性的指向・性自認に基づく解雇は…

US Supreme Court backs protection for LGBT workers 15 June 2020
The top court in the US has ruled that employers who fire workers for being gay or transgender are breaking the country's civil rights laws.
 
In a 6-3 decision, the Supreme Court said federal law, which prohibits discrimination based on sex, should be understood to include sexual orientation and gender identity.(https://www.bbc.com/news/world-us-canada-53055632
米連邦最高裁が性的指向・性自認に基づく解雇を違法とする判決を下しました
記事日付:2020/06/16
 2020年6月15日、米連邦最高裁が公民権法をLGBTQに適用し、性的指向・性自認に基づく解雇を違法であると認める歴史的な判決を下しました。賛成6、反対3でした。トランプ大統領が任命した保守派のニール・ゴーサッチ判事と、ジョン・ロバーツ長官がリベラル派判事4人に加わり、賛成しました。
 
 この判決文はニール・ゴーサッチ判事が書いたものです。
(判決文という、難しい単語や独特の言い回しが頻出する文章なので、間違いもあるかもしれませんが…)以下、日本語訳をお伝えします。
「今日、我々は、従業員が単に同性愛者またはトランスジェンダーであるというだけで雇用主が解雇できるかどうかを決めなければならない。答えは明白だ。同性愛者またはトランスジェンダーである従業員を解雇した雇用主は、その従業員が別の性別だったとすれば問題とならなかったであろう特徴や行為を理由に解雇している。この決定において、性別は、正確に公民権法第7編※が禁じているところのものである、必要で偽装しようのない役割を果たしている」
「単にゲイまたはトランスジェンダーであるというだけで従業員を解雇する雇用者は、公民権法第7編を犯している」
「公民権法第7編を採用した者は、彼らの働きがこの特定の結果を導くだろうとは予想しなかっただろう。おそらく、彼らは、男性の従業員へのセクシュアルハラスメントの禁止や母であることに基づく差別に対しての禁止を含む法の帰結の多くが何年もかけて現れてくるものだとは思っていなかっただろう」
「しかし、法案の起草者の想像力の限界が、法の要請を無視する理由にはならない。法令の言葉の表現が、我々にひとつの答えを与え、言外の考察が別の示唆を与えるなら、迷うまでもない。書かれた言葉のみが法であり、人はみなその恩恵にあずかる権利を有するのだ」
 
※公民権法第7編:公民権法は人種や民族による差別をなくすための包括的な法律で、1964年に制定されました。第7編では、平等な雇用、政府調達の契約者・下請契約者による公平な雇用を定めているほか、性別による雇用差別を禁じています。その条項を履行する政府機関として雇用機会均等委員会が設立されました。(以下略)(https://www.outjapan.co.jp/lgbtcolumn_news/news/2020/6/14.html)
 

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 この問題に関しても、いずれ拙論を述べてみたいと考えています。いわゆる「当事者」といわれる多くの友人がいます。さまざまな方面で活動されている人もいます。一人一人が世のなかの「常識」「慣習」などの軋轢を受けながら、自己を突き出していこうとする意志(精神)に、ぼくは深い畏敬の念を失っていないつもりです。死の淵から甦るがごとき実人生の経験を語られた、その告白の中から、ぼく自身の生き方を見つめなおす機会を与えられたのは確かでしたから。

『LGBT ヒストリーブック』について:内容(「BOOK」データベースより)

 ピンクの三角形、ラヴェンダー狩り、ストーンウォールの反乱、ハーヴィー・ミルクの暗殺、エイズ危機、ヘイトクライム、数々の裁判、同性婚の実現…。LGBTの権利を求めて闘った100年にわたる歴史は、一進一退を繰り返しながら、一歩ずつ一歩ずつ、時には劇的に、前へ前へと進められていきました。そこには、決して諦めることのなかった、有名無名を問わないたくさんの「ヒーローたち」の活躍がありました。歴史をつくるのは、人なのです。人と人のつながりが、歴史を動かし、未来を切り開いていくのです。(出版社:サウザンブックス社 )

*ジェローム・ポーレン (ジェローム ポーレン) (著/文)
独立系出版社シカゴレビュー出版の編集長。人権運動としてのLGBT運動の子ども向けの本がないことに気が付いたため、本書を執筆。小学校の理科の先生だった経験もあり、子ども向けのわかりやすい科学書『アインシュタインと相対性理論』(丸善出版)は、日本でも翻訳出版されている。また『アメリカの奇人』シリーズを手掛けた旅行ライターとしても有名。

*北丸雄二 (キタマル ユウジ) (翻訳)
中日新聞(東京新聞)ニューヨーク支局長を経て1996年からフリージャーナリストに。長年にわたってNYから米政治・文化などのほか、LGBTQ+の情報を日本に向けて発信。2018年から拠点を日本に移して活動。

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 刺激惹起性多能性獲得細胞

 新しい万能細胞作製に成功 iPS細胞より簡易 理研

 理化学研究所などが、まったく新しい「万能細胞」の作製に成功した。マウスの体の細胞を、弱酸性の液体で刺激するだけで、どんな細胞にもなれる万能細胞に変化する。いったん役割が定まった体の細胞が、この程度の刺激で万能細胞に変わることはありえないとされていた。生命科学の常識を覆す画期的な成果だ。29日、英科学誌ネイチャー電子版のトップ記事として掲載された。

 万能細胞

 理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の小保方晴子(おぼかたはるこ)ユニットリーダー(30)らは、新たな万能細胞をSTAP(スタップ)細胞と名付けた。STAPとは「刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得(Stimulus―Triggered Acquisition of Pluripotency)」の略称だ。/ iPS細胞(人工多能性幹細胞)よりも簡単に効率よく作ることができた。また、遺伝子を傷つけにくいため、がん化の恐れも少ないと考えられる。

 作り方は簡単だ。小保方さんらは、マウスの脾臓(ひぞう)から取り出した白血球の一種のリンパ球を紅茶程度の弱酸性液に25分間浸し、その後に培養。すると数日後には万能細胞に特有のたんぱく質を持った細胞ができた。/ この細胞をマウスの皮下に移植すると、神経や筋肉、腸の細胞になった。そのままでは胎児になれないよう操作した受精卵にSTAP細胞を注入して子宮に戻すと、全身がSTAP細胞から育った胎児になった。これらの結果からSTAP細胞は、どんな組織にでもなれる万能細胞であることが立証された。/ 酸による刺激だけではなく、細い管に無理やり通したり、毒素を加えたりといった他の刺激でも、頻度は低いが同様の変化が起きることも分かった。細胞を取り巻くさまざまなストレス環境が、変化を引き起こすと見られる。/ さらに、脳や皮膚、筋肉など様々な組織から採った細胞でもSTAP細胞が作れることも確かめた。/ STAP細胞は、iPS細胞とES細胞からは作れない胎盤という組織にも育ち、万能性がより高く、受精卵により近いことを実験で示した。さまざまな病気の原因を解き明かす医学研究への活用をはじめ、切断した指が再び生えてくるような究極の再生医療への応用にまでつながる可能性がある。

 ただ、成功したのは生後1週間というごく若いマウスの細胞だけ。大人のマウスではうまくいっておらず、その理由はわかっていない。人間の細胞からもまだ作られていない。医療応用に向けて乗り越えるべきハードルは少なくない。

 万能細胞に詳しい中辻憲夫・京大教授は「基礎研究としては非常に驚きと興味がある。体細胞を初期化する方法はまだまだ奥が深く、新しい発見があり、発展中の研究分野なのだということを改めて感じる」と話す。(小宮山亮磨)

 ■山中伸弥教授「重要な研究成果、誇りに思う」/ 京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授は「重要な研究成果が、日本人研究者によって発信されたことを誇りに思う。今後、人間の細胞からも同様の手法で多能性幹細胞(万能細胞)が作られることを期待している」とのコメントを発表した。

 〈万能細胞〉 筋肉や内臓、脳など体を作る全ての種類の細胞に変化できる細胞。通常の細胞は筋肉なら筋肉、肝臓なら肝臓の細胞にしかなれない。1個の細胞から全身の細胞を作り出す受精卵のほか、少し成長した受精卵を壊して取り出したES細胞(胚(はい)性幹細胞)、山中伸弥・京都大教授が作り出したiPS細胞(人工多能性幹細胞)がある。万能細胞で様々な組織や臓器を作れるようになれば、今は治せない病気の治療ができると期待されている。(朝日新聞・14/01/29)

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 「科学は、いくつかの図式、モデル、価値付け、コードといったものに従うことによってのみ、規範性を持ち、ある特定の時期に科学として実際に機能します。科学とはつまり、一群の言説のことでああり、一群の言説実践のことであって、それは、慎み深く、全く退屈で単調なものであり、倦むことなく繰り返されるものです」

 STAP細胞という万能細胞があらたに発見された、しかもそれが若い女性科学者によって導かれたというので、格好のニュース種になりました。今から六年前です。以来、この「事件」がいかなる経過をたどったかは周知のとおりです。詳しくは述べませんが、「科学」の歴史には、このような問題はいつでも発生している事実を教えていますし、それがぼくたちの知らないうちに消えたかと思えば、再発生しているという具合です。どこかで引用したS.J.Gouldにはこの種の問題を扱った書物があったと、あいまいながら記憶しています。

 イグノーベル賞がときには大いに話題になります。これは「発見」や「発明」にかかわる業績を、(笑いを伴って)顕彰するものです。(「イグノーベル (Ig Nobel 英語発音: [ˌɪɡnoʊˈbɛl])」とは、ノーベル賞の創設者ノーベル (Nobel 英語発音: [noʊˈbɛl]) に、否定を表す接頭辞的にIgを加え、英語の形容詞 ignoble 英語発音: [ɪɡˈnoʊbəl]「恥ずべき、不名誉な、不誠実な」にかけた造語である。公式のパンフレットではノーベルの親戚と疑わない Ignatius Nobel(イグネイシアス・ノーベル)という人物の遺産で運営されているという説明も書かれている[2]が、ノーベル賞にちなんだジョークである)(wikipedia) 

 再生医療 遺伝子操作、人工授精、その他、さまざまな問題(発明・発見)や課題が最新の科学と技術の周囲で生じています。さらにこの先も複雑で判断に迷わされる事態が起きるのは間違いありません。「科学」とは何なのでしょうか。根っこに戻って考え直したいと思います。(左の記事は朝日新聞・2014/12/18)

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