ウクライナを根こそぎ「浄化」したいという宿望

 【日報抄】まかり間違えば欧州全土を危険にさらす暴挙である。ロシア軍は侵攻先のウクライナ南部にある欧州最大級の原発を砲撃した。中枢ではない施設を狙ったとしても原子炉への誤爆や誘爆の可能性もある。大量の放射性物質が漏れ出せば、核兵器と同様に深刻な放射能汚染を引き起こす
▼侵攻後のプーチン大統領は核の使用をほのめかすような発言を続けてきた。今回の事態は実際の行動を伴っており、いざとなればためらわずに核兵器を使うという脅しを、さらにエスカレートさせたようにも映る
▼軍事行動が思うように進まず、いらだちからの強硬姿勢とみる向きもあるかもしれないが、核をもてあそんでいると言わざるを得ない。核兵器の使用や原発の過酷事故がもたらす惨禍は、あまりに重い
▼東日本大震災の際、電源を喪失した東京電力福島第1原発から放射性物質が拡散した事故の記憶は依然として生々しい。あれから間もなく11年。あの時は巨大津波という自然現象がきっかけだったが、今回は人間が発射した砲弾によって原発が危機にさらされた
▼テロリストの侵入やミサイル攻撃によるリスクはこれまでも度々指摘されてきた。ただ、日本国内の原発は自然災害に対する備えは強化してきたが、外部からの物理的な攻撃に対しては甚大な被害が見込まれる
▼頭では理解していたつもりだったが、こうしたリスクが存在することをいや応なく実感させられた。原発と隣り合って暮らす本県にとっては、決して人ごととは言えない。(新潟日報・2022/03/05] 

 今回のウクライナ侵攻が始まった段階で、ぼくは「プーチンの戦争」という表現を使って、彼自身が長年思い描いてきた「旧ソ連時代」への回帰という「夢想」の実現の道筋を読もうとしました。そのためには、どうしてもウクライナを屈服させ、ロシアの領土とするほかないと決断していたのです。素人目からしても、このような「野望」に諸手を挙げて賛成する「取り巻き(飾り雛)」はいなかったと思われます。ウクライナへの「侵攻」であろうが、領土を「占拠」しようが、「取り巻き」にはそれほどの利害関係もなかったとみています。彼らは、今の、その地位を失いたくないために、いかにも「首領」の足下にひれ伏しているだけなのです。そんな事例はこれまでにも腐るほどあったし、いまでも、いたるところに転がっています。時代が過ぎれば、諸々の細かい事情は忘れられて、自らの占めていた「地位」が輝くことを夢見ているのでしょう。着けて喜びたい「勲章主義者」ですよ。

 「日報抄」の言わんとすることに異論はありませんが、いかにも「ずるいな」と、ぼくが言いたいことが一つ、二つあります。「中枢ではない施設を狙ったとしても原子炉への誤爆や誘爆の可能性もある」と言われますが、プーチンは広島や長崎の「再現」を狙っているとみているのか。いかに「狂った大統領」「孤独な独裁者」でも、核爆弾投下後の「世界」がいかなるものか、それを想定できないような「痴呆」ではないでしょう。描いているからこそ、「核使用の準備」体制を命じたのです。もちろん、この「核」は小規模(と言えども、「核」であることに変わりはありませんから、それを使うことすら、断じて認めてはならないこと)で、いわゆる「戦術的核」とされるものであることは間違いなさそうです。無人の荒野に、脅しのためにぶち込むことは考えられます。「核」は扱い注意ですね。

 ウクライナを「EU」に入れたくないために、今次の「侵攻」が強行されたのですから、EU体制そのものをよく思っていないことは事実です。だから、そのうちのどこかに「核」を投下するかといえば、そんなことはありえません。いわゆる「戦略的核」の使用は自殺行為です。彼がそれをあえて強行するとは、素人のぼくには想定できもしません。「戦略核」は持っていることに意味があるのを証明してきたのが「冷戦時代」の「核開発競争」ではなかったでしょうか。「核保有」の示す政治的・軍事的意味がここにあるのです。「プーチンの戦争」ですから、彼は「その戦後」を、当然思い描いています。これまでの彼の言辞から、簡単にそれがどこにあるかがわかります。旧ソ連時代のような「大ロシア」の「支配者」足らんとしていると言えます。彼個人の「夢想」に、想像を絶する惨禍と未曽有の犠牲が伴うのを容認することは、一人の人間としては断じて認められない、それは許されざる蛮行です。ロシア国内の反プーチン勢力の声は日増しに大きく強くなるでしょうし、だから、より一層暴力を持って抑圧し、弾圧する羽目になるのです。この連鎖の悪循環はプーチンの自滅につながる(ことを希望しています)。

 第二に、コラム氏がシレっと書いているのが「東日本大震災の際、電源を喪失した東京電力福島第1原発から放射性物質が拡散した事故の記憶は依然として生々しい。あれから間もなく11年。あの時は巨大津波という自然現象がきっかけだったが、今回は人間が発射した砲弾によって原発が危機にさらされた」という部分です。そうでしょうか、「原子炉爆発」は「巨大津波という自然現象がきっかけだった」のでしょうか。東電は今でもそういう主張はしていますが、多くの物的な証拠類は「大地震の振動」が原因で原子炉のある個所が破壊され、炉心溶融が生じたことを示しています。地震の巣窟のような「列島」にある発電所は、どこでも「地震から受ける危険性」を否定できないままで、世間をごまかし、だまして、ここまで来たのです。津波の来る前に、既に原子炉は爆発(寸前)状態にあったのです。爆発の原因は「津波」か「地震」か、ではないでしょう。こんなところに、この新聞社の立場が顔を見せているのではないでしょうか。

 武力侵攻で、このまま行けばウクライナは、まちがいなく制圧(占拠)されるでしょう。「クリミア状態」の再現です。しかし、経済的・政治的に、いったいどうやって、プーチンは「戦後」を生きながらえられるのでしょうか。すでに、彼の有力な支持者(富豪)(オルガルヒ)の何人かは、権力者から離れたがっています。「ソ連崩壊」後にプーチンと組んで、私財を山のように築いてきた「刎頸の友」たちは、新たな「戦後」を生き延びるために、現権力者からの距離を取り出しています。そのうちの一人は、「侵攻」の八日前に、所有していた大量の「株式」を売り抜けているという話がありました。多かれ少なかれ、富豪集団の幾許かは、今わの際にも「金儲け」をしているのです。もちろん、大統領も例外ではありません。経済的に締め付けられて、当然のこととして「ロシアのデフォルト」は、すでに計算されています(織り込み済み)。つい先ほど(お昼前)、欧州委員会委員長の「演説」(3月2日)で、「ヨーロッパに戦争が戻ってきた」「ロシアは厳しい道を歩くが、我々も、返り血を浴びる」という趣旨の発言をしていました。(https://www.youtube.com/watch?v=OmsDFPt9yZ0)EUのメンバーではありませんが、この島社会も例外ではありません。 

IIIIIII

relates to オリガルヒ時代の終焉近づく、プーチン大統領のウクライナ誤算で

 オリガルヒ時代の終焉近づく、プーチン大統領のウクライナ誤算で (略)プーチン氏を追い込む上で最も有効なのは、米国やEUなどが今回始めたようにロシア新興財閥(オリガルヒ)を標的にすることだとブラウダー氏(左写真 ロシア最大の外国人投資家だった)は指摘する。ブラウダー氏は05年に「国家安全保障への脅威」とされ、ロシアから国外追放処分となった。/ クレムリンの後押しで財を成したオリガルヒへ(写真右下)の制裁はプーチン氏を動揺させたようだ。大統領は西側を「うその帝国だ」と非難し、核戦力の特別警戒態勢を命じた。

 「われわれは彼のアキレス腱(けん)を見つけた」とブラウダー氏は指摘。「オリガルヒへの制裁後、彼は核戦争の警告に踏み切った」と話した。/ 金融業界の富豪であるミハイル・フリードマン氏とピョートル・アベン氏はブルームバーグ・ニュースへの文書で、ロシアに即時停戦を求めるとしたが、プーチン氏を直接批判することは控えた。アルミ大手ルサールの創業者であるオレグ・デリパスカ氏は、ソーシャルメディアのテレグラムへの投稿で和平協議を呼び掛けたが、プーチン氏には触れなかった。(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-03-04/R870RCDWX2PV01)

===========

 コロナ禍に加えて、世界的な不景気が雪崩を打って襲ってくるのです。三月の声を聞いたにもかかわらず、我々の足元に、未曽有の「大不況」「生活苦」が襲来してくるのではないでしょうか。いわれのない「言いがかり」をつけ、「ウクライナ侵攻」を強行したプーチン、その狙いはウクライナ人の「入れ替え」だった。権力者に盾突く「民衆」は追い出して、新たに自分の言うことを聞く「人民」を入れるというのだ。すでに「百万人超」が国外脱出を余儀なくなれた。さらに数百万単位で続くはずです。「ホロコースト」「民族浄化」という、おぞましい「悪夢」がぼくを過(よぎ)る。プーチンの最初の妻は「吸血鬼」と、彼を呼んだ。何人もの「政敵」を毒殺してきた政治家(暗殺者)であるプーチン、その彼に殺されかかったナワリヌイ氏。現在、彼は「収監中」です。

 「ロシアで収監中の反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏は2日、ロシア軍のウクライナ侵攻に抗議する反戦デモを毎日、各都市の中心部で行うようロシア国民に呼び掛けた。インスタグラムに投稿した。/ ナワリヌイ氏は「われわれロシアは平和な国でありたいと思っているが、今やそのように言う人は少ないだろう」と指摘。プーチン大統領を「われわれの狂った皇帝」と表現し、「(プーチン氏が)ウクライナに対して繰り広げた侵略戦争に気付かないふりをする臆病者」になってはならないと訴えた」(時事通信・2022年03月02日)

HHHHHHHHHHHHHHHHH

 ロシア国債、デフォルト懸念強まる 米S&P、一段と格下げ【ニューヨーク時事】ロシア国債のデフォルト(債務不履行)リスクが強まっている。ウクライナ侵攻を受けた西側諸国による金融制裁に加え、ロシア中央銀行がルーブル建て国債を持つ外国人投資家への利払いを一時停止したためだ。米格付け大手S&Pグローバル・レーティングスは3日、すでに投機的水準のロシア国債をさらに格下げ。「期限通りに償還されない可能性が非常に高い」と警告した。/ 日米欧などは制裁の一環で、世界の銀行決済網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの一部銀行を排除。ロシア中銀による外貨準備の利用も制限しており、外国人投資家への国債利払いなどは厳しくなっている。/ こうしたリスクを反映し、金融市場ではロシア国債価格が急落(金利は上昇)した。年初に8%台だった10年物国債利回りは2月中旬から急上昇し、14%に迫っている。
 政府や企業が破綻するリスクを取引する金融派生商品「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」市場では、ロシア国債の保証料率が跳ね上がった。5年物は昨年末の約13倍に達している。/ 格付け大手のフィッチ・レーティングスやムーディーズ・インベスターズ・サービスはロシアの格付けを相次いで投機的水準に引き下げ済み。だが、さらなる格下げに言及している。/ ロシア国債の外国人保有比率は低く、デフォルトとなっても直接的な影響は限定的との見方が多い。ただ「ロシア経済、金融システムの混乱が長期化する恐れがある」(別の格付け大手)との指摘があり、特に欧州に顕著な影響が及ぶと懸念する声も出ている。(時事通信・2022年03月05日)

OOO

ロシア中央銀行=2月、モスクワ(EPA時事)

 大手格付機関はロシアを投機的格付けに 主要国での外貨準備の凍結やロシアの銀行に対するSWIFT(国際銀行間通信協会)制裁、あるいはドル調達を大きく制限する米国でのコルレス制裁などを受けて、ロシアが対外債務の返済不履行、デフォルトに陥る可能性が高まってきた。/ 格付会社のS&Pグローバル・レーティングは先週、ロシアの格付けを「BBB-」からジャンク級(投機的格付け)の「BB+」へと引き下げた。さらに3日には「BB+」から「CCC-」に8段階引き下げた。/ 2日には、格付会社フィッチ・レーティングスも、ロシアの長期外貨建て発行体デフォルト格付け (IDR)を「BBB」から「B」に引き下げている。一気に6段階の大幅格下げである。 

 さらに3日には、格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスも、ロシアの長期外貨建て債格付けを「Baa3」からジャンク級(投機的格付け)の「B3」に引き下げた。大手格付会社3社がいずれも、ロシアの外貨建て債を投機的格付けへと引き下げたのである。/ ムーディーズは「ソブリン債の返済が中断される可能性は極めて高い」と指摘している。ロシアが債務の返済意欲に欠け、国外への外貨送金規制を強化した場合などはデフォルト(債務不履行)の定義に当たることになる、との認識を示している。既にロシア政府は、ルーブル建てのロシア国債を保有する外国人投資家に対する利払いを停止し、また、国外への外貨送金を禁止している。ムーディーズが示したデフォルト認定の要件は、既に満たしつつあるように思える。(以下略)(NRI:https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2022/fis/kiuchi/0304)

==========================

 いつまでたっても「春は名のみの 風の寒さや」と、歌い続けるのでしょうか。一日も早く「菜の花畑に 入日薄れ」と唱和したいのに。ロシアは1998年にも「デフォルト」を経験しています。最後に、ウクライナの「民話」を。

【天風録】ウクライナの「てぶくろ」 ある雪の日、おじいさんが森の小道に手袋の片方を落とした。するとネズミやウサギ、キツネが次々に、暖かそうだと潜り込む。さらにはオオカミやイノシシで膨れ上がり、これ以上は無理だというところに今度は…▲ウクライナ民話の絵本「てぶくろ」が翻訳出版されて57年。実に327万部もの超ミリオンセラーという。ぎゅうぎゅう詰めでも、天敵であっても、何とか隙間をつくって迎え入れていく。そんな動物たちの姿を描いたのはロシアの作家ラチョフ氏▲プーチン大統領は、この絵本を読んだことがあるだろうか。この人はクリミア半島では物足りず、ウクライナ全土を手袋に入れたがっているように見えてならない。しかもあろうことか、入ると信じているらしい▲そうして悲しいことに戦火が収まらない。現地からの映像は、砲撃に傷つき、おびえ、国境越えの逃避行に疲れ切った子どもたちの姿を伝える。その手袋が再び夢と希望で大きく膨らむ日が一刻も早く訪れますように▲さて最後に現れるのはクマ。「どうしても」と強引に巨体を手袋に割り込ませる。物語は丸く収まって終わるのだが、ウクライナの今が重なり、あれこれと考えさせてくれる。(中国新聞・2022/03/04)

______________________________

投稿者:

dogen3

「上を思えば限りがないと、下を見て咲く百合の花」になれるものなら、という想いです。それこそ、「高嶺の花」ですが。「昨日は俗人 今日は僧、生涯胡乱(うろん)これがわが能」と自称した一休さんは、一面では「相当な人物」だったと、歳をとるとともに思わされています。