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夫婦別姓に反対する50人の自民党議員は誰なのか。地方議員への文書全文と議員一覧

文書を受け取ったのは、埼玉県議会議長の田村琢実県議。文書は、選択的夫婦別姓は「家族単位の社会制度の崩壊を招く可能性がある」として、制度の実現を国に求める意見書を採択しないよう訴える内容だった。
文書は自民党の有志50人の議員が名を連ねており、その中には、男女共同参画担当相に就任した丸川珠代氏の名前もあった。
文書は、国会議員が地方議会に不当介入し、圧力をかける行為とも受け取られかねない。ハフポスト日本版の取材に応じた田村氏は文書を「失礼だ」と断じ、「地方議会についてどう思っているのか、認識を疑いたくなる」と疑問を呈した。(Huffpost・2021年03月01日)(https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_603c875fc5b601179ebeb2b7?ncid=other_huffpostre_pqylmel2bk8&utm_campaign=related_articles)

男女共同参画大臣に就任した丸川珠代氏が、選択的夫婦別姓制度に反対する自民党議員有志の文書に署名していたことが、波紋を広げている。/ しかし、丸川氏自身が現在も旧姓を使用して活動しており、矛盾を指摘する声も相次いでいる。/ 制度導入を訴える市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」事務局長の井田奈穂さんは、「ジェンダー平等を一番進めるべき立場の人が、家父長制のシステムを維持しようとしていることが残念で仕方がない」と憤る。/ 一方で、文書に署名した議員は男性が大半を占めていたことに触れ、「名前を連ねた男性議員が私たちの前で反対理由を述べたことがあったでしょうか」とも疑問を呈した。(Huffpost・2021年03月01日・https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_60402135c5b6829715051531)
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私達は、下記の理由から、「選択的夫婦別氏制度」の創設には反対しております。

①戸籍上の「夫婦親子別氏」(ファミリー・ネームの喪失)を認めることによって、家族単位の社会制度の崩壊を招く可能性がある。
②これまで民法が守ってきた「子の氏の安定性」が損なわれる可能性がある。(上掲文書から)
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機会を儲けられて、上掲文書を読まれることをお勧めします。ぼくは、夫婦別姓で何の問題もないと考えてきました。夫婦が「別姓」を名乗ったなら、「家族単位の社会制度の崩壊を招く可能性」云々と言われているが、あくまでも可能性であって、崩壊の原因は別のところにあるとも言えます。現実に結婚や離婚問題が久しく語られていますが、これは「夫婦別姓」とは直接に関係しておりません。別姓でなければ結婚しないという人たちがいるのかもしれないし、いないのかもしれません。麗しい家族制度はかくあるべしという、古典的な心情や信念というものを持ちだしているだけで、それを他人に強いるというのは烏滸がましいし、「時代感覚のなさ」の表明でもあります。

要するに「美しい国」観念の友だちみたいな空想のたまものです。おそらく、この問題に関してはいろいろな理屈を言うことはできますが、言ってみたところで無駄という気もします。家族や家庭問題は古くて新しい。それを法律で、無理矢理にある鋳型に固定するなどというのはあまりにも時代錯誤ではないですか。
「民法出デテ忠孝亡ブ」という、ある法律家の主張が大きな話題になったことがありました。明治新政府になりさまざまな法制度が整えられ、その一環として「民法」制定が議論された際に、穂積八束が糸口を切ったのでした。
*1890年頃日本において民法典施行の是非をめぐって行われた論争。条約改正促進のために近代的法典の整備を迫られていた明治政府は,90年フランス人 G.ボアソナードを中心に完成した民法典 (→旧民法 ) を公布し,93年から施行することを定めた。これに対し,一部の法律学者や帝国議会議員などの間から強力な反対論 (施行延期論) が出され,施行断行を主張する断行派 (→梅謙次郎 ) との間に激しい論争が繰広げられた。穂積八束は「民法出デテ忠孝亡ブ」と論じ,論争は延期派の勝利に終り,92年の帝国議会は,施行を延期することを可決した。これを受けて日本人起草委員のみによってこれに代る民法典 (→民法 ) の編纂事業が行われるにいたった。(ブリタニカ国際大百科事典 )

*穂積八束=憲法学者。陳重(のぶしげ)の弟。東大教授,貴族院議員。論理的・体系的な君権絶対主義を提唱。忠孝一本の義を唱えた。〈民法出でて忠孝亡ぶ〉という彼の句は旧民法典の施行を延期させる一因となった。主著《憲法提要》《行政法大意》。(マイペディア)(左上は公明新聞・2929/2/15))
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この問題にはいろいろな視点が必要でしょうが、まず「家父長制」という「遺物」がいまだにある種の立場にいる人々に憑りついているという話です。政治家や経済界の人々には結構この「家父長」に拘る人がいるのではないでしょうか。夫唱婦随とか、夫婦相和しという「教育勅語」や「五常五輪」などという古すぎる、天然記念物で博物館にでも行かなければお目にかかれないような「倫理観」や「家族史観」に根拠を置いているのです。制度も法律も時代と共に変わるだろうし、時代に即して変えなければならない場合もあるでしょう。夫婦になったら、どちらかの姓(圧倒的に男性の姓になっています。2015年段階では、96%)にならねばならないということ自体が無理なんですね。だから婚姻の形態も「事実婚」などと言われるものが多く採用されてきたし、財産相続や納税の仕組み上から解放されたいと考える人が増えてきたのです。「夫婦はこうあるべきである」というのは、どう考えてもゴミ箱にでも放り投げ入れる運命にある観念でしたね。

「忠孝亡ブ」のは「民法」が制定されたからでもないし、「家族単位の社会制度の崩壊」の因は夫婦別姓を認めたからではないことはだれでも知っているんです。でもそれを認めたがらないし、そのような態度を装うのは、この場合は「伝統派」と称されるある政党党派の中に働く「仲間意識」です。あの人が言うのだから、あの人たちが反対だから、ぼくもわたしも(本音は違うけど)反対、いっしょになって何かをやるのだから、仲間に入ろう、その程度の認識の人がいるんですね。昨年でしたか、都内のある区議が「LGBTS」を認めたら、「足立区がなくなってしまう」と言いました。ぼくには、その理屈がわかりませんでしたが、この区議は後に謝罪し、発言を取り消しました。「本音」はまったく変わっていないでしょうけど。でも、それでいいんです。区がなくなったってかまわないけどね。

党派性というのはどういうことでしょう。「みんなで靖国に参拝する議員の会」のようなものです。信仰心などとは無縁じゃないですか。集団で参拝するという気がぼくにはわかりません。集団就職とは、わけが違うでしょうね。対中、対韓に向けた姿勢だと言えなくもありません。ある種の愚連隊ですね。信仰・信教の自由を、ぼくは認めるのですが。
明治になって「鉄道」が敷設される段になって、大反対した勢力がありました。人力車の組合でした。「車界党」といったような気がします。後年の「社会党」も、何でも反対党と揶揄されて半世紀を生き延び、その系列に連なる一議員が、昨日の国会で、●珠大臣を責めていました。自分で別姓を名乗っていながら、夫婦別姓に反対する、その理由を言え、と。●珠大臣は屁理屈を述べて、いっかな誠実に答弁しなかったようです。偶然にその録画を見ていたのですが、不真面目という一語に尽きるし、自分を「偉く見せる」ためには何でも手を出すという風にしか、ぼくには映りませんでした。なぜ正直に考えを開陳できないんですか。きわめて簡単に考えたらどうか。

この●珠大臣は、大臣の前に政治家ですが、その政治家の前に一人の女性であり、人間です。したがって、ここで持論を述べるなら、それが誰にも理解できる(その意見に、反対も賛成もあり得ます)考えを述べなければならないでしょう。その根拠にはまず「人間として」「女性として」どう考えるか、という視点が欲しいね。ところが、人間や女性であることを忘れて、大臣や政治家であることさえ忘れ(た振りをし)て、党派性で物を言っているんですよ。「個人の意見がある」「でも、今はそれを封印します」と言って、それ以上に何も話せないのですね。何枚も洋服を重ね着していて、自分の都合によって、わたしは「この赤だ」。いやわたしは「その青だ」と言っているに等しい、裸(素)の、君の意見や考えはどうなんだと、それを言わないから話にならぬ。個人の意見があるのはいいけど、君は政治家であり、大臣だろう。個人の意見を主張したければ、政治家も大臣もお辞めなさいというだけだね。狡知ですね。狡い。ぼくはこんな不政治な女性は大嫌いです。もちろん男性であっても。
何事にも反対・賛成と、それぞれに理由があります。でも結局は便利とか、時代や世の趨勢が流れを決めるのでしょう。時代は変わり世のなかは移ります。夫婦別姓も、今ではこの島だけの「遺物」になりました。例えは不適切でしょうが、後生大事に守り切っている「天皇制」も「元号」も「死刑制」も、世界の趨勢からは取り残されているのです。まさに「時代おくれ」ですね。まあ、鎖国ですね。余程、この島の住民(為政者)は「思想の鎖国」「制度の鎖国」が好きだと見える。「戸籍制度」さえも、歴史の遺物なんだね。この島では「遺物」がズボンやスカートをはいて街中を闊歩しているんだ。この島全体が一つの博物館、あるいは考古館として、やがて世界中に大きな貢献をするはずです。今はその予行演習をしているんですな。

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