


【筆洗】五輪の歴史の中で、もっとも有名な「あいさつ」かもしれない。一九六八年メキシコ大会、陸上競技男子200メートルの表彰台で、金メダルのトミー・スミスと銅のジョン・カルロスの両黒人選手が、母国米国の黒人差別に抗議するため、拳を上げた。「ブラックパワー・サリュート(あいさつ、敬礼)」と呼ばれる行動であった▼二人は黒い手袋をつけて、国旗から目を背けている。「黒人も人間である」という当然の主張を込めた行為であると、日本では報じられているが、当時の国際オリンピック委員会、ブランデージ会長は政治的主張に激怒した。母国でも批判が起きている。二人は選手村から追放された▼あの「あいさつ」が、米国内で許容されることになった。米国オリンピック・パラリンピック委員会は、東京五輪に向けた各競技の代表選考会に関して、人種差別反対や社会正義を訴える平和的な抗議には、制裁を科さないという指針を示した。国歌に起立せず膝をつくのも認めるそうだ▼警察官の暴行を受けた黒人男性の死亡事件で、「黒人の命も大切だ」の抗議運動が盛り上がったのが、大きいという▼許される行為の線引きなどで難しい問題が起きるかもしれないが、歴史的な決定であろう▼指針は半世紀以上経て、変わらぬ差別との闘いがあることも物語っている。「あいさつ」を見る目が変わったかも問われよう。(東京新聞「筆洗」2021年4月2日 07時29分)
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【6月28日 AFP】米国のスポーツ選手、そして1968年メキシコ五輪で人種差別との闘いの象徴となったジョン・カーロス(John Carlos)氏が、国際オリンピック委員会(IOC)に書簡を送り、五輪での抗議を禁止するルールを撤廃するよう求めた。/ 書簡は米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)とカーロス氏が連名で送付した。カーロス氏はメキシコ五輪で、トミー・スミス(Tommie Smith)氏と共に表彰式で拳を突き上げる有名な「ブラックパワー・サリュート(Black Power Salute)」を行い、選手団から追放された。/ USOPCは、「選手が今後沈黙を強いられることがあってはならない」と訴えている。/「IOCや国際パラリンピック委員会(IPC)が、自らの信念を口にする選手を罰し、排除する道を歩み続けることはできない。その信念が、五輪精神の目標を体現したものであればなおさらだ」「スポーツの統括団体は、選手や選手団体との透明な協力のもと、五輪やパラリンピックでの選手の自己表現の在り方を見直すという、責任ある仕事を始めるべきだ」(左上写真は、メキシコ国立自治大学(UNAM)で開かれた会議で拳を突き上げる、元米陸上選手のジョン・カーロス氏。メキシコ・メキシコ市で(2018年9月24日撮影)。(c)RONALDO SCHEMIDT / AFP)

米ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で、武器を持たない黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警察の拘束下で死亡する事件が起こった5月以降、人種差別に対する抗議活動は米内外で大きな広がりを見せ、あらゆる「デモンストレーションや政治的、宗教的、人種的なプロパガンダ」を禁じる五輪の規則についても、改めて厳しい目が向けられている。/ そのためUSOPCは、抗議が活発化してからの数週間で、スポーツ当局が「耳を傾けず、人種差別や不平等を容認してきた」ことを認め、選手の抗議に関する規則の見直しを約束している。/ 1月に選手の活動に関する指針を刷新し、表彰式や競技中の抗議を禁止したIOCも、ルールの緩和を示唆し、アスリート委員会の主導で話し合いを行い、反人種差別の取り組みを「堂々と」支持できるようにする方法を模索することを歓迎している。(c)AFP(https://www.afpbb.com/articles/-/3290748?pid=22473542)(2020年6月28日 16:50)
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人種差別と闘う“片ひざをつく行動”は東京五輪で処分対象?SNS発言許容もIOCガイドライン「抗議活動禁止」

米国をはじめ世界中で人種差別問題への共闘と団結を示す、片ひざをつく行動が広がっているが、来年に延期された東京五輪とパラリンピックで、アスリートたちがこの行動をとった場合、処分の対象になることが9日、分かった。/ 英国高級紙デイリーテレグラフの取材に対し、国際オリンピック委員会(IOC)は「1月に作成したガイドラインは依然として生きている」と回答。国際パラリンピック委員会(IPC)も、「信じるもののために立ち上がることは奨励されるが、抗議活動は許可しない」とこれまでの方針に変更はないことを明らかにした。/ 5月25日、米ミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に暴行されて死亡。フロイドさんに哀悼の意を示し、人種差別問題への共闘と団結を表すため、米国の市民の間で、この片ひざをつく行動が広がっている。これに米国のみならず世界のアスリートたちが追従。サッカー界では、FW南野拓実らリバプール(イングランド)の29選手たちが本拠地のセンターサークルで右ひざをつき、その写真をSNSに投稿するなど、動きが広がっている。

こうした動きを受け、国際サッカー連盟(FIFA)は「常識の範囲内で」と柔軟な対応を各国協会に指示。またFA(イングランドサッカー協会)、米プロフットボールNFL、米国オリンピック委員会などは、もし選手がこうした行動をとっても、処分の対象にしない方針を明らかにしている。/ 一方、IOCは今年1月、選手の抗議活動に関するガイドラインを策定。「メディアやSNSなどで政治的な発言は許されるが、競技場やセレモニー、選手村などで抗議活動は禁止する」と、これまでの方針をより明確にした。現地時間の10日、IOCは理事会で、1月発表のガイドラインと、選手の抗議活動について再度、話し合う。人種差別問題への共感を表明することが、政治的な抗議活動にあたるか否かなどが討議される。(中日新聞・2020年6月10日 15時16分)
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東京五輪は開催すべきではないと、招致運動の始まりからぼくは考えていました。五輪というのは、いまではほとんど「戦争」を願い、それによって利権を得ようと蝟集・蠢動する「禿✖✖」のような、人命を踏み台にして儲けることしか考えないような腐食金権亡者(人と組織)のためにだけに開かれようとしてきたのです。戦争が起こると、いろいろな事態が生じます、それと同じ経過をたどって「五輪開催」が強引に主張されてきたのです。もうすでに開戦中でもあります。簡単に言うと、軍服を着ない人間がすべてのことを取り決め、算盤(計算機)を持った人間たちが儲け仕事だとほくそ笑んでいる、火事場泥棒のような為体になっている。現場に集められる(召集される)兵隊だけががんじがらめの規則で無理矢理に競争を強いられる。内外の、多くの有閑連中は高みの見物です。(左は牟田口廉也第十五軍司令官・インパール作戦の指導者)
東京五輪に関して言えば、招致段階では七千億円(気の遠くなるような金額)で開催するとされていたが(三代前の I 都知事の言。彼は選挙資金として五千万円を、ある医療関係者からもらって、嘘をつき通すことが出来なくなり辞任した、犯罪容疑者でした)、現段階ではすでに二兆円を突破し、まだまだ経費が掛かる(掛ける)と組織委は計算機をはじいている。国民の税金は組織委にとっては、出金専用のATMに入っているようなもの。群がり集まった利権関係者の「山分け」のために税金が食い潰されているのです。大政翼賛状況をでっち上げるために、一部の政治家や経済人や官僚どもが、「濡れ手に粟」を現実のものとして、「嘘つき名人」を御輿に載せて、長期に権力機構を握り続けていたのです。いろいろな資料が五輪関係機関の内部から漏れ出ていますが、それを見聞きするだけで、「盗人猛々しい」戦争商人ならぬ「五輪商人」が暗躍どころか、明躍しているのがよく見える。それを堅固な悪徳トライアングルが支えているのです。末法と言ったのは誰でしたか。世も末、法も末です。

この五輪開催が決まった時点で、島で最大の広告会社の(表向きは、です。いまは人材派遣業も驚く、面倒な派遣などしないで、右から左に「金品」を召し上げる、中抜き専門会社となっている)、その社長は五輪招致が決定された時点で、「わが社は、このチャンスに一兆円を稼ぐ(中抜きする)」と言ったそうです。ひたすら「中抜き専門」のみで一兆円とか、です。「中抜き」されて得た金が方々にばらまかれ、更に「中抜き」の機会を獲得できるための投資金になるのです。「✖✖マスク」「特定給付金」「事業持続化✖✖」その他、国管轄の仕事のほとんどが「中抜き」をともなっており、ケースによっては資金の半分以上が抜かれているのです。五輪、コロナ禍という、人民にとっては最悪の災厄も、この手の会社にとっては「千載一遇」の絶好の好機でした。だからとことんまで、五輪開催は突き進めようとするのです、まるで先の戦争中の「インパール作戦」の再現のように。観客なんかいなくてもいい。選手なんか来なくても構わない。五輪さえ開かれれば、しかも猛暑のなかで。まさにインパールです。地震も原発事故も、台風や豪雨の襲来も、なによりも「商売の好機」としかとらえない亡者と組んだ政治主導の島です。いつでもどこでも、インパール作戦が展開されるのでしょう。「五輪」も人民を襲来する災害なんです。

○ インパール作戦=第2次世界大戦中の日本軍のインド進攻作戦の名称。英語では「日本軍のインド進攻」 Japanese invasion of Indiaとして知られる。 1944年3月6日,牟田口廉也中将指揮下の第 15軍が,ビルマからチンドウィン川を渡って,2手に分れインパール,コヒマを目指した。日本軍には,チャンドラ・ボースのインド国民軍が参加した。日本軍は6月 22日まで,インパールを 88日間にわたって包囲したが,第 33師団長柳田元三中将は状況判断を誤って包囲を解き,作戦中止を上申。その直後イギリス=インド軍の W.スリム中将指揮下の第 14軍は攻撃に転じ,7~8月にかけて第 15軍を壊滅させ,インパールの防衛に成功した。イギリス=インド軍の死傷者は1万 7587人に対し,日本軍は戦死または行方不明2万 2100人,戦病死 8400人,戦傷者約3万人と推定される損害をこうむった。この作戦の失敗は,のちにビルマ防衛戦の全面的崩壊をもたらした。(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説)
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スポーツは好きですが、現状の五輪(金塗れ・政治主義)は嫌い、大嫌いです。くりかえしませんが、誰のための五輪なのかという、なけなしの、歩かないか疑わしいが、そんな根っ子の「五輪思想(精神)という言葉主義」さえもが壊され、汚され、食い物にされているのです。今のこの時期に、何故「五輪」をこの島で開く意味があるのか。戦争商人ならぬ五輪強盗のような輩に吸い上げられるための「中抜き機関」と堕してしまった「平和の祭典」を、「国難」(それは政官業の悪のトライアングルが、かなりの部分をもたらしたもの)とされる只中で開こうとは、狂気の沙汰ですし、それでもなお「狂気の沙汰も金次第」というのです。「あらゆる差別」を認めない五輪という、紙の上だけの「五輪精神」こそが打破されるべきだと、ぼくは確信しているのです。その上で、不誠実や虚偽がいたるところで蔓延している、格差や差別が無慈悲にも正当化されているような、この島の現状においては、もっとも開いてはならない「平和の祭典(という虚飾)」ではないかと、強く考えてもいるのです。

「このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。」(五輪憲章 オリンピズムの根本原則・2019年6月26日から有効)
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