ、と。「名馬」は「伯楽」によって見いだされ、育てられるのです。「伯楽」とは伝説の人で、馬に関する比類なき目利きであったとされる。育てるより、壊す方が得意な「迷伯楽」は、世に腐るほどいるんですがね。

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〇 はく‐らく【伯楽】[1][一] 古く中国の星の名。天馬を守る神という。※俳諧・類船集(1676)波「(ハクラク)〈略〉伯楽は天の星の名也と古文の注には出たり」 〔星経〕[二] 「荘子‐馬蹄」などに見える、中国春秋時代にいた馬を見分ける名人。姓は孫、名は陽で、秦の穆公に仕えたという。※蕉堅藁(1403)題画「千里雄姿、未覊。伯楽、識者為誰」 〔愈‐雑説〕[2] 〘名〙① よく馬の良否を見分ける者。また、馬や牛の病気をなおす者。博労(ばくろう)。〔伊京集(室町)〕② 転じて、人物を見ぬく眼力のある人。(精選版日本国語大辞典)

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 どんな記録も、かならず破られます。佐々木選手の(驚嘆すべき)「完全試合」も、内容においてもそれを凌ぐ「記録」は、この先、誰かによって作られるのでしょう。それまでは、彼の偉業は「空前絶後」と称賛されるのです。破られるための記録は、それまではいつでも「空前絶後」「前人未踏」なんですね。別の視点からむれば、それはまだまだ人間は「未熟」段階にある証拠だと、ぼくは見ています。もう一つ、ぼくは奇妙な確信を持っています。マラソン(に限らないでしょうが)の新記録は、きっと女性が打ち立てるであろうという「異説・非常識」です。男女が同じレースを走り、女性が男性を余裕をもって記録面で破ることは、今だっていくらもあるのです。今日、多くの分野で、女性は男性を凌ぐ活動をされています。それが可能となったのは、男性優位社会において、女性は、相当長期間にわたり「未解放状態」に留められていた時代が破綻をきたしてきたからです。もちろん、マラソン(一例)で男性に先んじる記録が作られるのは、この先数年ということはあり得ませんが(何世紀もかかるかもしれない)、やがて「アマゾネス到来」となるのでしょうか。楽しみかどうか、それはよくわかりません。その時代には、ぼくは存在していません。

 これとは裏腹に、今次のウクライナ侵略で、ロシア軍があらゆる「悪逆」「非道」を日に新たに展開しています。こんな惨(むご)いことは、この先、どんな「悪鬼」も思いつかないだろうと、ぼくたちに教えたと思われたのは「ナチのホロコースト」でしたが、そこから何年もたたずして、悪逆の新手法が展開されています。(ロ軍が「化学兵器」を使ったという情報が出て来ました)それを前にして、ぼくたちは「前代未聞」という語を使ってきました。新奇な事態が生み出されるまでは、なんだって「前代未聞」だと言われているのです。この後、さらに明らかになるロ軍の「残虐性」もまた、それは、まだまだ、人類史の「悪(破壊)における未熟状態」を明らかにした(そんなことはいささかも望まなかったのに)ことになるのでしょう。空前にして絶後、前代未聞などという言葉を、「あざ笑う」ような、忌まわしい「殺戮史の新段階」をロシアは歩んでいます。悲しみと怒りを交えて、激しく抗議したく、同時に、「停戦」の一刻も早からんことをも祈るのです。

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投稿者:

dogen3

 語るに足る「自分」があるとは思わない。この駄文集積を読んでくだされば、「その程度の人間」なのだと了解されるでしょう。ないものをあるとは言わない、あるものはないとは言わない(つもり)。「正味」「正体」は偽れないという確信は、自分に対しても他人に対しても持ってきたと思う。「あんな人」「こんな人」と思って、外れたことがあまりないと言っておきます。その根拠は、人間というのは賢くもあり愚かでもあるという「度合い」の存在ですから。愚かだけ、賢明だけ、そんな「人品」、これまでどこにもいなかったし、今だっていないと経験から学んできた。どなたにしても、その差は「大同小異」「五十歩百歩」だという直観がありますね、ぼくには。立派な人というのは「困っている人を見過ごしにできない」、そんな惻隠の情に動かされる人ではないですか。この歳になっても、そんな人間に、なりたくて仕方がないのです。本当に憧れますね。(2023/02/03)