新聞はスウィングしないんですか

 「米国人の重大な特長は他の諸国民よりも文化的に啓蒙(けいもう)されているだけではなく、欠点を自ら矯正(きょうせい)する能力をもっていることにある」。19世紀初めに米国の民主主義政治を観察した仏思想家トクビルの言葉である▲その「欠点を矯正する能力」を誰の目にも明らかに示すのが、選挙における民意の振り子運動と、それによる共和・民主の2大政党間の政権交代の繰り返しだった。民意のスイングごとに新しいページを開いてきた米国の歴史である▲その米国政治の振り子時計がとうとう壊れてしまったのか。そう世界を心配させたトランプ政権の4年を経ての米大統領選の開票作業の難航と、支持者間の激しい対立だった。投票日から4日、ようやくバイデン氏の勝利宣言が出た▲「これは国民にとっての勝利だ。私は分断ではなく結束をめざす大統領になる」。バイデン氏の演説は、敵と味方を分断して支持者を固めるトランプ政治への否定である。と同時に、それは米国の政治の正統への復帰宣言でもあろう▲「すべての小さな女の子はこの国が可能性の国であることを知る」。初の女性、かつ黒人・アジア系副大統領となるハリス氏の演説も、多様性とその権利のための闘いが米国の力の源泉なのを訴え、政権交代の振れ幅を示してみせた▲訴訟連発で抗戦しているトランプ氏も早晩、選挙結果受け入れを避けられまい。辛(かろ)うじて米国政治の振り子はスイングを再開した。次の4年間、未来へ向かう時を着実に刻み直すのを願うばかりである。(毎日新聞2020年11月10日 東京朝刊)

 あまり芸のある話ではありませんが、立て続けにいくつかの新聞の「コラム」を通して、米大統領選にみる「アメリカ民主主義」像を一瞥しようとしています。無駄だったかもしれない。「紋切り型」と言えばぴったりという風に、ぼくには見えました。デモクラシーのお手本だったのに、選挙運動や選挙の結果、それがびっくりするほどお粗末であったというのでしょう。アメリカの選挙民の民度も低いし、と。それがどうしたと、ぼくはいう。そんな上辺を撫でただけの見方しかできないことを百も承知で、それでもいう、なんと「陳腐、月並み、平凡、通り一遍」なと、ぼくは改めてこの島の「新聞紙の現在」を嫌でも確認させられているのです。「新聞」とは偽りの名、その正体は、伝統に輝く「旧聞」ですな。各紙一斉に同文記事さ。

 今回の「選挙で選ばれた」正副コンビについて、ぼくはまったく知るところがありません。これからの言動(政治活動)を通じてしか評価はできないと、明言せざるを得ないのです。人を「見た目」で判断してはいけないという法律はないでしょうが、それは「判断」ではなく、単なる印象、あるいは好き嫌いに過ぎません。「印象」も「好き嫌い」も持続することは稀です。でもぼくの知る限りで、島の新聞各紙は「見た目」「印象」「風評」「噂」「逸話」などでしか記事を書けないとしたら、それは「噂の真相」でしかありませんね。(かなり前にぼくはこの雑誌に(噂を)書かれたことがあります。今は廃刊になったし、発行者は亡くなられました)

 この島でバカの一つ覚えのように報道される「偽支持率調査」報道、ぼくはこれを「支持率操作」ということにしています。「世論調査」は「世論操作」です。現内閣のどこを支持しますか?「人柄が信頼できるから」という。ホントかよ。おそらく調査対象者は親戚か関係者でしょう。ぼくはこの人物が信頼できるかどうか、つきあっていないので答えようがないけど。どうしてこんないい加減な「調査だか操作だか」を報道するのか、これは頽廃のきわみというほかありません。悪い意図に基づいているね。「権力への迎合」もまた、「世論操作」の大事な機能なんだ。「芸当・迎合」が過ぎると、「仲間」になった気がするんですよ、きっと。だが、それが島の中だけに留まっているならいいけど、太平洋の彼方の国の「操作(調査)」までするのだから、呆れます。他人のことが言えた義理か?これも忖度でしょうが、誰に対して? 社の上司に対してとなれば始末に負えない、お手上げです。悲しいかな、上げた手をおろす場がないね。

 Bさんの演説は「米国の政治の正統への復帰宣言」であり、Kさんの「多様性とその権利のための闘いが米国の力の源泉なのを訴え、政権交代の振れ幅を示してみせた」と。そうかね、それを自分の感覚や頭で考えて書いたのか。「口ではナントでも言える」し、筆はどこまでも走ります。「筆の暴走」はいつでも見られます。記者の良心、そんなもの、とっくに忘れたさ、と言いたげです。お願いします、止めてくれませんか、こんな誠意のない記事を書くのは。

 いいですか、いまもなお負けを認めない(振りをしている)D氏だって「国民すべてのために働く」と当選後初の演説で言っていたんだぞ。それすら確認しないで、この大統領には「大いに期待する」だって、か。記者も、不勉強だし、不真面目だな。日本のPMにいたってはさらに酷い、自分の言葉を持たない総理って、なんだ。それすらも指摘できない新聞は何なんだ。

“”””

「今こそアメリカは分断の傷を癒やしていかなければなりません。団結しなければなりません。全国のすべての共和党員、民主党員、無党派の人々に言います。今こそ私たちは、国民として一致団結するべきです。(拍手)その時がやってきました。全国のすべての国民に誓います。私はすべてのアメリカ国民の大統領になります。これは私にとって非常に重要なことです」「これまで私を支持していなかった人々に言います――そんな人も、少しはいました――私は皆さんの助言と支援を求めます。国として団結できるよう、ともに努力しましょう」(2016年11月16日)(註 この<Fake>を見抜けないでどうします)

 (註 暇な方は歴代「大統領」の「勝利宣言」を並べて読んでください。回し読みしているんじゃないかと思われるくらいにそっくりさ)

“””””

 いかにも表面的ですね。彼女に対しても、各紙は一様に「初の女性、かつ黒人・アジア系副大統領」という。それは事実であっても、それをまたいうか、とぼくは訝るのです。同じ筆法で「BTLGQ」の時代到来などと、洒落た口をきくんですからね。呆れてもしまうのです。こんな記事を何百回書いたところで、紙価は高まらない。それどころか、大手紙は軒並みに「部数減」に喘いでいるじゃないですか。(ぼくには無関係だけど)すべてとは言わないが、どでかい本社ビルを「格安払下げ国有地」に、威容を誇るかの如くに建てていらっしゃる。「木鐸の巨塔(虚塔)」といいますか。まずこれから壊すべきです。コロナ禍の「五輪」にこぞってスポンサーだって。ふざけすぎだと思います。

 「次の✖年間、未来へ向かう時を着実に刻み直すのを願うばかりである」と、他人ごとではなく、わが政府、我が政治に直言するべきだといっても始まらないね。人民を愚弄するのは政治家だけではない、かかる惨状を新聞各紙ははっきりと認めるべきだ。「われわれも人民を愚か者と認定しているのです」と。「私たちは第四の権力です(権力の列に位置している)」と。この島にも<FAKE>を叫び、「陰謀論」を騙る固まりができているのです。対岸の火事視か、他山の石か。「多様な新聞」はやがて(いまは)「単一の新聞」になる運命にあります。

_____________________

投稿者:

dogen3

「上を思えば限りがないと、下を見て咲く百合の花」になれるものなら、という想いです。それこそ、「高嶺の花」ですが。「昨日は俗人 今日は僧、生涯胡乱(うろん)これがわが能」と自称した一休さんは、一面では「相当な人物」だったと、歳をとるとともに思わされています。