「民主主義の道」は「地平線への歩み」です

(11月、香港の裁判所敷地内で記者会見する民主派の(左から)周庭氏、林朗彦氏、黄之鋒氏=共同)

 【上海=白山泉】香港の裁判所は2日、昨年6月の反政府デモを巡り、いずれも民主活動家の周庭しゅうてい氏(23)に禁錮10月、黄之鋒こうしほう氏(24)に禁錮13月半、林朗彦氏(26)に禁錮7月の実刑判決をそれぞれ言い渡した。昨年6月21日の反政府デモの際、警察本部を包囲する無許可集会に参加した罪や参加を扇動した罪とされる。(東京新聞・2020/12/02)

 蔡総統、周庭氏ら禁錮刑に「遺憾」 香港民主化弾圧を批判台湾の蔡英文総統は2日夜、香港で無許可集会扇動罪などに問われた民主活動家の周庭、黄之鋒の両氏ら民主活動家3人に禁錮刑が言い渡されたことに対し、フェイスブックで「深い遺憾」を表明し、香港人による民主化の要求を弾圧するものだと判決を批判した。/ 蔡氏は、台湾が独裁体制から民主主義に移行する過程で奮闘したことに触れて「香港人も心に秘めた理想を忘れてはいけない。まだ絶望する時ではない」と呼び掛け、台湾は民主化を目指す香港人を支援するとエールを送った。(共同)(産經新聞・2020.12.3 08:3)

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 民主化要求のための「雨傘運動」デモが香港で起ったのは2014年です。以来、六年が経過しました。燃え上がったかに思われた香港人民の熱気は中国の「圧政」「暴力」「弾圧」で一気に消滅したのでしょうか。決してそうではないでしょう。百万からの民衆の心の中に灯された民主化への「希求」は絶えることはないし、いまもなお熱く燃えていると、ぼくは思う。闘争とか運動は「表現」を求めるのですが、それ以上に、暴力や弾圧に向かう「抵抗」する志は派手なものでもなく、華やかなものでもない。ぼくが、ささやかとはいえ、幾多の歴史の学習を通して得た確信のようなものは、いったん前に向かうベクトルが現れたら、再び逆流も反転もしないということです。一歩進んで二歩下がるという、まるで牛歩以下の緩やかな歩みに見えても、着実に前進しているはずです。今回の暴力的な「有罪」宣告は、かえって「中国権力中枢」側の焦りや手詰まりを示しているだけであるとも、ぼくは見ています。「青二才たちに勝手なこと」をさせてしまった、「蟻の一穴天下の破れ」ということになりかねない、一連の強権政治には、いかにも習体制の恐怖心が明らかに見て取れます。

 例えば、周さんや黄さん、林さんたちが三十歳になる頃にはどうでしょう。中国も香港も、さらには台湾もきっと「民主主義」の価値をもっと認めることになっているかもしれません。ぼくは予言も予断もできないし、だからそれはしませんが、自由や平等という生きる支えになる(目に見えない空気のような)価値の尊重には大きな期待を持っているのです。人権を尊重する、その程度のやさしさや気高さがあっても損はしないという「別種の政治」に深い値打ちを認めるものです。

 「民衆が民衆である限りにおいて、民主主義は、その言葉の全的な意味では、つねに理念以外の何物でもない。良かれ悪しかれ、人は地平線に近づいて行くのと同じで、決して全的にその理念に到達することはありえない」と、アメリア議会で述べたのは劇作家でもあった、チェコ大統領のハ―ヴェル(Vaclav Havel)さんでした。1990年2月のことでした。(彼については別の機会に)ソ連の圧政に踏みにじられ、ハ―ヴェル自身も数か月前に逮捕され「私はこの度は二日ですむのか、それとも二年もかかるのか、全然見当がつかなかった」それから一か月半後に、彼は大統領に選ばれた。香港の若い活動家の中に「ハ―ヴェル」がいないとは誰にも言えない。

 人は、果てしない地平線へ向かうが、そこに到達することはありません。でも、そこに向かって「歩いた」という歴史(経験)は、自分にも他人にも、さらには国家にさえ、たくさんの事実を生みだしてくれるのです。

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