


ボーナス、退職金認めず 格差「不合理でない」―非正規訴訟判決・最高裁
大阪医科薬科大の非正規格差をめぐる訴訟で「不当判決」の垂れ幕を掲げる原告弁護団(写真左)と、メトロコマース契約社員の非正規格差をめぐる訴訟の判決を受け「不当判決」の垂れ幕を掲げる原告ら(同右)=13日午後、東京都千代田区の最高裁前
ボーナス支給が争われたのは、大阪医科薬科大で約2年間フルタイムで勤務した元アルバイト職員の女性が起こした訴訟。女性は、不支給は労働契約法20条が禁止する「不合理な格差だ」と訴えていた。/ 判決で同小法廷(宮崎裕子裁判長)は、同大のボーナスは「正職員の職務を遂行し得る人材確保の目的があった」と指摘。似た業務をしていた正職員と女性を比較しても内容に違いがあるほか、女性の業務は「相当に軽易だった」とも述べ、請求を退けた。5人の裁判官全員一致の意見。/ 大阪高裁は不支給を不合理な格差と認め、正職員の6割の支払いを命じていた。

退職金支給が争われた、東京メトロ子会社メトロコマースの駅売店で約10年間働いた元契約社員の女性2人が起こした訴訟では、同小法廷(林景一裁判長)は売店業務に従事した正社員と2人を比較。業務内容はおおむね共通するが、正社員は配置転換があるなど一定の相違があるとし、「不支給は不合理とまでは評価できない」と結論付けた。/ 宇賀克也裁判官は反対意見で「契約社員が正社員より長期間勤務することもある。功労報償の性質は契約社員にも当てはまる」と述べ、正社員の4分の1の支払いを認めた二審東京高裁判決の破棄には至らないとした。(JIJI.COM・2020年10月13日)
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昨日最高裁で、奇しくも同じような非正規労働者の「賃金訴訟」の 判決がありました。すでに非正規雇用車が四千数百万人にも達している状況下における裁判でしたが、結論はいずれも「アルバイト」「契約社員」には不利な判決が出されました。この先にも全くの展望がないものかどうか、これをきっかけに状況が改善されてゆく可能性が高いと、ぼくは判断しています。理由は単純、非正規雇用者なしではどの企業も成り立たないような事態になっているにもかかわらず、労働条件がこれまで通りでは済まなくなるのは明らかだからです。「同一労働同一賃金」という原則は結構、だが、労働価値を数量化できないままで現状を放置するのではなく、あくまでも「労働内容の査定」(例えばプロ野球の契約更改制度などを参考にすれば)は明確にすべきだと思いますし、この先も、このような不合理な「労働契約」を少しでもいい方向に持ってゆく努力は政治にも期待されます。心ある政治家の出現を待望するというのも、ぼく自身としては言いたくありませんが、今でもそのような志に突き動かされている官僚や政治家もいるはずです。手をあげ、声を上げ、胸を張って「当たり前」の道を歩きたいものです。

今から三十五年前に「派遣法」が議論されていた時、その法律の問題点を指摘して、反対に動いたことを今でもはっきりと記憶しています。当初は30センチほどの穴をあけるだけだと偽って、数次にわたり開鑿し続け、今では正規労働者を凌駕するほどの大穴を開けてしまった感が深い。これが「規制改革」なんですか。弱肉強食という名における、勝負にならない勝ち負けを強いるような政治や行政は人民の苦しみを糧として肥大してきたし、これからもそうなるでしょう。
政治やそれが作り出す「法律」(派遣法など)は甘言、甘言、また甘言ですね。「いつでも好きな時に、好きな時間だけ」の甘言で、「新しい働き方」を謳ったものでした。「搾取」という言葉はいまだに生きつづけているのです。「搾取」という名の「人権侵害」を司法の番人を自認する最高裁が容認してどうなるのか。政治や経済の根本(目指すところ)は、いったいどこにあるのか、そんなことさえ自明ではないという異様な状況がつづく。だが、…。
「功労報償の性質は契約社員にも当てはまる」という方向は見すえられてきた、そのベクトルは無理矢理に変更することは不可能な時代に来ていると考えます。「時代おくれ」は滅びる。いまや、企業が滅びるか、人間が滅びるかの「選択」のときだと寝言を言う人がいること自体が、末期症状であることは明らかです。
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