Why are you saying that …

Kevin Lamarque / Reuters ジャン記者(左)とコリンズ記者

 《いま現在、アメリカには強烈な順応主義がはびこっています。九月十一日の攻撃の成功に、人びとは驚愕し、衝撃を受け、怯えています。最初の反応は結束すること(列を引き締める[close ranks]いう軍隊用語を想起させる)、そして愛国心の再認。あたかも、あの攻撃により、愛国心に自信がもてなくなったかのように。国じゅうが国旗に覆われています。アパートや家の窓から国旗が垂れ、店やレストランの表に国旗が掲げられ、クレーンやトラックにも、カーラジオのアンテナにも国旗がたなびいています。

 アメリカの伝統的な暇つぶしだった大統領(それが誰であれ)の揶揄も、愛国心にもとると決めつけられるようになりました。何人かのジャーナリストが新聞や雑誌から解雇され、ごく穏やかな批判的見解(攻撃当日のブッシュの謎の失踪に疑問を投げかける、など)を授業で述べただけで、公に譴責を受けた大学教師もいました。検閲のなかでももっとも重大にして効果のある自己検閲がそこここで行われています。討論を展開すれば意見の相違と同一視され、さらに意見の相違は忠誠心がないものと決めつけられます。この新たな、先の見えない緊急事態では、従来のさまざまな自由の保障は「贅沢」かもしれない、という思いがひろがっています。世論調査によると、ブッシュの「人気度」は九十パーセントを超えそうですが、旧ソ連型の独裁体制の指導者たちの支持率にほぼ近い数字です》(S・ソンタグ『この時代に想う テロへの眼差し』[In Our Time, In this Moment])  

 「体制順応主義」がはびこっているのは彼の国だけではない。ほぼあらゆる政治問題について、わたしたちの社会(島)でも、多くの人はじつに従順です。異論を唱えつつ、従順なんだ。「この受け身の姿勢は、リベラルな資本主義と消費社会の勝利の当然の結果なのかもしれません」(ソンタグ)

 そういえば、アメリカには二大政党があるといわれているけど、「この二大政党はじつは同一の党の二派」なんですね。イギリスもご同様。

 島社会でも「二大政党の時代、政権交代の可能な政党政治」が夢想されましたが、なんのことはない、同一政党の二つの派閥にすぎなかったというわけ。いよいよ異論も討論も許されない雰囲気が充満しかかっているからこそ、ていねいにじっくりと対話とコミュニケーションを。me-tooism(みんなで渡れば怖くない)という無責任な風潮を断ち切るためにも、さ。

 政治家のほとんどは地位や名誉やといった「特権」を振りかざすだけの木偶の坊だぼくはいってきました。おそらく、地球上の多くの国々の「指導者」は人民のより良い生き方を望んでいないことだけは間違いなさそうです。

 以下の記事も、「大統領」のすることかね、とよそ事ながら、泣きたくなります。女性に対して「居丈高」になるのはトランプばかりじゃない。わがトランペットも右に同じ、屑ですよ。選挙で選ばれた「選良」(「選ばれたすぐれた人。特に、選挙によって選び出された代議士のこと」・デジタル大辞泉)とあります。この一事で、並みいる「辞書」なるものがいかに嘘つきであるかが分かろうというもの。

***********(HuffPost Japanの記事より・2020年05月12日)

 トランプ大統領、2人の女性記者の質問に怒って記者会見を突然中断。会場から立ち去る

 「その質問は中国に聞いてくれ」。質問をしたアジア系の女性記者を、攻撃的な態度で非難した(Lydia O’Connor)

 ホワイトハウスで5月11日に開かれた記者会見で、トランプ大統領が突然会見を中断して立ち去る一幕があった。大統領は、直前の女性記者とのやりとりに腹を立てているようだった。/ この日行われたのは、新型コロナウイルスについての記者会見。

 CBSのウェイジャ・ジャン記者が「なぜアメリカは他の国より、ずっと素晴らしい検査ができていると主張するのか」そして「多くのアメリカ人が死亡し、感染者数が増えている中で、なぜ他の国との競争として捉えるのか」を大統領に尋ねた。/ 大統領はジャン記者の質問に対して「なぜなら、世界中の他の国で死者が出ているからだ」と説明。/ さらに「それは、中国に聞くべき質問だろう」と、強い口調で返した。

「私に聞くな。その質問は中国に聞いてくれ。彼らに聞いたら、とても普通ではない返事をするかもしれない」

WEIJA: Why is this a global competition to you when Americans are losing their lives every day?

TRUMP: Maybe that’s a question you should ask China.

WEIJA: Why are you saying that to me, specifically?

TRUMP: I’m saying it to anybody who would ask a nasty question like that.

 ジャン記者は中国生まれのアジア系アメリカ人だ。「中国に聞け」という言葉に対して更に質問を続けようとしたが、大統領は彼女を遮り、後ろにいたCNNのケイトラン・コリンズ記者を指名した。/ しかしコリンズ記者は自分の質問をする前に、ジャン氏に言いかけた事を大統領に聞くよう促した。/ コリンズ記者に促されたジャン記者は「なぜ、具体的に私に対してそう言うのか?」とトランプ大統領に質問。/ それに対して、トランプ大統領は「具体的に言ったわけではない。誰にでも言う。質問が不快だからそう答えた」と、ジャン記者を再び強く非難した。(以下略)

https://www.huffingtonpost.jp/entry/trump-storms-out-of-coronavirus-briefing-emale-reporters_jp_5eba122fc5b68f80c04c2dc8?ncid=other_huffpostre_pqylmel2bk8&utm_campaign=related_articles


The ‘Trump Death Clock’ May Be Coming to a City Near You
The Trump Death Clock tallies American COVID-19 deaths that could have been prevented had Trump implemented mitigation just one week earlier. Its maker explains why he did it.
thedailybeast.comhttps://www.huffpost.com/entry/trump-death-clock-coronavirus_n_5ebcc277c5b688822a57349e

 ソンタグの「眼差し」は確実に「われわれの時代」にまで届いています。古今東西、大小を問わず「権力者」は腐敗します。健全そうなものは腐敗し、腐敗していたものは、さらに腐敗しなければ止まないのが「政治家」の宿命。清廉なステイツマンもいたことをぼくは知っているからこそ、現今の堕落しきった面々の挙動が許しがたいのだ。

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投稿者:

dogen3

「上を思えば限りがないと、下を見て咲く百合の花」になれるものなら、という想いです。それこそ、「高嶺の花」ですが。「昨日は俗人 今日は僧、生涯胡乱(うろん)これがわが能」と自称した一休さんは、一面では「相当な人物」だったと、歳をとるとともに思わされています。